今日、いよいよ南アフリカ戦です。
「奇跡の番狂わせ」と言われた4年前。
世界ランクも6位!に上げた日本の実力は?
atezolizumab 商品名 テセントリク 抗PD-L1 ヒト化モノクローナル抗体
前回予告しました。
・機序
PD-L1陽性の腫瘍細胞では、このPD-L1がT細胞のPD-1と結合することで、このT細胞を不活化「腫瘍の免疫系からの攻撃回避」
また、免疫細胞のPD-L1はT細胞のB7-1と結合することで、やはりT細胞を不活化します。
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atezolizumabはこのPD-L1を標的とするヒト化IgG1モノクローナル抗体であり、PD-L1と結合することで「T細胞の再活性化」を起こす。
・IMpassion130試験
全身薬物療法を受けていない切除不能な局所進行または転移性TNBCの患者さんを対象に、atezolizumab+nab-paclitaxel(アブラキサン)の併用群 vs nab-paclitaxel単独群の比較試験
上 progression free survival(PFS) 無増悪生存 下 overall survival(OS)全生存率
PFSに関しては、統計学的有意差あり、OSではITT群では有意差ないが、PD-L1陽性群では有意差あり(但し、試験デザインとして検証的位置づけではない)
臨床的意義 Olaparib(リムパーザ)との比較
「鳴り物入り」で登場したOlaparibと比較して理解しましょう。
1.適応症例
・共通点 手術不能 再発乳癌
・サブタイプ
Olaparib: HER2陰性が条件(luminal もしくはTN)
atezolizumab: TNが条件(luminalは対象外)
・必要な検査
Olaparib: BRACAnalysisで陽性(血液検査)
atezolizumab: PD-L1陽性(手術標本で免疫染色)
2.投与形態
Olaparib: 単独(内服)
atezolizumab: nab-paclitaxel(アブラキサン)と併用(点滴)
3.臨床医の立場から
一番の違いは検査(BRACAnalysis/PD-L1)の陽性率の違いです。
BRACAnalysisが陽性率10%以下なのに対し、PD-L1は40%も(陽性率が)あるのです!
4. subtype別(再発)治療戦略
≪HER2陽性≫
抗HER2療法(充実しています)
≪luminal≫
palbociclib/abemaciclib (全症例に適応)
olaparib(BRACAnalysis陽性の場合)
≪TN≫
atezolizumab+nab-paclitaxel(PD-L1陽性の場合)
olaparib(BRACAnalysis陽性の場合)
今まで、BRACAnalysisの陽性率が低いため、(palbociclib/abemaciclibが使えるluminalとは異なり)TNには武器が無かった。
その意味で陽性率の高いatezolizumabの登場は、TNにとって極めて重要なのです。