[管理番号:7216]
性別:女性
年齢:37歳
病名:葉状腫瘍
症状:良性または境界
30代女性です。
数年前から、線維腺腫(葉状腫瘍も否定できない)と診断された腫瘍の経過観察を行っています。
一般外科および乳腺外科で、超音波検査複数回、マンモ3回、針生検2回しております。
その間に、腫瘍は8mmから3cmを超えるまでに急成長。
1ヶ月ほど前、一般外科で1時間40分に渡る摘出手術を局所麻酔でいたしました。
ガイドラインに沿ってマージン1cm以上を希望しましたが、マージンは1mm、多いところで5mmしか取っていないとのこと。
1番癒着していた場所は1mmのようです。
腫瘍は、皮膜で覆われていたかどうかは分かりませんが、ジャガイモのような形で縦横比は同じくらい、硬くて白かったです。
病理検査の結果は、葉状腫瘍でした。
所見は「健常部と境界明瞭な病変が採れており、細長く延びた腺管を伴い葉状に増生した繊維芽細胞よりなる腺腫腺腫で葉状腫瘍です。やや細胞密度の増した領域もありますが、分裂像やbizarre核はありません。悪性所見はありません。断端陰性。」でした。
執刀医には、”取り残しはないが他院にセカンドオピニオンを求めるように”と言われております。
術後の超音波検査や経過観察等の話はありませんでした。
【ご質問】
●上記所見は、良性または境界型のどちらでしょうか。
●"細長い腺管"や"細胞密度の増した領域"との記述は、悪性を示唆しますか。
●追加手術は必要ですか。
必要な場合、術後何日以内にした方がよろしいですか。
また、前回の執刀医に追加手術をお願いすべきですか。
●断端陰性=周辺組織に残存なし、と判断できますか。
●病理医によって所見は異なりますか。
●摘出した腫瘍以外に、1cm前後の線維腺腫と思われる腫瘍が両胸に10個ほどあります。
数年間、さほどサイズは変化しておりませんが、葉状腫瘍の可能性はありますか。
マージンなしの摘出のため、再発や悪性化を大変恐れております。
よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「●上記所見は、良性または境界型のどちらでしょうか。」
⇒病理所見からは…
良性です。
境界悪性のポイントは
1.間質への浸潤性増殖
2.核分裂
3.細胞密度
上記1の記載もなく2もなし、この時点で良性でしょう。(3も決して高くはないようです)
「●"細長い腺管"や"細胞密度の増した領域"との記述は、悪性を示唆しますか。」
⇒違います。(上記通り)
「●追加手術は必要ですか。」「必要な場合、術後何日以内にした方がよろいですか。
また、前回の執刀医に追加手術をお願いすべきですか。」ではありません。
「断端陰性=周辺組織に残存なし、と判断できますか。」
⇒そうなります。
「●病理医によって所見は異なりますか。」
⇒その可能性はあります。
「数年間、さほどサイズは変化しておりませんが、葉状腫瘍の可能性はありますか。」
⇒葉状腫瘍と考える根拠はないようです。(実際にエコー像を見ていないので、これ以上のコメントは無理です)
質問者様から 【質問2 葉状腫瘍 追加手術について】
性別:女性
年齢:37歳
病名:葉状腫瘍
症状:良性
田澤先生、こんにちは。
「[管理番号:7216]葉状腫瘍 追加手術について」質問させて頂いた37歳女性です。
ご丁寧なご回答をありがとうございました。
お忙しいところ大変恐縮でございますが、重ねて質問させて下さい。
【質問】
●文献に、葉状腫瘍において良性と境界型との鑑別は「間質細胞が線維芽細胞からなる点である」、「境界型は輪郭はっきり/異型性なし/良性と境界が混在/細胞密度が高い」と記載されており、私の病理結果はこれに当てはまる点が多いと感じております。
境界寄りの良性の可能性は考えられますか。
●病理結果に間質への浸潤性増殖の記載がないのは、記載するほど増殖していない、または増殖がないからでしょうか。
●細胞密度において、良性と境界型はどう区別しますか。
「やや細胞密度の増した領域」がありましたが、その部分だけ一部境界型、良性と境界型が混在している、あるいは一部悪性の可能性はございますか。病理検査は5分割でした。病理学的に良悪性の鑑別は難しい、と文献に書いてあったことが気がかりです。
●術後、切除した場所(皮膚の下)が石のように硬く動かないシコリのように感じ、時々キリキリした痛みもあります。
これは再発でしょうか。
●両胸にシコリが多発しており、多発すると悪性度が増す、針生検はシコリを増大させる、と文献で読みましたが真実ですか。
●切除したシコリは元々葉状腫瘍だったのか、それとも線維腺腫が葉状腫瘍に変化したのか、どちらでしょうか。
また、今回はたまたま良性でしたが、手術がもう少し遅かったらグレードアップしていたのでしょうか。
というのも、摘出したシコリは2年強で2.5cm大きくなり、手術前の1ヶ月間は一気に7mmも大きくなったためです。
●摘出した腫瘍は皮膜で覆われていたのかどうか病理結果に記載がありませんが、どのように判断したらよろしいですか。
●経過観察は何年くらい必要ですか。
●ストレスや月経などホルモンバランスの影響で、腫瘍のサイズや組織に変化はありますか。
●執刀医に「最近は切除マージンの幅は縮小傾向にある。マージン1mmでも大丈夫。」と念を押されましたが、これは一般論として正しいのでしょうか。
●(ここが1番知りたいです→)追加手術は必要ですか。
必要な場合、術後何日以内にした方がよろいですか。
また、前回の執刀医に追加手術をお願いすべきですか。
質問が多く申し訳ございません。
葉状腫瘍と診断されてから、あらゆる研究論文を読み漁っては不安に苛まれています。
どうぞよろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「境界寄りの良性の可能性は考えられますか。」
→前回、回答したように「良性」です。(私の回答に「だって〇〇と書いてある…
とか、だって〇〇先生がこう言っている…」みたいにして再質問するのは止めましょう)
(以下、前回のコピペ)
良性です。
境界悪性のポイントは
1.間質への浸潤性増殖
2.核分裂
3.細胞密度
上記1の記載もなく2もなし、この時点で良性でしょう。(3も決して高くはないようです)
「●病理結果に間質への浸潤性増殖の記載がないのは、記載するほど増殖していない、または増殖がないからでしょうか。」
→その通り。
「やや細胞密度の増した領域」がありましたが、その部分だけ一部境界型、良性と境界型が混在している、あるいは一部悪性の可能性はございますか。」
→ありません。(考えすぎ)
「●術後、切除した場所(皮膚の下)が石のように硬く動かないシコリのように感じ、時々キリキリした痛みもあります。これは再発でしょうか。」
→絶対に違います。(瘢痕です)
術後そんなにすぐに「再発か?」などと想像するのは、『その執刀医に失礼』というものです。(常識的に考えましょう)
「●両胸にシコリが多発しており、多発すると悪性度が増す、針生検はシコリを増大させる、と文献で読みましたが真実ですか。」
→全くの「誤り」
「●切除したシコリは元々葉状腫瘍だったのか、それとも線維腺腫が葉状腫瘍に変化したのか、どちらでしょうか。」
→もともと「葉状腫瘍」です。
「また、今回はたまたま良性でしたが、手術がもう少し遅かったらグレードアップしていたのでしょうか。」
→その期間が「1年」なのか「5年」なのかわかりませんが…
「増大傾向のある良性葉状腫瘍」が、放っておけば「境界悪性→悪性」となるであろうことは容易に想像できます。
「●摘出した腫瘍は皮膜で覆われていたのかどうか病理結果に記載がありませんが、どのように判断したらよろしいですか。」
→それは病理医に聞きましょう。
「●経過観察は何年くらい必要ですか。」
→2年が目安です。
「●ストレスや月経などホルモンバランスの影響で、腫瘍のサイズや組織に変化はありますか。」
→無関係
「これは一般論として正しいのでしょうか。」
→誤り
「●(ここが1番知りたいです→)追加手術は必要ですか。」
→①良性だから再発の可能性は必ずしも高くない。
②良性だから(万が一)再発してからでも(半年毎にエコーしていれば)遅くない
上記①②を理解したうえで「それでも心配だから追加手術したい」という希望があれば、『当然、追加手術すべき』です。
「必要な場合、術後何日以内にした方がよろいですか。」
→常識的には…
「3か月以内」でしょう。(急ぐ理由がありません)
「また、前回の執刀医に追加手術をお願いすべきですか。」
→そのとおり。
「葉状腫瘍と診断されてから、あらゆる研究論文を読み漁っては不安」
→そんなことで不安になるくらいなら…
(個人的には)「再手術してしまう」べきと思います。(ただし、再手術する場合には中途半場ではなく「全麻で2cmのマージンをつける=多少の変形は許容する」覚悟が必要です)