[管理番号:5726]
性別:女性
年齢:57歳
はじめまして。
乳がん告知後このサイトに出会い、毎日のように拝見させて頂いています。
田澤先生の明確かつ患者を決して悲嘆させる事のない回答に日々励まされております。
この様な場を無償で設けて下さり本当にありがとうございます。
今日は私自身の今後の治療方法について質問させて下さい。
過去の他の方々の質問と重複する部分も多々あるとは思いますが、宜しくお願い致します。
8月下旬に自身にて右乳房外側上部に1cm程のしこりを感じ、えくぼ症状も見られたため乳がんを疑い乳腺専門のクリニックを受診しました。
触診、エコー検査の結果当日に乳がんと告知を受けました。
針生検の結果浸潤性乳管がんと診断され、提携先の大学病院で10月(上旬)日に右乳房全摘しました。
先日最終的な病理結果がわかり、針生検時の結果とかなり異なっている(悪くなっている)ので戸惑っています。
以下針生検病理結果になります。
所見
右乳腺針生検3片。
1片は極微小片につき標本作成過程でほぼ消失。
組織学的に、#2、3いずれにも腫瘍が見られます。
繊維間質を背景に、異型細胞が索状や小胞巣状、大小の集塊状となって浸潤増殖しています。
浸潤性乳管癌です。
Nuclear grade(乳癌取扱い規約17版):Grade 1-2
Nuclear atypia score 2-3 Mitotic counts score 1 Histological grade(Modified
Bloom-Richardson,Elston- Ellis):Grade 2 Tubule and gland formation 3 Nuclear pleomorphism
2-3 Mitotic counts 1
エストロゲンレセプター(ER) 陽性(+) 90% 強染色性
プロゲステロンレセプター(PgR) 陽性(+) 90% 強染色性
コメント
J-score (乳癌取扱い規約第17版 2012)
ER:Score 3b
Pgr:Score 3b
Allred score (Allred DC et al. Mod Pathol 11:155- 168, 1998)
ER:PS5+IS3=TS8
PgR: PS5+IS3=TS8
HER2-
MIB-1 index(ki-67) 26%
病理組織診断
lnvasive ductal carcinoma, right breast,needie biopsy.
サブタイプ ルミナールA
術後病理結果(こちらは手書きの物です)
クリニックから頂いた様な正式な書面を希望しましたが、当院ではお渡しできないとの看護師さんの返事でした。
大学病院とはこのようなものなのでしょうか?
浸潤性乳管癌
PTIC(20mm) NI(1/16 レベルⅡまで郭清)MO
ATAGE TINMO 2A
核異型度-3 組織グレード-2
リンパ管 + 静脈 +
エストロゲン受容体 +
プロゲステロン +
HER2(2+)→FISH陰性(スコア1.26増幅無)
ki67 40%
サブタイプ ルミナールB
やはり担当医の説明通り針生検と術後では検査する組織の範囲が違うため病理結果もこの様に変わってくるものなのでしょうか?
術後治療としてホルモン療法の他に以下の化学療法を提案されました。
化学療法を行うべきか迷う所だが比較的元気のいいタイプのがんなので再発のリスクを下げるためにといった内容のお話でした
化学療法 EC×4→タキサン×4(×12)
その後ホルモン療法 アロマターゼインヒビター5年間内服
来週初めに抗がん剤治療をするか否か、当方の意思を連絡する事になっています。
田澤先生でしたらやはり抗がん剤を勧めますか?
過去に私と酷似した病理結果の方(男性)の回答に、本来抗がん剤が勧められるが(ルミナールタイプなのだから)ホルモン療法単独でも問題ないとありましたが同様でしょうか?
もし化学療法をした場合の上乗せ効果は何%位でしょうか?
その場合は担当医と同じECが最適でしょうか?
TCでは?との質問に私の場合はECの方がより効果的かとの事でした。
田澤先生は過去のQ&Aを拝見する限り、TC推奨のように思いましたがどうなのでしょうか?
母子家庭なので経済的に難しい所ですが、私の場合はオンコタイプをする選択肢もありますか?
できれば抗がん剤は避けたい気持ちが強く迷っております。
経過観察に関しては年1回のマンモグラフィとCTとPET検査?等を便宜的に行うそうですが、3ヶ月または半年毎のエコー等はやらなくても大丈夫でしょうか?
以上乱文で申し訳ありませんがご教示の程宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「田澤先生でしたらやはり抗がん剤を勧めますか?」
⇒「比較的元気のいいタイプのがんなので」という主治医のコメントはどうでもいいですが…
判断基準は、この場合あくまでも「Ki67」となります。
Ki67=40%では(OncotypeDXをしない限り)ルミナールBとして扱わざるを得ません。
『今週のコラム98~101』をご参照のこと。
今週のコラム 98回目 ♯このグレーゾーンを「AとBに分ける」ためにOncotypeDXがあるのです。
今週のコラム 99回目 ★グレードは「参考程度」ということでいいですね?
今週のコラム 100回目! 「若いから」抗ガン剤をしましょう。は過ちなのです。
今週のコラム 101回目 (Ki67が20代はluminal Aの可能性が圧倒的に高く)本当に「Aなのか、Bなのか迷うのは30代以降」と言えるのです。
「もし化学療法をした場合の上乗せ効果は何%位でしょうか?」
⇒これは質問者が(本当に)ルミナールBなのか?(実はルミナールAなのか?)によって大幅に異なるのですが…
(参考値として) NewAdjuvant.comでみると… 6%となります。 ♯ルミナールAなら3%未満となり、ルミナールBなら10%前後となりそうです。
「その場合は担当医と同じECが最適でしょうか?」
「田澤先生は過去のQ&Aを拝見する限り、TC推奨のように思いましたがどうなのでしょうか?」
⇒その通り、ルミナールタイプの抗癌剤はTCです。
「母子家庭なので経済的に難しい所ですが、私の場合はオンコタイプをする選択肢もありますか?」
⇒勿論です。
「経過観察に関しては年1回のマンモグラフィとCTとPET検査?等を便宜的に行うそうですが、3ヶ月または半年毎のエコー等はやらなくても大丈夫でしょうか?」
⇒CTとPETは不要ですが…
ホルモン療法で3カ月に1回通院するのだから、そのたびにエコーしてもいいと思いますよ。