Site Overlay

タモキシフェン再開と放射線治療について

[管理番号:11146]
性別:女性
年齢:49
病名:左乳がん 硬性癌
症状:
投稿日:2023年5月31日

田澤先生、はじめまして。

いつもこちらのホームページで勉強させていただいており、このような場を作っていただけてることを感謝しています。

今回お伺いしたいのは、上記の件です。

2022年2月クリニックにて定期検診時左乳房に嚢胞指摘され、9か月後の12月にエコー検査を受けた際、全く違う場所に10ミリ台の充実性腫瘤を指摘。

吸引細胞診は良性でしたが、バネ式針生検で悪性と診断されました。

ホルモンはエストロゲン3b プロゲステロン3b Her-2score1 核異形度grade1 ki-67 28% でした。

乳腺外科のある総合病院へ紹介され、
当初CTでリンパ節転移指摘できずの判断で、造影MRIでは、浸潤の大きさは10ミリくらいだか、広がりが2-3センチありそう、それも乳頭下にちかくあるので、乳頭温存はむずかしい。
術式は全摘になるが、リンパ節センチネル生検の結果で決めましょう、術後はホルモン剤10年と保険通ったばかりのTs-1を1年内服というお話でした。

私自身はki67が高めなので、いわゆるルミナルBとしてケモも必要ではないかと考え、そこはオンコタイプdxを行い決めていきましょうと合意しました。

再建については私自身はまだそこまで考えられる心理状況でなかったのですが、主治医の、今後の生活のなかで再建したくなる時期が必ず来るだろうから、いまもうひと頑張りして、積極的に考えてみたほうが良いという意見をなるほどと納得し、ならばとエキスパンダーを入れてくれる形成外科の先生が来てくれる日をえらんで2月半ばにオペとなりました。
(それまで1か月ほどタモキシフェンを飲みました)

手術当日、術中センチネルの結果を待つ間にエキスパンダーを入れ、
その後センチネルが3ミリで陽性判明してしまい、そのままリンパ節郭清となりました。

術後病理では
組織型:浸潤性乳管癌,硬性発育型
大きさ:浸潤径12X11mm(浸潤巣内に乳管内病巣あり)
病理学的T因子:pT1c
リンパ節転移の有無:3/13【センチネルリンパ節に転移あり(1/1.(2/12)] 病理学的N因子:pN1a
側方断端の評価:

最も頭側で腋窩に近い部位に原発巣と同様の組織像を呈する腺癌病変径2ミリ??4ミリが脂肪組織内に認められます。
同病巣は深部切除断端に露出しています(癌組織の露出と判定した部位は熱焼灼されていますので、切除縁と判定しました)。
この腺癌組織は主病巣から離れた部位の脂肪組織内に存在し腋窩に近いことから、腋窩リンパ節への転移巣ないしはリンパ節への転移巣から周囲の脂肪組織に進展した病巣の可能性がありますが、組織標本上ではリンパ節固有構造は確認できず、由来の確定は困難です。

リンパ管浸襲:Ly(D2-40の免疫染色で精査してみます)
静脈浸襲:V0
組織学的波及度:f
組織学的グレード分類:
核グレード:Grade 1(核異型2点、核分裂像1点)
組織学的グレード:Grade Ⅱ(腺管形成3点,核分裂1点 核異形2点)

上記のような結果となり、術後補助療法の方針が抗がん剤と放射せ線治療を追加するというものにかわりました。

下線部の病変は、切除した脂肪組織のかなり際のほうにあり、同様の病変がほかにも散らばっている可能性があるとの考えのもと、放射線治療を早めに行うほうがよいと判断されました。

まず3月上旬よりEC療法4クール(3週毎)その後5月末エキスパンダー抜去と再建(腹部穿通枝皮弁の自家組織)手術が終わりました。

(現在術後四日目です)この後6月半ばから放射線治療5週間→7月下旬ドセタキシル4クール開始の予定です。

抗がん剤と放射線治療両者やる場合には基本的には抗がん剤を優先する原則があるとのことで、この順番に悩みましたが、論点が複数に、なってしまいますし、今回はここはスルーします。

次のケモまで少し間が開きます。
この2か月弱の間、タモキシフェンを再開するかどうか、悩んでいます。

放射線腫瘍学会のサイトでは、この点について、インビトロでは細胞周期がタモキシフェンを使うと放射線感受性の低い割合か増えるという点で併用しないほうが良いと理論的にはいえるものの、インビボでの実際の動物実験では併用群のほうがその後の成績が良かったと、まだ一定の見解が無い状態と読みました。

田澤先生の患者さんのなかにも、このようにケモとケモの間に、放射線治療を入れる方はいらっしゃいますか。
いらっしゃれば、その方にはタモキシフェン再開を指示されますか。

私の主治医は、これはもうどちらが良いと明らかなエビデンスが無い話だから、私の気持ちの問題でもあると、私に判断を委ねてくださいました。

局所再発も抑えたいし、全身の治療も忘れたくない、という気持ちです。

お忙しいところを大変恐縮ですが、先生のご意見をお伺い出来ればと思い質問させていただきます。
どうぞよろしくお願い致します。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

田澤先生の患者さんのなかにも、このようにケモとケモの間に、放射線治療を入れる方はいらっしゃいますか。
⇒いらっしゃいません。

いらっしゃれば、その方にはタモキシフェン再開を指示されますか。
⇒いらっしゃらないながら、回答すると…
わざわざ、そんな短期間のためにホルモン療法を勧めることはありません。(この場合docetaxel後に開始します)
ご参考に。

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/6/9
***