みなさん。こんにちは。
東京は天気が良くていいのですが、乾燥が凄いですね。
我が家では、ダイキンの業務用加湿器でガンガン加湿しています。
今週はセンター試験でしたね?
共通1次、最後の世代として(雪の降る中)試験を受けたことを思い出しました。
会場は新潟大学(だったと思います)、翌日に新聞で発表される回答で自己採点して「喜んだり、がっかり」したり…
試験と言えば…
自動二輪や車など運転免許の卒業試験(実技試験は、筆記試験にはない独特の緊張感がありました。)、大学の卒業試験(医学部は「卒論」なるものは存在せず、「卒試」なのです)や医師国家試験、乳腺専門医試験…
いろいろな試験をしてきたなー。
ただ、「他人との競争」という意味では大学入試が最後だったことに気付きました。
それ以降の試験は、(相対的評価ではなく)「絶対的評価(基準を満たせば全員だって合格できる)」だったのです。
〇病理説明から4週後
『OncotypeDXどうでした?』
『まずは、おかけください。
AさんのRSは35です。 この(結果の)冊子はお渡しします。
ホルモン療法単独(Tam Alonの表記)で10年再発率は18%
化学療法併用(Tam + Chemoの表記)で10年再発率は8% つまり、(化学療法による)上乗せは10%という結果 注18 )です。』
注18 ) このグラフはNSABP B-20試験の651症例での臨床研究により得られたものです。適応範囲はstage Ⅰor Ⅱ(n0)ER+で5y treatment by Tamoxifen
このグラフを見るとRS(横軸)が大きくなればなるほど、TamとTam + Chemoの差が開いていくことが読み取れます。
また、RSが高くてもChemoをすることで再発率が10%程度に抑えられる(ChemoすることでRSが高くても予後は変わらない)ことも読み取れます。
『あー。残念。高リスクで、上乗せも10%あるから、私抗がん剤します。
(抗がん剤することで)再発率8%というのは魅力だわ。迷ったりしません。』
『冷静な判断です。 私も賛成します。
レジメンはTC 注19 )です。
3週間に1回の点滴で4回となります。』
注19 )TC Taxane(タキサン)の頭文字TとCyclophosphamide(サイクロフォスファマイド:エンドキサン)の頭文字C
TaxaneとしてはDTX:docetaxelを用い、Cyclophosphamideとの2剤併用
standard regimenであるanthracycline+taxaneとの直接比較は無い。
taxane単独regimenであるTCは、anthracyclene単独regimenであるAC/ECよりも効果が高いことが示されている。(SABCS 2007)
術後の化学療法の考え方
術前術後に使う抗がん剤としては「アンスラサイクリン(E、A)」と「タキサン(DTX,PTX)]があります。
Gold standardとしては、この療法を用いる「アンスラサイクリン+タキサン」でしたので過去には「術後の抗がん剤=アンスラサイクリン+タキサン」だったのです。
ただし、(心疾患の多い欧米を中心として)『心毒性のあるアンスラサイクリンを避けることはできないか?』という流れができます。(つまり、「タキサン単独」です)
そこで「アンスラサイクリン系レジメンであるAC」と「タキサン系レジメンであるTC(TはDTXのことです)」の直接比較が行われました。
これは有名な試験でありTC>ACが証明されたのです。(上記SABCS 2007で発表された)
と、いうことで
①トリプルネガティブや(ルミナールタイプでも)high risk
→きっちり抗がん剤を行いたい→アンスラサイクリン+タキサン(EC+DTXなど)
②ルミナールタイプ(B)
→TC
『いつから開始できますか?
やるとなったら、早めにやってしまいたいわ。
一番早いのはいつ?』
『今でしょ。 それは冗談です(笑) 実際は(薬剤の準備の都合上)早くて来週からになります。
月と金は手術日なので(火曜日、水曜日、木曜日)のうちから選ぶこととなります。
それでは来週の火曜日からではどうですか?
それと、初回は採血不要ですが、2回目からは毎回採血します。注 20 )』
注 20 )2回目からは(前回行った)抗がん剤による骨髄抑制で白血球が低下して、それが(3週間して)回復したことを確認する必要があるため。
『抗がん剤って、副作用が心配だわ。
髪の毛抜けたり、吐いたり。私にもできるかしら?
ところで、入院必要?』
『心配要りませんよ。 入院はしません。外来で行います。
副作用については、このプリントをお渡しするので次回までに読んでおいてください。
具体的な(副作用を抑える)支持薬については、次回実際に処方しながら説明します。
まー、ザックリ言えばポイントは
①吐気は殆どない
②当日翌日は殆ど副作用がなく、副作用出現は「翌々日の夕方以降」
③(翌々日の夕方~3日間程度)全身の筋肉痛とだるさ
④10日~14日間で白血球が下がり、感染のリスクが出るので(その時期は)早めの抗生剤とうがいで対処する。
⑤(④の時期より)脱毛が始まる。
⑥(④の時期に)白血球低下を底上げするために(抗がん剤点滴)翌日にPegfilgrastim(ジーラスタ)の皮下注射をしてもらう
⑦後半(点滴3回目以降)には蓄積作用として「痺れと浮腫み」が出てくる。』
★次回は、いよいよAさんがTCを受けます。