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全摘出後の化学療法の必要性について

[管理番号:8713]
性別:女性
年齢:48歳
病名:乳癌
症状:
投稿日:2020年7月6日

5月中旬に某大学病院で左乳房全摘出手術を受けました。

センチネルリンパ節生検の術中迅速診では見つからなかったものの
(腋窩リンパ節郭清なし)、術後の病理検査で2つ取ったリンパ節のうち1つに、3ミリのガンが見つかりました。

浸潤性乳管癌
浸潤径 10mm
浸潤径+乳管内進展系 21mm
Nuclear Grade 1
ER+(90%),PgR+(90%),HER2 score1,Ki67 10-20%

術後初めての受診ではオンコタイプDXでの検査を勧められ、一週間の熟慮の末
次週申し込もうと受診した際には一転、抗がん剤治療を勧められました。

リンパ節に転移していたガンの大きさが3mmであるのが根拠ということ、また抗がん剤を使うことによって、再発リスクを30%程度減らせるとの説明がありました。

オンコタイプDXも前向きに検討していたことと、医師の急な治療方針の転換もあり、十分に納得することが出来ませんでした。

副作用の強い抗がん剤治療を受けた方がよいのであれば、納得して治療を受けたいと考えております。

以下質問です。

①抗がん剤が必要だと思われますか?
②オンコタイプDXを受けた場合、1か月程度治療開始が遅れますが、
 受ける意義はあると思われますか?
③再発リスクの程度というのは、どのような指標で測られるのですか?
④今回ジーラスタ皮下注3.6mg投与のためKRN125自動投与機器の治験も
 勧められました。
この治験のために不必要な抗がん剤治療を勧められるようなことは 起こりうるでしょうか。

お忙しいところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「術後の病理検査で2つ取ったリンパ節のうち1つに、3ミリのガンが見つかりました。」
⇒肉眼的転移だから「追加郭清(再手術)」について検討は必要です。(事前の取り決めで「肉眼的転移があっても追加郭清せずに、放射線で代用する」みたいになっていれば、それはそれでいいのですが…)
 それを検討せずに「局所の借りを全身療法(抗がん剤)で誤魔化す」という発想★
 になっていないのか心配です。

「リンパ節に転移していたガンの大きさが3mmであるのが根拠」
⇒リンパ節転移があると抗がん剤が効くという発想??

 是非『今週のコラム 188回目 このデータを見ても、まだ「リンパ節転移があると(ルミナールAでも)化学療法が必要だと思いますか??」』を熟読してください。

「また抗がん剤を使うことによって、再発リスクを30%程度減らせるとの説明」
⇒何を根拠に??
 主治医の「超個人的な」見解ですね。

「①抗がん剤が必要だと思われますか?」
⇒リンパ節転移は無関係(リンパ節転移について心配ならば、上記★ではなく「追加郭清こそ、検討されるべき」)

 純粋に「抗がん剤による上乗せがあるのかどうか?」となると一番参考となるのは「Ki67 10-20%」という数字ですね。(80%以上の確率で「上乗せなし」となります)
 OncotypeDXをして確認しましょう。

 
「②オンコタイプDXを受けた場合、1か月程度治療開始が遅れますが、
 受ける意義はあると思われますか?」

⇒勿論あります。(それが「現存する最も信頼できるデータ」だからです)

「③再発リスクの程度というのは、どのような指標で測られるのですか?」
⇒ステージ(そのためにステージはありますよ)

「④今回ジーラスタ皮下注3.6mg投与のためKRN125自動投与機器の治験も
 勧められました。
この治験のために不必要な抗がん剤治療を勧められるようなことは 起
 起こりうるでしょうか。」

⇒それはないでしょう。

 (私の憶測では)上記★が気になっているのでは???