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部分切除手術後の治療について

[管理番号:12088]
性別:女性
年齢:56
病名:
症状:
投稿日:2024年09月27日

43歳から低用量ピル服用。50歳からホルモン補充療法(エストロジェル経皮塗)、祖母が乳がんのこともあり、婦人科医師のすすめにより、1年に1回、近医の乳腺外科にてマンモとエコー実施。

2024年5月エコーにて、左乳房に腫瘍が見られ、3か月後に受診するようにとの指示で、8月に再度エコーをしたところ。大きくなってきているとのことで、現在の病院に紹介される。現在の病院にて針生検実施し、下記結果により乳がんと確定診断。

病理組織診断:
左乳房 C領域 浸潤性乳管癌(針生検による)

所見:
乳腺生検体:

? 針生検 L, CNR
? Ca(+), 4/4本

組織型 (Japan 18th): IB3a1、浸潤性乳管癌、管形成型
Grade: T.F.1、NA:2、MC:1=HG:1、NG:1
組織学的波及度: 少なくとも(+)
最大浸潤径: 3mm
in situ(非浸潤癌): cribriform(篩状構造)

バイオマーカー:

? ER Allredスコア 8 = PS(5) + IS(3) (>95%)
? PgR Allredスコア 8 = PS(5) + IS(3) (90%程度)
? HER2: 2+、Ki67 LI: 20%程度(ホットスポット)

9月(上旬)日に乳房温存部分切除。主治医の話では、乳頭の方が少し硬く感じたため、少し大きめに切除とのこと。センチネルリンパ生検では0/2でリンパ節郭清なし。

切除部分病理検査の結果、どこにも病変が見つからないとのことだが、今後10月末から、放射線16日間とホルモン療法(アロマターゼ阻害薬)を開始予定。

質問1)針生検の際にあった癌はどこにいったのでしょうか?その後の、造影剤MRIでは白くうつっていました。

質問2)このような状態で局所再発の可能性はどのくらいあるのでしょうか?
    遠隔再発の可能性はほぼないと考えていますが、あってますでしょうか?

質問3)術後治療はどこまで必要でしょうか?
放射線単体の場合とホルモン療法をプラスした場合に再発率はどの程度違いがあるのでしょうか。
治療は最低限にしたいと思っており、 ホルモン療法は私としてはできればやりたくないです。
 理由としては、現時点で骨粗しょう症(大腿骨、骨盤ともに同年齢比71%程度)

で今後、骨粗しょう症外来にて治療予定であること、趣味がジョギングと山登りであり、筋肉や骨が弱るようなことはしたくない。ホルモン補充療法を1か月以上やめたことで、膣乾燥などの影響が出てきており、これ以上、女性ホルモンを減らすことへの懸念がある。価値観として、長く生きることに執着はなく、現在のQOLを重視したい。

素人考えでは、これまでのホルモン補充療法を中止したことで、充分なのではないかと思っています。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

切除部分病理検査の結果、どこにも病変が見つからないとのこと
⇒これは注意が必要な内容です。

★理論的に考えて以下の3通りのどれかとなります。
1.(術前の)針生検で病変が取りきれてしまった。
2.病理医の検索が不十分
3.病変を取り残してしまった。

質問1)針生検の際にあった癌はどこにいったのでしょうか?その後の、造影剤MRIでは白くうつっていました。
⇒これは無論、執刀医から「何故なのか?」説明されている筈です。(そうでなければ誰も納得できません)
冒頭の★で言えば
1の可能性を考えるのは
①石灰化所見のみで(しかも狭い範囲)エコーでそもそも不明であった程度の所見
②(エコーで見えていたとしても)、非常に小さい病変であり、それを(通常のバネ式ではなく)MMTEでかなり削り取った

(2の可能性は実際には殆どなく)上記①②以外では3となります。(手術病理で「針生検の瘢痕が認めレれますが腫瘍は存在しません。生検で取りきれてたと思われます」などの記載もないのですか?)

質問2)このような状態で局所再発の可能性はどのくらいあるのでしょうか?
⇒上記「質問1」次第です。
もしも本当に「3.病変を取り残してしまった」のであれば「局所再発必発」と考えるべきです。(それを防ぐために放射線+ホルモン療法という考えであれば、それはナンセンスです)
    
遠隔再発の可能性はほぼないと考えていますが、あってますでしょうか?
⇒上記「質問1」次第です。

針生検での浸潤径「3mm」は「手術標本で(それ以上の病変が本当に無いという)証明されていない限り、無意味(浸潤径不確定)」だからです。

質問3)術後治療はどこまで必要でしょうか?
⇒繰り返しですが、少なくとも再度エコーして「取り残しはない」ことを確認すべきです。

♯取り残しの疑いがあれば再手術すべきであり、もしも「取り残しは無い」と確定す
れば「無治療でOkです。(本当に、浸潤径は3mmで針生検で本当に取りきれる程度の病変であれば)」

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2024/10/7
***

  

質問者様から 【質問2】

再質問 術後のホルモン治療について
性別:女性
年齢:56
病名:
症状:
投稿日:2024年10月07日

田澤先生、前回はありがとうございました。
質問した時は混乱していて、回答を読み返して、主治医が病理再検査に出してくださっていることを記入しもれていることに気がつきました。大事な情報が漏れており、申し訳ありません。
病理再検査の結果、病変が見つかり(スライスの幅に落ちていたとことこ)、下記、病理結果となりました。

質問1
主治医からは予定通り、放射線とアロマターゼ阻害薬5年と言われてますが、ホルモン療法は必要でしょうか?
前回書いたように、ホルモン補充療法を切って2が月たち、ホットフラッシュなどの更年期症状にかなり悩まされており、これ以上酷くなると日常生活に支障をきたすため、やりたくありません。

主治医とはその旨相談しており、乳がんガイドラインのFRQ2 浸潤径0.5cm以下でリンパ節転移陰性のホルモン受容体陽性乳癌に対して、術後内分泌療法省略は推奨されるか?
でエビデンスが示されていないものの、大きさ、タイプ、転移なしの状況から、最終的には私の希望で決めましょう、とおっしゃっていただいてますが、田澤先生はどのようにお考えになりますか?

質問2 ホルモン療法をやるのであれば、放射線が終わって、今の更年期症状のコントロール法が見いだせてから開始したいと思うのですが、手術からホルモン療法開始までの期間が長いとあまり意味はないのでしょうか。
放射線に関しては20週間以内に開始、とあるようですが、ホルモン療法に関しては基準があるのでしょうか?
ちなみに放射線は混んでいるため術2カ月後ぐらいからの開始になります。

病理結果
診断名: Invasive carcinoma of the left breast, partial mastectomy.

乳腺切除検体:

? 大きさ: 7.5×6.5×3.0cm
? 追加切除: 5.5×2.2×2.0cm

主病変:

? 切除断端: Bp+SNB+Additional resection ? Fr(-)→Ax略
? 腫瘍径: 4x3mm、浸潤径(最大): 3x3mm
? 組織型: (Japan 18th): IB3a1, Invasive ductal carcinoma,
tubule forming type.
? 組織型(WHO 5th): Invasive breast carcinoma of no special
type.
? UGICT: PT1a, PN0(SN)
? リンパ節転移: (-)
? 脈管侵襲: LYO(HE), VO(HE) (-)
? 構造: 管状、嚢胞状
? TIL: 3%程度(#7逆)
? 石灰化: (-)

バイオマーカー:

? ER Allred score: 8 ? PS(3)+IS(3) 95%
? PgR Allred score: 8 ? PS(0)+IS(1) 1%
? HER2: 2+ Ki67 LI: 3%程度

遺伝子検査追加中

リンパ節: 0/2個

1. 術中清掃(0/2): SLN1 (-), SLN2 (-)
2. 術前診断(0/0)

追加所見:

? 背側に逆出し瘢痕を認める。Needle scarあり。

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

病理再検査の結果、病変が見つかり(スライスの幅に落ちていたとことこ)、下記、
病理結果となりました。
腫瘍径: 4x3mm、浸潤径(最大): 3x3mm

⇒「取り残しでなかった」ことが判明して本当に良かったですね!

無論、この程度では全身療法は不要 放射線照射も省略してもよいとなります。
(放射線は患者さんがご希望されれば行いますが、ホルモン療法は私なら行いません)

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2024/10/23
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