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リンパ節転移の捉え方

[管理番号:11098]
性別:女性
年齢:50歳
病名:乳癌
症状:
投稿日:2023年5月14日

妻が乳癌となり、情報漁っているとここへ辿り着きました。

大変参考になっており、日々の診療だけでもお忙しいのにこの様に広く質問をお受けになられている田澤先生に感謝します。

早速ですが、上記の通り妻が乳癌となりました。
現在の経過と質問を記載します。

術前情報
左乳癌、画像上のしこりの大きさは12~17
ミリ程度、ルミナールタイプ、HER2
2+→FISH陰性、KI67→28%
医師からは温存手術+センチネルリンパを行う。
KI67はグレーゾーンなので術後の病理検査で考えていきましょうとのこと。
また、エコーやCT、MRIにて転移は見られないとのことでした。

手術情報
コロナ対策とのことで立ち合いできず、術後電話連絡のみ受けました。
センチネルリンパにて転移確認されたのでリンパ郭清をしたとのこと。
詳しい治療方針は病理検査後にと話されました。

現在
妻は入院中で病理検査結果待ちですが、医師と話をする時に違った認識を持って行かないよう勇み足かもしれませんが以下より質問します。

乳癌の治療について
①KI67が20%未満ならルミナールAでホルモン療法。
②KI67が30%以上ならルミナールBでホルモン療法+抗がん剤治療
③ki67が20~30のグレーゾーンなら核グレード等の情報も加味して判断、もしくはオンコタイプdx実施にて判断。

以上のような認識で良いでしょうか?
リンパ節転移について
ここが今一つ理解できていません。

リンパ節転移は局所なので郭清が一番の治療、よって病理検査で転移が1~3個なら追加では何もしない。
放射線治療も浮腫誘発に繋がるからしない。

転移が4個以上の時は抗がん剤や放射線治療が適応となるのでしょうか?上記したようにリンパ転移だから抗がん剤はナンセンス、放射線治療は浮腫誘発と認識していたのでこの3個と4個の違いがどう違うのか、
局所だから元の乳癌のサブタイプとリンパ転移は関係ないのか等変な方向に考えているようでシンプルにこうだよと教えていただきたいです。

最後に治療が進めつつ、今後の検査については主治医に3ヶ月毎のエコーと腫瘍マーカーでお願いしていこうと思いますが、腫瘍マーカーはどの部位をお願いするのがいいのでしょうか?
再発や他転移等させないためにできることはやるというスタンスで夫婦共にいます。

とりとめのない文章になりましたが、宜しくお願いします。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

乳癌の治療について
①KI67が20%未満ならルミナールAでホルモン療法。

②KI67が30%以上ならルミナールBでホルモン療法+抗がん剤治療
③ki67が20~30のグレーゾーンなら核グレード等の情報も加味して判断、もしくはオンコタイプdx実施にて判断。

以上のような認識で良いでしょうか?
⇒せっかく現在はOncotyepDX無償提供プログラム期間なのだから、
Ki67の数値に関係なくOncotyepDX無償提供プログラムをお勧めします。
★ただし、リンパ節転移3個以内及び(術後に)ホルモン療法を開始していないことが条件となるので…

1.早急にホルモン療法を開始することは控えましょう。
2.SN陽性にて追加郭清しているようなので、最終病理結果で(リンパ節転移が)3個以内ならば、(上記)OncotyepDX無償提供プログラムを行いましょう。
3.もしもリンパ節転移が4個以上ならば、抗がん剤(この場合にはanthracycline+taxane)及び、照射の際には「温存乳房+鎖骨上」照射としましょう。

転移が4個以上の時は抗がん剤や放射線治療が適応となるのでしょうか?
⇒上記のように…

リンパ節転移4個以上であれば、(OncotyepDX無償提供プログラムの適応外となるので)是非(上記3で示した)抗がん剤(anthracycline+taxane)をすること+照射は(温存乳房に加え)鎖骨上まで照射野に含めましょう。

3個と4個の違いがどう違うのか
⇒疑問はご尤もです。
単純に「臨床試験に従った」方針であるとご理解ください。
★現時点ではリンパ節転移4個以上では(抗がん剤を省略してもいいというエビデンスがないので)抗がん剤が推奨されているのです。(理論的な理由では無いのです)

腫瘍マーカーはどの部位をお願いするのがいいのでしょうか?
⇒部位ではなく、項目です。

 CEAとCA15-3の2項目にしましょう。

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***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/5/22
***

質問者様から 【質問2】

術後治療について
性別:女性
年齢:50歳
病名:乳癌
症状:
投稿日:2023年6月5日

先日はリンパ節転移について教えていただき、ありがとうございました。

術後病理検査の結果及び治療について聞いてきましたが不安点があるので質問させていただきます。

病理検査結果
腫瘍大きさ1.2cm
リンパ節転移0.4mmの物が1個
(これって郭清必要なかったのでは…)
ステージ2a
断端部陰性。

ホルモン受容体ER90%、PgR20%
HER2が3+
KI67は6.4%
核グレード2
以上を聞いてきました。

主治医が言うにはHER2が3+なので治療としては抗がん剤(アントラサイクリンとタキサン)行い、ホルモン・放射線・抗HER2を行うかホルモン・放射線だけを行うかの2択を話されました。
どちらかを次回までに決めて下さいとのことです。

前者についてアントラサイクリンは心臓に良くないと見ました。
予後不良の心不全もあり得るとあり不安があります。
また、看護師さんに抗HER2も心臓への負担があると仰ってました。
主治医は心臓への言及はありませんでしたが抗がん剤等を行っても生存率は5%くらいしか変わらないので副作用で苦しむなら後者でもいいと思うとのことでした。

夫婦共に抗がん剤、抗HER2、ホルモン、放射線のフルコースでいいと考えていますが心臓のことが引っかかるのと主治医の言うようにホルモン・放射線だけでもいいのか?と迷いも生じています。

これらのことで教えていただけることあれば宜しくお願いします。

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

何らかの事情が無い限りHER2陽性であれば抗HER2療法を推奨します。
Anthracyclineは実際には術後補助療法での使用量(4回分)では心機能障害はほぼ
心配ありませんが…
微小転移であればanthracyclineは無でTC+trastuzumab+pertu
zumabでいいと思います。

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/6/15
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