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再発率とオンコタイプDXについて

[管理番号:6963]
性別:女性
年齢:44歳
病名:乳がん
症状:

9月に乳癌告知されてこのサイドを拝見させていただきました。

11月上旬にリンパ節郭清+乳房全摘手術を受け、現在術後病理検査の結果待ちです。

術前の病理検査でわかったのは
腫瘍径 18mm
ER 90%
PgR 90%
HER2 陰性
grade 1
ki67 10%~20%
リンパ転移1/10(センチネルリンパ節生検中発見)
ルミナルタイプだと思い質問させていただきます。

①10年再発率はホルモン療法のみとホルモン療法+化学療法では、どれぐらいでしょうか?
②化学療法の上乗せ効果についてよくわからないのですが、例えば上乗せ効果3%の場合、それは同じ条件の全員が3%の恩恵をうけることですか?
それとも100人中3人だけに効果があり97人に効果0という事ですか?
また、管理番号6804さんのオンコDX検査の結果では5年再発または死亡率タモキシフェン単独療法で8%、タモキシフェン+化学療法11%とありました。
私が化学療法をうけて効かなくてもゼロになると思いましたが、化学療法を受けて損することをどう解釈すればよろしいでしょうか?
③オンコDXを受けると考えていますが、閉経前のリンパ節転移ありの場合、閉経前のリンパ節転移陰性に比べ結果の信頼度が同等か、もしくはそれ以下ですか?1個のリンパ節転移が、どうしても気になります。
もし結果が低中リスクだったら、ホルモン治療のみにとても不安を抱いています。

④閉経前のリンパ節転移ありの場合、オンコタイプDXでは5年の再発率しかわかりません。
10年後が不安です。
例えば化学療法の上乗せ効果が5年で3%の場合、10年では6%になったりしませんか?
⑤リンパ節郭清+乳頭乳輪温存皮下乳腺全摘手術を受けました。
放射線治療が必要でしょうか?

初歩的な質問で恐縮ですがご回答いただけると幸いです。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「①10年再発率はホルモン療法のみとホルモン療法+化学療法では、どれぐらいでしょうか?」
→それは、ルミナールAなのかBなのかで変わってきます。

 それを知りたいのであれば、OncotypeDXを受けましょう。(それを知るためのOncotypeDXなのです。)

「②化学療法の上乗せ効果についてよくわからないのですが、例えば上乗せせ効果3%の場合、それは同じ条件の全員が3%の恩恵をうけることですか?それとも100人中3人だけに効果があり97人に効果0という事ですか?」
→物事はシンプルに考えましょう。

 単純に「再発率が3%低下する」ということです。
 言い換えれば(抗がん剤をしなければ)「100人中20人が(将来的に)再発」するのに対し、(抗がん剤をすることで)それが「17人となる(3人が再発を免れる)」ということです。

「1個のリンパ節転移が、どうしても気になります。」「ホルモン治療のみにとても不安」
→リンパ行性転移(リンパ節)と血行性転移(遠隔転移)に明確に分けて考えなくてはなりません。

 リンパ行性転移から(直接)血行性転移へ移行することは無いのです。
 質問者は追加郭清しているのだから、それに対する追加治療は不要です。

 ★リンパ節転移があった=(多少のリスクは上がる=ステージが上がるわけですから)ことと、「抗がん剤の効果があること」とは全く無関係です。
今週のコラム 131回目 「進行しているから」と言う理由で「効かない筈の治療に我慢する」それでいいのですか? (付記)「ホルモン療法と抗癌剤」は全く別の作用であり、「強い、弱い」ではないのです。』をご参照のこと

「例えば化学療法の上乗せ効果が55年で3%の場合、10年では6%になったりしませんか?」
→なりません。

 5年以降の再発率は(サブタイプがどうあれ)かなり低下するのです。

「⑤リンパ節郭清+乳頭乳輪温存皮下乳腺全摘手術を受けました。放射線治療が必要でしょうか?」
→不要。

 
 

 

質問者様から 【質問2 深部断端陽性について】

性別:女性
年齢:44歳
病名:乳がん
症状:

田澤先生、こんにちは。

以前、管理番号6963で相談させていただいたものです。

11月上旬にリンパ節郭清+乳房全摘手術を受け、病理検査の結果が出ました。

Type: invasive ductal carcinoma o*scirrhous type
Size: 23mm
Invasion :f
ly2+ v-
Lymph node :1/9(リンバ節転移5mm1個)
Grade:TF:3 AT:2 MI:1*HG:2
HER2: 1+
J-score ER:3b
J-score PgR:3b
Allred score:
ER:PS(5)+IS(3)=8
PR:PS(4)+IS(3)=7
Ki67:5%
ステージ2b、ルミナルAだとわかりました。

しかし、全摘手術(乳頭乳輪温存)を受けたにもかかわらず、深部断端陽性であることが判明しました。
AE1/AE3免疫染色でも確認しているそうです。

主治医から3つの提案がありました。

1)経過観察。
もししこりが出たら取る(しこりが出た時点でがん細胞が血管に入り込んでいるではないかと不安)
2)放射線治療
3)追加切除(大胸筋を削る)
 とりあいずやれることは全部やると思い、その場で追加切除を選択しました。
ただ大胸筋側が断端陰性の可能性もあるし(手術不要)、削る場所と深部断端陽性の場所がずれる可能性もあるという説明も受けました。

 果たして自分の選択が正しいか不安です。

 田澤先生にお聞きしたいのは
1)深部断端陽性=大胸筋浸潤ではないですね。
がん細胞があるとしてもまだ「乳房内」と理解してもよろしいでしょうか?予後に影響があるでしょうか?
2)このようなケースでは(リンパ郭清+全摘手術後、深部断端陽性発見)田澤先生ならどういう治療を行いますか?追加切除後の放射線治療が必要でしょうか?ちなみに腫瘍の位置は左乳房の内側下部でした。
放射線治療で肺炎になるとか勝手に想像しています。
いろいろ不安です。

 お忙しいところ恐れ入りますが、ご回答いただけると幸いです。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

通常は深部断端は気にしなくてもいいと思いますが(ただし、術者自身が自信を持っていることが条件)『今週のコラム 86回目 このようにすれば、全摘で深部側断端が陽性となることはないのです』ご参照のこと。

「1)深部断端陽性=大胸筋浸潤ではないですね。」
→違います。

「がん細胞があるとしてもまだ「乳房内」と理解してもよろしいでしょうか?」
→大胸筋膜上の脂肪か、大胸筋膜上なのでしょう(もしもあったとしても)

 大胸筋浸潤を疑う根拠はありません。

「予後に影響があるでしょうか?」
→(もしも、あったとしても)「取ってしまえば」影響ありません。

「2追加切除後の放射線治療がが必要でしょうか?」
→追加手術するなら、照射は不要です。