暑いですね!
ここ東京では本日で「3連続、真夏日」5月なのに!
昨年秋は(10月だったか、11月だったか忘れましたが)「嘘だろ?まじ30℃超え?」的なこともありましたね。
常識が常識でなくなっているようです。
この暑さにトランプがイライラして無理難題言わなければいいですが…(この暑さでのゴルフは想定外でしょうね)
〇本編
Cさん
『腋窩再発の手術って、通常の(初回手術時の)腋窩郭清とはどう違うの?』
『図を用いて説明します。リンパ流は大胸筋の外側を回って、その裏側を内側方向へ向かいます。イメージできますか?』
CTのように…
輪切りにしてみています。(右側が体の外側になります。レベルⅠは腋窩の入り口にあるのです)
リンパ節が筋肉の裏にあることが解りますね?(大胸筋のすぐ裏にレベルⅠがあります)
腫瘍(図のグレー)から「リンパの流れ」は大胸筋の外側を回り込みその裏に入り「レベルⅠ」に到達。
更に奥(内側)へ進み(小胸筋の裏で)「レベルⅡ」に到達→(小胸筋の裏を内側へむかい)「Ⅲ」へ
『なるほど、図で見るとよくわかります。』
『手術でも、この方向で「外側から」アプローチするのです。「外→内へ」これが通常のやり方なのです。』
(通常の)初回手術では大胸筋の外側から(レベルⅠ→Ⅱへと)アプローチします。(外側アプローチ)
それに対して、腋窩再発では(小胸筋の外縁よりも内側から)レベルⅡ→Ⅰへとアプローチします。(内側アプローチ)
『何故、再発手術では内側アプローチとなるの?何が理由?』
『初回手術時には(当然)外側からアプローチしているので、こちら側(外側)が癒着して(多かれ少なかれ)瘢痕があるのです。
この瘢痕を無理やり手術すると「腋窩静脈」損傷のリスクがあるからです。
手術で最も大事なのは「視野」なのです。』
「外側アプローチ」で行おうとすると…
再発手術の場合には瘢痕(図のグレー部)が外側にあるため、これを「外側アプローチ」から行おうとすると、
視野が狭い状況で(最も危険な)「腋窩静脈」から剥がすことになるのです。(これがリスク要因となります。)
これに対し、「内側アプローチ」で行うと
レベルⅠの郭清の前に…
「まずは」レベルⅡを腋窩静脈から剥がして①
十分な視野を確保したのちに、(瘢痕で危険である)レベルⅠを外すのです。②
『内側アプローチの肝(キモ)は、癒着していない奥(レベルⅡ)から郭清することで再手術であることの欠点(risk)の回避なのです。』
〇手術当日
『メス』
『大胸筋表面を剥離します。』
★大胸筋表面の剥離
助手の先生に皮膚をけん引してもらいながら大胸筋表面が現れます。
『大胸筋も分けて、その裏の小胸筋表面を露出します。』
★小胸筋の露出
皮膚と一緒に大胸筋を分けることで、(その奥にある)小胸筋を完全に露出します。
そうすると、小胸筋裏にある「レベルⅡ」が見え隠れします。
『小胸筋と腋窩静脈の間を剥離して小胸筋をテーピングして、まずは内側へ牽引します。』
★小胸筋の牽引(まずは内側)小胸筋を内側へ牽引することで(その裏にある)リンパ節を「外側から」外します。
『今度は、(逆に)外側へ牽引してレベルⅢを郭清します。』
★小胸筋を(今度は)逆に外側へ牽引
内側にあるリンパ節(Ⅲ)を剥がし、(先ほど外側から剥がしていた)Ⅱを今度は内側から剥がし郭清します。
『次に、レベルⅠを郭清します。』
(すでにレベルⅠの内側にある)レベルⅡが郭清されているため、(瘢痕と一緒になった)レベルⅠへのアプローチが容易です。
腋窩静脈と(リンパ節及び瘢痕と)の位置関係が広い視野で見えるので「安全」に、そして「確実」に郭清できます。
★ 郭清された範囲
以上の手技によって、このような範囲の郭清が行われているのです。
小胸筋を(内へ、外へと)牽引することでその裏も郭清されています。
『閉創します。』
★大胸筋の縫合
小胸筋を出すために、皮膚と一緒に牽引していた大胸筋を元に戻して縫合閉鎖します。
★大胸筋の閉鎖
★皮膚の縫合閉鎖
吸収糸(溶ける糸)で縫合していきます。
★閉創終了
『終了です。ありがとうございました。』