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乳がんのステージ

[管理番号:1126]
性別:女性
年齢:64歳
 
管理番号214「乳ガンの生存率 乳ガンのステージ」の先生のご説明を読みましたが、これに関しおたずねします。
 
しこりが3つ(CT検査の結果によると1.1cm, 1.0cm. 0.8cm)あり、最大のものはがんと確定、あとの二つは針生検の結果待ちです。CTと超音波で見る限りはわきの下のリンパ節への転移はないとのことです。
 
がんと確定したものについてお伺いします。これは皮膚に近いところに発生し、皮下脂肪が薄いため、すでに皮膚にくっついているとのことです。見たところでは、その個所の皮膚が変色しているようなことはありません。これは超音波の画像を見ながら説明されました。MRIの検査はこれからです。
 
ある記事で「しこりの大きさやわきの下のリンパ節への転移の有無にかかわらず、し皮膚にしこりが現れるとステージは3bである」と読んだのですが、これは正しいでしょうか?
 
かかっている医師からは、その部分の皮膚を取り除くと傷あとが通常より上にくるので云々・・という程度の話でした。検査をしている間に皮膚を突き破ってがんが表面に現れてくる可能性もあるのでしょうか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
 
ご本人が気にされているのは「T4b乳癌」です。
「皮膚の発赤、潰瘍形成、衛星皮膚結節(皮膚転移)」を伴う乳癌のことです。
 
○質問者のように「1.1cm」の腫瘍では「考える必要は全くありません」
 皮下脂肪が薄くて「皮膚に接すること」と「皮膚浸潤を起こし、皮膚に広範囲に拡がる=T4b」とは全く別物です。

回答

『「しこりの大きさやわきの下のリンパ節への転移の有無にかかわらず、し皮膚にし
こりが現れるとステージは3bである」と読んだのですが、これは正しいでしょうか?』
⇒正しいです。
 ただ、「皮下脂肪が薄くて」皮膚を押し上げることとは「意味合いが全く異なり」ます。
 
「検査をしている間に皮膚を突き破ってがんが表面に現れてくる可能性もあるのでしょうか?」
⇒ありません。
 「皮下脂肪が薄い部位にできて皮膚に接する事」と「皮膚を突き破る事」は次元が異なる話です。
 全くの杞憂です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、いつもあたたかく丁寧なご回答をいただきありがとうございます。
 
Her2の検査結果に関しお伺いします。手術前に、乳腺専門のクリニックで行なった免疫染色法による検査ではHer2は0とされていたのですが、手術をした病院での術後の病理検査の結果は2+でした。(この病院で手術前に独自に免疫染色法による検査をしたかどうかは確認していません。)
 
1+からならまだしも、0からいきなり2+となるということはあるのですか? 
それとも、最初の乳腺クリニックの判定が誤りだったのでしょうか?
今FISH法で調べており、最終的にFISH法での検査結果に従うべきであることは理解しております。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
 
「Her2の検査結果に関しお伺いします。手術前に、乳腺専門のクリニックで行なった
免疫染色法による検査ではHer2は0」「手術をした病院での術後の病理検査の結果は2+」
⇒術前抗がん剤をしていないとしたら「考えられる理由は2つ」となります。
 ①最初のクリニックでの針生検の検体の固定不良により「免疫染色の染色性の低下」であり、「本来染色されるべき癌細胞が染色されなかった」
 
 ②癌組織のたまたま「HER2陰性」の部分に「針」が刺さった
 この場合には「有る程度の大きさの腫瘍で、性質の異なる部分が存在」している必要がありますが、質問者の場合には「腫瘍径11mm」とありますので、その可能性は低いと思います。
 よって、①の可能性の方が高いと思います。つまり質問者の言う処の「最初の乳腺クリニックの判定が誤りだった」となります。
 
 いずれにせよ、(固定などの)ミスが有った場合に『染色性が低下する事はあっても上がる事はない』のです。

 
 

 

質問者様から 【質問3 再発検査】

性別:女性
年齢:67歳
病名:乳がん
症状:再発

以前に質問したことがある者です。
その節はありがとうございました。
新たにお尋ねしたいことがあります。

2015年10月に左乳房全摘、それ以降アロマシンを服用して間もなく3年経過します。
抗がん剤・放射線照射はしていません。
先日、手術した疵の近くにしこりを見つけて検査(エコーを見ながら、細い針を刺して,注射器で吸い出す検査)をした結果、癌細胞があっ
てカテゴリー4であるが、よくわからない部分があるのでしこりを丸ごとくりぬいて、そ
れを薄く切ってどういうものかを詳しく調べるということになりました。
(しこりは7ミリか8ミリぐらいと言われたように思います)。

田澤先生の今週のコラム 118回目 胸壁再発は(再発した部位の)皮膚側か胸筋側に「癌細胞が(手術時に)残存」していて、それが(時間をかけて)増大したと考えられます。を読んで、自分では「前鋸筋再発」ではないかと思います。
しこりを取り除くのは局所麻酔で20分ほどの日帰り手術だというのですが、癌の広がりを調べないで切り取ってしまっていいのか疑問に思っています。
切り取ってしまったらその後は広がりを確認することができず、また取り残しが起きるおそれがあるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。

「癌細胞があってカテゴリー4である」
→細胞診であれば…

 それは「カテゴリー4」ではなく「クラス4」の間違いですね?

「よくわからない部分があるのでしこりを丸ごとくりぬいて、それを薄く切ってどういうものかを詳しく調べる」
→外科的生検です。
 それは正しい診療です。

 ただし、(ターニングポイントとなる可能性があるのは)この際に「どの程度マージンをつけるか?」となります。

「しこりは7ミリか8ミリぐらい」
「しこりを取り除くのは局所麻酔で20分ほどの日帰り手術」
「切り取ってしまったらその後は広がりを確認することができず、また取り残しが起きるおそれがあるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?」

→至極、当然の疑問(不安)だと思います。

 ただ7,8mmであれば、局麻でも十分なマージンをつけられるはずです。
 質問者にできることは「全身麻酔でもいいから、とにかく大きく切除してほしい」
と要望することです。(実際に、その大きさでは局麻で十分なのですが、「全身麻酔でもいいから」という一言が、担当医に「よし、大きく取ろう!」と決意させることになるのです)