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両乳房石灰化について

[管理番号:238]
性別:女性
年齢:32歳
先日、自費で乳がん検診を受けました。
年齢と断乳後6カ月とゆうことを考慮して今回は超音波検査と触診での検診を受けました。
結果が届いたのですが、触診→両側乳腺症、超音波検査→両乳房石灰化で(マンモグラフィーでの)再検査とゆう結果でした。
エコーでは石灰化は見つけられないとゆうのをネットで見て、エコーで映るくらいのものならあまり思わしくないものなのではないかと不安になってます。
良性の石灰化も多いとゆう情報もあるのですが、この結果を見る限りでの何かアドバイスいただけたら幸いです。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 (超音波での)「両乳房石灰化」要精査(マンモグラフィー)ですね。

回答

「超音波検査→両乳房石灰化で(マンモグラフィーでの)再検査」
⇒心配ないと思います。
 
「エコーでは石灰化は見つけられないとゆうのをネットで見て」
⇒正しい理解です。
超音波で正確に検出できる「石灰化」は「線維腺腫などにできる粗大石灰化」くらいです。
 
「癌が原因で起こる石灰化(壊死型石灰化)」が超音波で見える場合は、「腫瘤の中の石灰化」として見えます。
 つまり、超音波で(腫瘍が見えないが)「石灰化だけが見える」という所見は、「大したものではない」と思います。
⇒(先ほど挙げた)線維腺腫または(触診でも言われているような)乳腺症だと思います。
 
◎超音波で「石灰化」要精査というのは、あまり感心しません。
 私が「検診機関からの紹介で(超音波で石灰化)」というもので、まともな所見は殆どありませんでした。(殆どはマンモグラフィーを撮影すると石灰化などありませんでした)
★精密検査で「マンモグラフィー」を撮影して確認してみてください。(おそらく、大丈夫です)
 
 

 

質問者様から 【質問2 腫瘍の中の石灰化について】

先日は、ご返信ありがとうございました。丁寧な説明で不安も少しなくなりました。
先生が、おっしゃっていた癌による石灰化だと「腫瘍の中の石灰化」として超音波にうつる、とのことでしたが、もし今回このような可能性のあるものが超音波検査で確認されたのであれば、結果の報告書にも「両乳房に腫瘍、石灰化みられる」みたいにちゃんと書いてあるものですか?
それとも、そのようなものが(腫瘍)がなかったから書いてなかったとゆうことでしょうか?
また両乳房に、癌ができる可能性はよくあることなのでしょうか?
質問ばかりで申し訳ありません。小さい子が2人おりますので、不安な日々を送るのが怖くて再度ご質問させていただきました。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 再度のご質問ありがとうございます。
 それでは回答します。

回答

「もし今回このような可能性のあるものが超音波検査で確認されたのであれば、結果の報告書にも「両乳房に腫瘍、石灰化みられる」みたいにちゃんと書いてあるものですか?」
⇒そのような場合は、むしろ「両乳房に腫瘍疑い」となるでしょう。(腫瘍の所見があれば、わざわざ「不確実な」石灰化らしき所見には触れないと思います)
 
 腫瘍の中に「石灰化らしき所見」が有った場合は通常(わざわざ内部に石灰化所見を伴うとは表記せずに)「両乳房に腫瘍疑い」となります。
※あくまでも「超音波の目的は腫瘍の検索」なのです。「腫瘍の所見があるのに(不確実な)石灰化所見」だけを記載することは常識では考えられません。
◎今回、「石灰化」と記載されているのは、(本来の主たる目的である)「腫瘍の所見が無かった」事を意味しています。
 
「また両乳房に、癌ができる可能性はよくあることなのでしょうか?」
⇒多くはありません。
 正確なデータは無いと思いますが、(私自身が手術した)「直近の100症例を思い浮かべると、その内2例です」
 
 

 

質問者様から 【質問3 微細石灰化について】

ご丁寧なご返信たいへんありがとうございます!
本日、検診を受けた病院でマンモグラフィーを撮ってきました。
その前に担当の先生から話があったのですが、超音波検査をしてくださった方の書いた図のようなものを見せてくれて(エコー画像は直接見ませんでした)乳首の周り(外側に多く~あとはその付近にパラパラと…)点々がたくさん書いてある図でした。
先生曰く、「微細石灰化がみられる」とのこと。
パッと見た感じ左右対称とゆう感じの書き方でした。
良性の石灰化もあるが、中には悪性のものもあるので、マンモグラフィーを撮って詳しく見てみましょうとのこと。
淡々と説明を受け、質問しようとしてたことも質問できずに帰宅してしまいました。
前回の質問の際に、癌の場合だと腫瘍の中に石灰化がみられるとのことでしたが、素人なりにネットを検索していると「非浸潤性癌?」とゆうしこりのない、微細石灰化が初期症状としてあらわれる癌もあるとしり不安が募ってしまいました。。
癌ではなく乳腺症の場合でも、このように、微細石灰化のように見えたりするのでしょうか?
お忙しい中、何度も質問申し訳ありません。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 前回の回答が「やや中途半端」だったかもしれないと反省しました。
 「きちんとした説明が重要」であることを、再度学ばせてもらいました。ありがとうございます。
 通常は一般の人には「説明がややこしくなる」ので、(市民講座などでも)ここまではお話はしていないのですが、いい機会なので、この場を借りて説明します。
 かなり長い内容になってしまいましたが、是非通して読んでください。
「石灰化のエコー所見」
 これだけならば、「乳腺エコーに慣れた技師さん」にも詳しい人はいるでしょう。
 但し、実臨床の場で、マンモで石灰化を確認した上で「それが超音波ではどう見えるか?」を常日頃から実践している「(自ら超音波を施行する)乳腺専門医」にはどうしても敵いません。
 なぜならば「技師さんが問題集を解きっ放し(回答を知る機会がない)」、となるところを、我々乳腺専門医は「最終的な回答まで確認する機会を日々得ている」からです。
 我々は、「組織検査」⇒「手術」という過程を踏みながら、「それら所見」を「確かな経験」へ変換しているのです。
 その経験に基づいた内容を以下に記載します。
 乳腺に起こる石灰化がどのように見えるのか?
 「超音波」と「マンモグラフィー」に分けて説明します。
 

石灰化がどう見えるか?

「基本編」
 石灰化はマンモグラフィーの所見である。
 ※世の中には「超音波で石灰化をみつけてやる」みたいな「マニアックな」技師さんも存在するかもしれませんが全く無意味です。
 (超音波で石灰化を見つけようが、見つけまいが)最終的には「石灰化は必ずマンモで確認しなければならない」のです。(超音波だけで石灰化を見つけても無意味です)
 
 
●逆に、「マンモで石灰化を確認した後」に超音波で「あー、ここに石灰化の所見がある」と探す事は意味のある行為です。
⇒(何故ならば)「マンモで石灰化が怪しいと思った際に超音波で、位置を特定できれば、超音波ガイドの細胞診や針生検ができるからです」
 ※ステレオガイド下マンモトーム生検(ST-MMT)があれば、必要ないことではありますが…(ST-MMTは超音波で見えない石灰化でも検査できるからです)
 これが大前提です。
  
 例えば「我々専門医」が「Aさんの所見は右石灰化カテゴリー3です」と言った時、(誰一人として)それが「マンモグラフィーの所見である事に疑いを持ちません」
    
 逆に、「超音波検診で石灰化を指摘」などという記載を見たら、「本当かな? クーパー靭帯とか何かと見間違い(artifact)じゃないの?」「マンモで石灰化あるの?」と必ずなります。
 つまり「超音波所見での石灰化は正式な所見ではありません」:正式には高エコースポットと表現します(つまり本当に、その所見が石灰化とは断言できないのです)
 我々専門医でも、(マンモで、この辺りに石灰化があると解っていれば)超音波をした際に、「あー、確かにここに(石灰化と思われる)高エコースポットがあるね」と断定できますが、(マンモで石灰化を確認していない時点で)超音波で余程の「明らかな所見」が無くては「これは石灰化だ」とは指摘はしません。
 
★今回マンモ無しで(おそらく検診の技師さんが行ったと思われる)「両側乳腺石灰化」という所見は、どのようなものが考えられるのか?
   ↓
(前述したように)マンモ無しで「石灰化」だけを指摘するのは「かなり派手な所見」が想像されます。
 
「応用編」
様々な疾患が「マンモ」と「超音波」で其々どのように見えるのか?

①(陳旧性)線維腺腫にできた(粗大な)「石灰化」
マンモでは? ⇒腫瘤と、その内部に「粗大な(大きな)」石灰化
超音波では? ⇒腫瘤と、その内部に「粗大な(大きな)」石灰化
※この場合には、マンモと超音波で「ほぼ同じ所見」となります。
②乳腺症にできた(微細な)「石灰化」
マンモでは? ⇒(通常は両側に)広範囲な「微細な」石灰化のみ(勿論腫瘤などの所見はありません)
超音波では? ⇒乳腺症所見(乳腺症所見は正常範囲内なので敢えて記載せずに「正常」とする事が多い)
※乳腺症にできた石灰化は超音波で見えるのか?
 石灰化の多いタイプ(相当密度が高く、数も無数)であれば、石灰化が指摘できます。
 パラパラとした(密度が低く、数少ない)石灰化ならば、解らないと思います。
③癌にできる(微細な)「石灰化」
これは第1段階「乳管内に癌細胞が発生し、乳管内を増殖(非浸潤性乳管癌の状態)」
⇒第2段階(やがて乳管内の癌細胞の一部が壊死を起こし)「非浸潤癌の中に(微細)石灰化がある状態」
⇒第3段階(乳管内を増殖しながら、壊死の癌細胞も増加し)「広範に拡がった非浸潤癌の中に石灰化が増加している状態」
⇒第4段階(ついに、癌細胞が乳管を破って)「しこりを形成=(浸潤癌である)乳頭腺管癌」と名前が変わります。

 
 ※癌の場合は、これら4段階に分けて「マンモと超音波の所見」を考えなくてはならないのです。(ここまで来ると、かなり専門的ですが)

癌の第1段階
マンモでは? ⇒見えません(所見なし)
超音波では? ⇒見えません(所見なし)
癌の第2段階
マンモでは? ⇒微細石灰化(集簇)として指摘されます(通常この段階ではカテゴリー3)
超音波では? ⇒見えません(マンモを参考にして探しても見えません)
癌の第3段階
マンモでは? ⇒微細石灰化(区域性:カテゴリー4、もしくは5)として指摘
超音波では? ⇒「腫瘤非形成性病変+石灰化」
「乳管拡張+石灰化」
「多発嚢胞+石灰化」
「多発小腫瘤+石灰化」
などなど、
◎決して「石灰化単独の所見」はありえません。
 
「腫瘤非形成性病変」とは、どんな所見か?

  1. (局所的な)乳管拡張、及び(拡張乳管内の)微小な「腫瘤」所見
  2. 一見ただの多発嚢胞にみえるが(実は乳管内の)「微小な腫瘤の集簇」所見
    (この所見が検診の場でしばしば多発嚢胞:良性と間違われてしまい)後日「ただの嚢胞と言われていたのに、急に大きな癌が発生」となるケースが散見されます。
    ★この場合には「乳管内に」微細石灰化も見えてきますが、「乳腺石灰化のような(石灰化単独の指摘)記載にはなりません」
癌の第4段階
マンモでは? ⇒腫瘍がはっきり写ります(微細石灰化を伴う)
超音波では? ⇒腫瘍がはっきり写ります(腫瘍内やその周辺に)高エコースポットもはっきりします。

 

今回の(マンモ無での)超音波での「両側石灰化」は、一体どれを指しているのでしょうか?

①(陳旧性)線維腺腫でしょうか?
⇒違うようです。「微細石灰化がみられる」という担当医のコメントからは、粗大な石灰化ではないことがわかります。
 
②乳腺症でしょうか?
⇒可能性が高そうです。
 (前述したように)乳腺症所見(乳腺症所見は正常範囲内なので敢えて記載せずに「正常」とする事が多い)自体は指摘されない事が多い。
 これで石灰化の多いタイプ(相当密度が高く、数も無数)であれば石灰化が指摘できます。
      ↓
 この場合には、「質問者の状況(超音波での両側石灰化の記載)」にぴったり当てはまります。
 
それでは③癌 は当てはまらないのでしょうか?
第1段階~第4段階まで1つ1つ丁寧に見ていきましょう。

癌の第1段階
⇒(全く所見がないので)当然当てはまりません。
癌の第2段階
⇒(極僅かな石灰化は超音波では、そもそも見えないし)しかも今回は「点々がたくさん書いてある図」との表現であり「当てはまりません。」
癌の第3段階
⇒やはり、当てはまりません。
一見、石灰化が広範囲に拡がった状態だから「当てはまるのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、質問者の所見「両側石灰化」とは決定的な違いがあります。
★癌の場合は「石灰化だけではなく」必ず「腫瘤非形成性病変」の所見が加わる筈だからです。
 
例)「腫瘤非形成性病変」及び石灰化
 多発嚢胞+乳管拡張及び石灰化
 多発小腫瘤+石灰化
 などなど、となります。決して「両乳房石灰化だけの記載」とはならないのです。
癌の第4段階
⇒やはり、当てはまりません。
 この場合には、「石灰化を伴う腫瘍」 とか腫瘍+石灰化とか
 ※腫瘍を無視した記載となる事は、ありえません。

 
  

質問者へ伝えたい事

 ①陳旧性線維腺腫、②乳腺症、③癌(第1段階から第4段階まで)全てを丁寧に確認しましたが、超音波で「両乳腺(微細)石灰化(だけ)の記載」に相当するのは②だけである事が解ります。
 
 
マンモで「両乳腺(微細)石灰化の記載」に相当するものは
②乳腺症もあてはまりますし、
③癌の第2段階もあてはまります。
癌の第3段階もあてはまります。
※癌の第4段階はあてはまりません(この場合にはマンモでも腫瘤が見えるため)「石灰化を伴う腫瘤」のような記載となります。(腫瘤を外した記載には決してならないのです)
 
「非浸潤性癌?」とゆうしこりのない、微細石灰化が初期症状としてあらわれる癌もあるとしり不安が募ってしまいました。。癌ではなく乳腺症の場合でも、このように、微細石灰化のように見えたりするのでしょうか?」
「微細石灰化が初期症状としてあらわれる癌」

⇒これこそが癌の第2段階から第3段階であり、
 マンモの所見では「乳房石灰化」となりますが、
★超音波の記載では当てはまらない(第2段階は超音波で見えない、第3段階は石灰化のみの記載にはならない)事を理解していただけたでしょうか。
 

まとめ

 「石灰化」という所見はマンモと超音波で意味合いが異なるのです。
 今回の質問者の「超音波での両側石灰化という記載」は以下の★に当てはまります。
 マンモでの「石灰化(だけの)記載」⇒乳腺症も乳癌もありうる
★超音波での「石灰化(だけの)記載」⇒乳腺症しかない
 
◎超音波での「腫瘤非形成性病変及び石灰化の記載」⇒乳腺症も乳癌もありうる
 超音波での「(多発のう胞、もしくは乳管拡張及び石灰化の記載」⇒乳腺症も乳癌もありうる
 
 

 

質問者様から 【質問4 石灰化について】

田澤先生、こんばんは。先日は、お忙しい中お返事を下さり本当にありがとうございました。
私のような素人でもわかるくらい、詳しい説明で何度も何度も読ませていただきました。
マンモとエコーの違いについては、自分なりに理解したつもりです。まだマンモの検査結果はでてないのですが、もし、今回の検査で何か見つかったとしても(悪性のもの)それは、エコーとは関係なくあくまでも新たに、たまたま見つかったもの、とゆう考えでいいのでしょうか?(何もないに越したことはないのですが)
あと、心配のない石灰化、もしくは乳腺症だったとして、石灰化のタイプとしてエコーでも指摘できるほどの密度の濃い石灰化が多いタイプであったとするならば、良性でも何か治療等したほうがいいのでしょうか?それとも放っておいていいのでしょうか?
まだ検査結果もでてないのに、このようなことを聞くのもあれなのですが、やはり自分の体のことですので気になります。。
 

田澤先生から 【回答4】

 こんにちは。田澤です。
 前回(やや専門的すぎて、少々難解となってしまった感のある)回答をしっかり読んでいただき(しかも良く理解していただき)、うれしく思います。
 
★2~3年前までは超音波検診所見で「石灰化」という記載など想像したこともありませんでしたが、「超音波が高性能となり、石灰化を捉えられるようになった事や、技師さんの技術向上もあるのでしょう」ここ1~2年で「ごくたまに」見る事があります。
 最初は(検診票の超音波所見の欄に、石灰化と書いてあると)「見間違い?マンモの所見を超音波の欄に書き間違い?」かと、思っていましたが、どうやら「この高エコースポットは石灰化の筈だ!」と自信に溢れた超音波技師さんが増えているようです。(いいことか、悪い事かは解りませんが…)
 私の経験上、「超音波検診所見で石灰化」として要精査とされた方に「実際に石灰化の有った方はせいぜい半数位」で、「その実際に石灰化の有った方の所見は全て、線維腺腫に伴う粗大石灰化」でした。(一応付け加えておきます)
 

回答

「今回の検査で何か見つかったとしても(悪性のもの)それは、エコーとは関係なくあくまでも新たに、たまたま見つかったもの、とゆう考えでいいのでしょうか?」
⇒)もし、マンモを撮ってみたら「癌に伴う微細石灰化」所見であった場合(その可能性はかなり低いとは思いますが)は、「たまたま、見つかった」というよりは、超音波で「石灰化以外の本来捉えるべき所見(小腫瘤の集簇や乳管拡張などの腫瘤非形成性病変)を見逃した」と言う事になります。
 さすがに、「超音波検診で、本来捉えるべき、それらの所見を見逃して」石灰化だけを捉える可能性は非常に低いと思います。それでは「超音波検診の意味」がありません。
 しかも今回は両側です。私には想像できません。
 
「乳腺症だったとして、石灰化のタイプとしてエコーでも指摘できるほどの密度の濃い石灰化が多いタイプであったとするならば、良性でも何か治療等したほうがいいのでしょうか?それとも放っておいていいのでしょうか?」
⇒放っておいていいです。
乳腺症は乳癌にはなりません。(乳がんも勿論乳腺症にはなりません)
 
★石灰化は、ただのカルシウムです。
 石灰化には何も罪はありません。「乳腺症の石灰化」は乳癌にはならないのです。
 
 

 

質問者様から 【質問5 マンモグラフィーの結果】

田澤先生、こんばんは。
先日受けたマンモの検査結果を聞いてきました。両乳房に微細石灰化があるものの、パラパラと散らばっていることと、両乳房にあるとゆう点で大丈夫だろう、とのことでした。(右胸にはパラパラしてる石灰化よりも少し大きくはっきり見えるものあり→これは明らかに良性との説明あり)
 
ただ、明らかに良性な石灰化だけならいいけれど、この散らばっている石灰化は多少気になるタイプだから(このパラパラしたのが1点に集中したりとか→集簇? 乳管に沿ってできたりしないか見たいとのこと)これからは年に1回は検診を受けて下さいとも言われました。
 
診察の際に先生が持っていた紙を見せてもらったのですが、「カテゴリー2 良性」とゆうところに、に印がつけられていて、先生には「ほとんどの人がマンモで石灰化あってもここ(カテゴリー1 異常なし)なんだけどね~、今30代の人でもけっこう癌多いからね、ご家族で血縁関係ある女性で乳がんだった人はいる?(いません)」とか言われ、大丈夫と言われたものの、何だか後味の悪い診察でした。。
 
田澤先生が、過去に回答した中で下記の記述を見つけました。↓↓
 
 
「カテゴリー1から2になったのは良性でも悪性に変わることはあるのでしょうか」
⇒良性が悪性になることは全くありません。
◎カテゴリー1と2の違いは実は、我々は意識していません。「同じ所見」を見ても、「明らかに良性」だから「正常と同じ。カテゴリー1」と付ける事もあれば、「明らかに良性」だけど「所見があるから、カテゴリー2」と付ける事もあります。
 カテゴリー1と2は気にしなくても全く問題はありません。
★カテゴリー3に変化することは、全くありませんから安心してください。
 
 
との記述がありましたが、
私のような症状でも気にしなくてもいいのでしょうか?先生には詳しい検査(針とかさして調べる、、なんてゆうのでしたっけ?)それは必要ないと言われました。
石灰化は、私が見て感じ(マンモ画像)乳首付近に、2つ少し近くにあったりしましたが、あとはパラパラと両乳房にあり一つに固まってたくさん、とかはなかったように思います(先生もそれはないとおっしゃってました)
 
乳腺症とは関係ないとはっきり言われ、だったら密度の多い石灰化のタイプとは違うのだろうか…とか、微細石灰化でも出来方などではっきりと良悪がつかないのだろうかなど疑心暗鬼になってしまってます。
 
こんな拙い文章(しかも長文)ですが、田澤先生のごいけんをうかがえたいと思いご連絡差し上げました。宜しくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答5】

 おはようございます。田澤です。
 「超音波で石灰化(だけが)指摘」され、「マンモグラフィー」を撮影してみた結果ですね。
 「良性」ということで、おめでとうございます。(予想どおりですね)
 
 石灰化は(画像をこの目で見てはいませんが…)メール内容を拝見するに、「び慢性」もしくは「散在性」と表現できそうですね。
 心配ありません。
 ただの乳腺症に伴う石灰化です。
 担当医は自分でステレオガイド下マンモトーム生検(ST-MMT)をした事がないのでしょうが、私は1000以上(すでに1200位?)やっているので、おおよそ「その石灰化」を摘出した場合の「病理像」まで想像できます。
※「軽度のadenosis様の小型乳管を認め一部嚢胞状拡張を認める。またductal hyperplasiaやcystic changeを一部に認める。上皮は概して委縮性です」
 
 もちろん、「明らかな散在性」の石灰化に対してST-MMTはしませんが、「散在性の中に、やや集簇傾向の強い部分」が有る場合には「患者さんの希望に応じて」何度もST-MMTをしています。
 私は(自分で採取した石灰化を含んだ生検標本を自ら顕微鏡で見た事が何度もありますので)おおよそ「病理像」も目に浮かぶし、そのレポートも何度も見ています。(それが上記※です)
 全く心配ありません。

回答

「この散らばっている石灰化は多少気になるタイプだから(このパラパラしたのが1点に集中したりとか→集簇? 乳管に沿ってできたりしないか見たい」
⇒(実際のマンモグラフィー画像を見ていない上ではありますが…)私の意見を言わせてもらえば、「担当医の考え過ぎ」にしか思えません。(もし本当に気になるなら1年後ではなく、半年後でしょう)
 (癌に伴う)「石灰化の成り立ち」を考えれば解ると思います。
 現在、(ぱらぱらと)び慢性にある石灰化が、(実は、それぞれに)癌が発生していて、これから「数か所から同時に」癌が増殖して(それに伴い)石灰化が増えてくる。
 そんなストーリーはありません。
 
◎実際に私がST-MMTをしていて感じるのは、「癌の始まりの石灰化」はやはり1箇所なのです。
 (最初は)「マンモグラフィーでも見逃していまう様な石灰化」⇒「やや明瞭になりながら増加」⇒「線状/区域性に配列」がパターンです。
 
 「び慢性」もしくは「散在性」石灰化の一部が集簇してきて、「結局、癌(に伴う)石灰化」だった。など考える必要はありません。
 「石灰化の増加(集簇)」は必ず一点から起こるのです。
 
「私のような症状でも気にしなくてもいいのでしょうか?」
⇒気にしなくても大丈夫です。(上記のとおり)
 
担当医の発言「ほとんどの人がマンモで石灰化あってもここ(カテゴリー1 異常なし)なんだけどね
⇒全く意味がありません。
 しかも担当医はカテゴリーの意味を誤解しているようです。
 カテゴリー2とは「明らかな良性所見」なのです。(カテゴリー2とするからには良性と断定されるべきものであり、「多少は気になる」とか本来コメントしてはいけません)
 本当に「多少は気になる」のであれば本来「カテゴリー3」としなくてはなりません。
「乳腺症とは関係ないとはっきり言われ、だったら密度の多い石灰化のタイプとは違うのだろうか」
⇒(担当医が何を根拠に言っているのか不明ですが)上記で述べたように「明らかに乳腺症に伴う」石灰化です。心配ありません。
 
◎私の感想
 結局、カテゴリー2(1)両側良性石灰化であるのに、(私なら)「乳腺症に伴うもので、全く問題ありません。」検診を来年も受けてください。
 と言うだけのところを、
 担当医が(あきらかな良性所見)ではるはずのカテゴリー2をつけておきながら、「乳癌の可能性も完全には否定できない」みたいな根拠のない言い方をするので、不安となるのです。
 
 「良性所見を良性と診断(断言)する」簡単なようで、本当に診療経験が豊富で自身が無い限りできない事なのかもしれません。
 担当医は(失礼ながら)このような石灰化が「良性所見」である確信が持てないのでしょう。
 
 全く問題ありません。カテゴリー2は「明らかな良性所見であり、カテゴリー3にはなりません」