検診の場で「乳腺に異常ないのだけど、腋窩リンパ節が腫れているんだなぁー」と言われたら、
圧倒的頻度で『検査技師が「どうでもいいリンパ節を計測して、腋窩リンパ節腫大」と表現しているだけ』となります。
検査技師は(それが仕事だから仕方が無いのでしょうが)どうでもいいリンパ節を測定して「リンパ節腫大」と記載してきます。
何故、そんな「無駄であるばかりか、(検診者に無駄な心配をさせるという意味では)有害なこと」が行われているのか、本当に理解に苦しみます。
『2019年04月11日2 腋かリンパの種大としこりの形崩れについて』にも記載しました。(ご一読ください)
とにかく、「反応性リンパ節」に惑わされるのは止めましょう。
以下の記載は(「2019年04月11日2 腋かリンパの種大としこりの形崩れについて」の質問者は完全に誤解していましたが、あくまでも(我々乳腺外科医が見て)「このリンパ節は普通ではない(転移性リンパ節の可能性がある)」と診断した場合の話です。(反応性リンパ節は、そもそも「どうでもいい」ものであり対象ではありません)
★我々が見て、(乳腺には異常がないのに)本当に「転移性リンパ節」を認めた場合(殆ど無いケースですが)
『対側の腋窩リンパ節が腫大しているのか?どうか?』で方針が分かれます。
1.対側の腋窩も腫大
このケースでは(むしろ)乳がんではないと断定できます(乳癌で対側腋窩転移はありません)
悪性リンパ腫を第1に疑い、(組織診をする前に)PETを撮影し、「血液腫瘍内科」を紹介→(血液腫瘍内科から依頼を受けて)腋窩リンパ節の外科的生検(特殊な検体を採取)
2.対側の腋窩は正常
このケースでは悪性リンパ腫はほぼ否定されます。
(1とは異なり)まずは腋窩リンパ節の組織診(針生検)を行います。
癌と確定したら、(ここで)PETを撮影します。
★腋窩リンパ節に転移する癌は乳癌しかないので、(PETで)腋窩しかuptakeが無いことを確認。
→(部位不明の)乳癌としての治療(同側の乳腺部分or全摘+腋窩郭清)へと進みます。
このようなcaseは私は3~4例経験しています。 つまり確率的には乳癌全体の1/1000程度と超低率だということです。
管理番号7277「腋窩リンパ」