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右胸全摘手術後の治療について

[管理番号:7879]
性別:女性
年齢:31歳
病名:乳癌
症状:

病理検査の結果
占拠部位:右B 個数:単発
腫瘍の大きさ:2.2×1.2cm(#18,19)
組織型:浸潤性乳管癌, 硬性型
核グレード分類:NA 2 MC 3 NG 3 TF 3
波及度:fs
切除断端:陰性
脈管侵襲:V1,Ly3
UICC:pT2
リンパ節:SLN945(1/1) Level Ⅰ(1/7)
術前治療:なし
全摘された右乳腺組織及びリンパ節組織です。
肉眼的には、28×20×10㎜大、白~淡褐色、境界不明瞭な硬化性病変がみられます。
部分的には7㎜大、境界不明瞭な結節も観察されます(スライスh)。
組織学的には、異型乳管上皮細胞が索状、小胞巣状に浸潤性増殖像がみられ、硬性型の浸潤性乳管癌に相当する所見です。

solid,papillary,comedo typeの
in situ病変がみられます。

高度のリンパ管侵襲、軽度の静脈侵襲が認められます。
真皮への浸潤も観察されます。
背景fibroadenoma状病変が広範に観察されます。
切除断端は陰性です。

この結果 抗がん剤、放射線、ホルモン療法すべての治療を勧められました。

田澤先生もすべての治療が妥当だと思いますか?

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「田澤先生もすべての治療が妥当だと思いますか?」
⇒物事はシンプルに考えましょう。

治療は「局所」と「全身」に分けることです。

〇局所療法
 ・放射線:温存なのだから「放射線は必須」

〇全身療法
 ・ホルモン療法:ホルモン感受性陽性なのか、このメール内容からは不明(おそらく陽性なのでしょう)それであれば、当然「ホルモン療法は必須」となります。
 ・抗がん剤:Ki67の記載がありません。
       Ki67≦20 不要
       20<Ki67≦40 グレーゾーン
       40<Ki67 必要
   グレーゾーンであればOncotypeDXしましょう。

 以上の事は『今週のコラム 197回目 乳癌の薬物療法1 >15%なら、抗がん剤をやるっきゃないね。  腹括りました。』から続く「乳癌の薬物療法」を一気読みしてみましょう。