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遠隔転移再発

ここには(乳癌診断時に)遠隔転移が見つかった(用語的には)「転移性乳癌」も含まれます。

 

 

「遠隔転移」と診断されると、『治りません。楽(副作用が少ない)な治療か行いましょう』と、言われることが多いけど(QAを見ていると)、それしかないの?

 

 

一般論として、昔から「再発治療は何をしても結果(予後)は同じ」という考え方があります。

私も経験の浅い時期は、そう思っていたし(経験=症例数の少ない医師は)生涯その考えから離れられないのだと想像します。

 

 

昔と状況はどう変わっているの?

 

 

 

抗がん剤で言えばbevacizumab, eribulin、そして分子標的薬palbociclib, abemaciclibの登場です。

特に分子標的薬の効果は「期待値以上」です。

 

 

なるほど!

これら「新しい薬剤」を早い時期に使うことで「予後改善(もしかして根治)」の可能性も広がっているということなのかな?

 

その通り!

「何をしても同じ」というvisionのない「消極的治療」ではなく、「病勢奏功⇒維持⇒(その先に)根治かも?」という「積極的治療」の選択肢があるのです。

実際のサブタイプ別の治療戦略は『今週のコラム 228回目 乳癌治療の実際 「全身治療(薬物療法)」vol. 2 再発治療』をご参照ください

それでは、ここでは貴重な実例をあげましょう。

1.遠隔転移再発

①骨転移症例

今週のコラム 236回目 palbociclib② (放射線+)抗がん剤先行で長期間維持している症例』を参照のこと。

ここでのポイントはpalbociclibを用いる前にeribulinをきっちり8サイクル(5か月間)やってcCR(clinical complete response)を得ていること。

そしてpalbociclibで「病変の無い状態」が(長期間)維持されていることです。

 

②肝転移症例

 

初診時 cT4b, cN1, HER2 type

cT4bとはいえ、手術不能ではなかった。

しかし、前医(地元)では『HER2typeだから、術前抗がん剤しなければ手術しません』

と言われ、当院転院し、手術施行

術後抗HER2療法をやる予定だったのだが、直前になり拒否された。

「だから」かもしれませんが、

 

術後、数か月で「肝転移」出現

さすがに、抗HER2療法を受け入れて行うこととなりました。

 

 

●治療経過

pertuzumab+trastuzumab+eribulin4クール(3か月間)でcCRとなり、

その後分子標的薬(trastuzumab+pertuzumab)だけで5回(15週)行い、その後無治療(私的には「9か月くらい」続けてもらいたかったのですが…)

現在まで、相当な期間過ぎていますが(無治療で)cCR継続中です。

 

③肺・SC転移

 

術後の「肺及びSC」再発でした。

●治療経過

trastuzumab+pertuzumab+eribulin 4cycle(3か月)でcCR

その後、そのまま4cycle施行後trasutuzuamb+pertuzumabとして12cycle

 

2.転移性乳癌

抗がん剤⇒手術⇒術後療法(抗がん剤+分子標的薬)⇒cCRを持続

 

他院初診時、左記のような「多発性骨転移」

『手術はできない、一生抗がん剤』と言われ、抗がん剤開始

抗がん剤(EC, weekly paclitaxel)は著効(CEA 235⇒9    CA15-3 65⇒20)したところで

『手術できないのか?』と、江戸川へ転院

 

手術⇒ 術後bevacizumab + paclitaxel 3cycle⇒ palbociclib + palbociclib(denosumab併用)

 

骨シンチも、「ほぼ」取り込み無し

腫瘍マーカーも正常

 

 

 

 

3.手術不能乳癌

抗がん剤⇒手術⇒術後分子表約薬のみ⇒cCRを持続

 

 

Beforeの下図は「腫瘍」ですが、広範囲皮膚浸潤を伴い「手術不能」所見です。

この方は「高齢」かつ「糖尿病合併」のためdocetaxelを減量(通常の60%)で

8 cycle行いました。

著明に改善しcCR(after参照のこと)

手術後は無治療で無再発継続中

 

◎ もう一つの観点

「QOLのために(手術できる時期に)手術すべき」

(以下、8572から抜粋)

ルミノールBとのことでホルモン療法からはじまりました。

2015年からアリミデックス、ゾラデックス、ノルバデックス他、(その後骨転移があり、ランマークを始めてます)
2019年末からアフィ二トール、2020年5月時点でゼローダを服用してます。

↑ ↑

上記のような治療の挙句に「元の腫瘍が痛いこと、皮膚が変形する、汁が止まらない」となっています。

 

 

8572さんは、(初診時に)「肝転移があるから手術しなかった」のだよね?

現在最も困るのが「腫瘍の痛みと(皮膚潰瘍による)浸出液」とあるけど、(ここまで)5年間で何とかならなかったのだろうか?

 

そこなんだ。

もともとの局所の状態が(記載がないので)不明だけど、(肝転移があるだけで)もともと手術可能な状態であったなら、そのタイミングで手術してしまっていれば、今のような状況は無かったし、

もしも、(その時点では「局所の状況」が手術不能だったとしても)「局所が手術可能となる事を第1目標」として抗がん剤を頑張っていれば、手術が可能なタイミングが作れたのではないかと思います。

ホルモン療法や経口抗がん剤(everolimsやcapecitabine)しか用いていないようなので、★今からでも、anthracyclineやtaxane, bevazizumab, eribulinなど用いれば(手術可能な状態にまで改善するかどうかは不明ながら)「かなりの効果」が期待できると思います。

 

 

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