[管理番号:1199]
性別:女性
年齢:53歳
こんにちは。
いつもQsndAで勉強させていただいております。
7月に乳房温存術をうけ、病理の結果T1b,N0,M0,StajeⅠ
ホルモンレセプター陽性、HER2陰性、ルミナルAタイプということで
放射線療法とタモキシフェンの服用2年の予定でを始めたところです。
(生理は不安定ですが、完全に止まってはいません)2年後からは、AIに
変更予定だそうです。現在のところ幸いにも副作用らしきものはなく服用しておりま
す。
タモキシフェンについては、効果のない人や途中から耐性ができるタイプの人が
いるということをインターネットで見かけました。
また、薬効を確認できるCY2D6遺伝子検査を民間の遺伝子検査会社で受け付けている
記事も
見かけました。
実際のところ、薬がきいているかどうかは、どうやって判断されるものなのですか?
お忙しいところ、申し訳ありません。どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT1b, pN0, luminalA
完璧な超低リスクと言えます。
CYP2D6については「ネット上で加熱」しているのかもしれませんが「乳癌学会では、
その評価には反対の立場です(推奨度C2)」
代謝型の「エンドキシフェン」濃度が低くなる可能性が示されているだけであり、そ
れをもって、『効果が無いという証明はされていない』のです。
回答
「タモキシフェンについては、効果のない人や途中から耐性ができるタイプの人がい
るということをインターネットで見かけました」
⇒これは、科学的に「誤り」とはいいませんが、「乳癌学会が推奨していない」以
上、「そこまで声高に断定」することには違和感を感じます。
商業的な面もあるとは思うので、私からはこれ以上は言えませんが…
「実際のところ、薬がきいているかどうかは、どうやって判断されるものなのですか?」
⇒判断材料は全くありません。
「術後補助療法」はあくまでも「予防のための治療」です。
その効果は「結果がどうなのか?数年後、十数年後に解る?」とも言えません。
(結果として)再発しなかったとしても「(そもそも)無治療でも再発しない状況
だった」可能性も十分にありますし、
逆に(結果として)再発したとしても「薬物療法のお陰で、数年間再発を抑制して
いた」可能性もあるのです。
○術後補助療法には「効果判定はできない」のです。
あくまでも「最善を尽くす」治療と考えてください。
①無治療でも再発しない群
②治療することで再発しなくなる群
③治療しても結局、再発してしまう群
これらの中で①が圧倒的に高いのが現状です。その意味では大部分の方には「無駄
な治療をしている」と言えるかもしれません。
ただ、②の群が「十数パーセント」いる以上、(無駄かもしれないけど)「最善を
尽くす」ことが「術後補助療法」なのです。
将来的に上記①~③が明確に区別できれば、②の方だけに治療をするという時代が
来るかもしれません。ただ「遠い未来」の事なのです。