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オンコタイプ DX50歳未満中間リスクリスクの化学療法について

[管理番号:7550]
性別:女性
年齢:38歳
病名:乳癌
症状:

いつもこちらで勉強させて頂いております。

?4月に乳がんがわかり、5月(下旬)日温存手術を行いました。

病理検査の結果
38歳女 右乳がん 浸潤癌 浸潤経 9×7×6mm
リンパ節転移陰性(センチネルリンパ 0/2)
断端陰性
ER90%PgR90%
her2陰性
ki67 25%
脈管侵襲あり ly1 .v1
組織学グレード2 (腺菅形成3 核異形度2 核分裂1)

主治医からは静脈侵襲があるので、念のため化学療法を追加したほうが良いと提案されましたが、K i67が25%だった事もあり、先日オンコタイプ DXをやり、結果が出ました。

再発スコアRS24
9年遠隔再発率 10%(TAM単独)
化学療法の上乗せ効果 全年齢<1%
※50歳未満RS21-25 ~6.5%

50歳未満で中間リスク(RS24)の為、6.5%程の上乗せ効果があるので、化学療法をやるべきか迷っています。

そこで自分なりに調べたところ以下の記事を見つけました。

先日6月27日にNEW England journal of medicine誌に掲載されたTAILORx副次的解析の結果によると、50歳以下RS16~25の患者群で診断時年齢と化学療法有益性の相関性を調べたところ、16~20で臨床的に低リスクの若年女性(50歳以下)には化学療法の有益性が無いことが判明した。
次に、より効果的な抗エストロゲン療法が有益と思われる閉経前女性の特定において、診断時年齢と化学療法有益性の相関性を調べた。
TAILORx当初報告では、この患者群で見られた化学療法の若干の有益性が微小転移根絶での細胞障害効果によるものか、早期閉経誘導での閉経効果によるものか、またはその両方によるものかは不明だったが、
再発スコアと臨床リスクの統合により、閉経後ではなく閉経前の46~50歳の女性で化学療法の有益性が確認され、41~45歳の女性では化学療法を支持する傾向が認められたが、化学療法で閉経が早まる可能性が低い40歳以下の女性では化学療法の有益性は認められなかった。
さらに高齢女性では化学療法を支持する一貫した効果は認められなかった。
以上のことから再発スコア16~25群で認められた化学療法の有益性が細胞傷害性療法にともなう閉経効果によるものである可能性を示唆する。

(一応こちらがリンクです。)

臨床的リスクと再発スコアによる乳がん術後化学療法の検討ーTAILORx最新データ

そこで質問ですが、
①化学療法の有益性が細胞傷害性療法にともなう閉経効果によるものである可能性を示唆するとありますが、これを断定するのは早いと思いますか?田澤先生のご意見をお聞かせください。

②上記の記事では40歳以下の化学療法の有益性は認められなかったとの事ですが、38歳の私には化学療法の上乗せはないと先生は判断されますか?

③リンパ管侵襲及び静脈侵襲ともに軽度陽性だったのですが、静脈侵襲は血行性遠隔転移に影響するのでしょうか?

以上長文となりましたががご回答の程、宜しくおねがいします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

TAILORxの50歳未満については、あくまでも「「探索的解析」の解析によるものです。『今週のコラム 143回目 「リンパ節転移無」においては51歳以上ではRS26から、50歳以下ではRS21から化学療法によるbenefitがある』参照のこと

★それよりはSEERで示されたn0での9ys BCSSのデータでみるように、普通にRS26まではホルモン療法単独でいいでしょう。

「①化学療法の有益性が細胞傷害性療法にともなう閉経効果によるものである可能性を示唆するとありますが、これを断定するのは早いと思いますか?田澤先生のご意見をお聞かせください。」
→根拠が弱い。
 あくまでも推論にすぎません。

「②上記の記事では40歳以下の化学療法の有益性は認められなかったとの事ですが、38歳の私には化学療法の上乗せはないと先生は判断されますか?」
→RS=24だから、そう思います。

「③リンパ管侵襲及び静脈侵襲ともに軽度陽性だったのですが、静脈侵襲は血行性遠隔転移に影響するのでしょうか?」
→影響しません。(脈管侵襲は気にしないようにしましょう。 あくまでも参考程度にすぎません。)

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

オンコタイプ DX50歳未満 中間リスクにおける化学療法について
性別:女性
年齢:38歳
病名:乳癌
症状:

先日は質問にお答え頂きましてありがとうございました。
再度の質問に
なりますが教えて頂ければ幸いです。

前回の質問から引き続き
38歳オンコタイプ RS24の為、化学療法をするか迷っています。

50歳以下のRS21-25上乗せ6.5%と考えると化学療法を選択する必要があると感じていますが、
全年齢上乗せ1%を信じる化学療法の必要はないかと思っています。

そんな中、他の方への回答をみまして、その理由をお聞きできればと思います。

———————————————–
がん剤をするかしないかの選択
[管理番号:7570]

田澤先生からの回答
こんにちは。
田澤です。

「・オンコタイプの結果が中間だった場合、50歳以下で21以上で化学治療を選択するという決断」?「間違ってないでしょうか?」
⇒私なら…
 25以下はケモなし。
26以上はケモありとします。

 年齢で区切る解析自体、信頼性が高いとは言えないと解釈しています。

———————————————–

質問①年齢で区切る解析自体、信頼性が高いとは言えないと解釈するとのことですが、田澤先生がそのように解釈する理由を教えてください。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

時々勘違いされている方がいらっしゃいますが…
この場は「私がどう思っているのか?」回答する場であって(だけど〇〇は、こう言ってますけど)などと「議論する場ではない」のです。
質問者の方々には、このQandAでの私の回答を参考にして、自分なりの結論を出してもらいたいのです。

「質問①年齢で区切る解析自体、信頼性が高いとは言えないと解釈するとのことですが、田澤先生がそのように解釈する理由を教えてください。」
⇒あくまでもサブ解析だから…

 しかもその視点「年齢で区切る」での質の高いエビデンスは他にはないのです。

 ★以上より、「私は」年齢で区切らずにあくまでもRSを2つに区切るとすれば25だし、(それよりも)中間リスクの場合には「個々の上乗せ」で各自が判断すべきだと思っています。
  これはあくまでも「私の」意見ですから、それを参考に自分なりの回答を得てください。