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教えてください

[管理番号:4687]
性別:女性
年齢:43才
8年前に、左乳房にあるしこりをみつけ、
エコーをしてもらいました。
両方乳腺症があるけど、これは見た目でわかるからね。
大丈夫悪性じゃないよ。
と言われ、安心して、放置してしまいました。
最近になって、皮膚にひきつれが起こり、
おかしいと思い受診しました。
そして、4月(中旬)日に、左乳癌と診断されました。
その時から癌だったようです。
現在、手術待ちの状況です。
いま、わかっていることを記載します。
えきかに、肥厚したリンパ節が1個あり、
えきか吸引細胞診をして、クラス5と言われました。
腫瘍は、3cm(MRI上は、もっと大きいと言われました。)、7ミリ、5ミリのものが、計3個
検査は、PET(全身とマンモ)、MRI(マンモ)、造影CT をして遠隔転移は、ありませんでした。
腫瘍は、乳頭に近いし、複数あるので、温存は難しい。
腫瘍のタイプは、
ホルモン陽性
HER2陰性
グレード1
ki67 8%
ステージ2bで、
乳房全摘出術、えきかリンパ節かくせい手術の説明を受けました。
術後は、抗癌剤とホルモン療法、場合によっては、放射線もと言われました。
マンモMRIで、えきかリンパ節は、左右ほぼ同じだから、えきかリンパ節転移は、大丈夫だと思いますよ。
と言われて期待していただけに、えきかへの転移は、ショックでした。
手術の前に、抗癌剤、放射線の話しもされたということは、かなりのえきかリンパ節転移があると、予想しているからだと思います。
質問です。
①エコー検査や、CTの所見では、肥厚したリンパ節1つの他に、小さなリンパ節無数と記載がありました。
やはり、えきかリンパ節転移は、無数で、ゴロゴロあると(ステージが3に上がるくらい)いうことでしょうか?
②マンモMRIやマンモPETでは、えきかリンパ節転移は、指摘できません。と書いてありましたが、あまり参考にならないのですか?
③癌がしこりで触れるようになるまでに、五年くらいかかる。
というような記事を目にしたことがあります。
私は、8年前に見つけたときにすでに、1cm以上あったので、私の場合、いったい何年経過しているのか、考えるとおかしくなりそうです。
この年数だと、もう全身に転移があることは確実だと思います。
ネットでみても、ここまで放置した人なんて見つかりません。
こんな状況でも、抗癌剤やホルモン療法の効果は、期待できるのでしょうか?
もう、遠隔転移は、差し迫っているような気がします
④三年程まえに、左のえきかリンパ節が、
腕が動かせないくらい痛く、かなり腫れて、内科に行ったことがあります。
抗生物質を処方されて、腫れと痛みは治りました。
これは、やはり癌のリンパ節転移に関係しているのでしょうか?
自己管理不足でこのような状況を招いて、自分自身にあきれています。
でも、後悔しても仕方ないので、家族のためにも、治したいです。
しっかり向き合って、適切な治療をしていきたいです。
いまの主治医は、治るレベルだから、今は自分のことに集中して、治療をしていきましょう。
診察室を出る時には、落胆している私の背中に、もう一度、あまり心配しすぎないで、大丈夫だから。
と言ってくださいました。
沢山の患者さんを見てこられた先生もそう思われますか?どうぞ、率直に教えてください。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
このメールを読んでの重要な考え方は2つ
1.(「シコリが8年前からあったわけだから進行している筈」という質問者の考えは誤りであり)むしろ、「8年間放置しても、(遠隔)転移しない(PETで陰性)ほど、大人しい癌」だということ。
2.Ki67=8%は「明らかなルミナールA」なのに「抗癌剤ありき」は誤りである。
「えきかリンパ節転移は、無数で、ゴロゴロあると(ステージが3に上がるくらい)いうことでしょうか?」
⇒画像を見ていないので解りませんが…
 「明らかな転移を疑うリンパ節」ではなさそうです。
 実際に手術して「摘出してみなくては(腋窩リンパ節転移の個数に関しては)何とも言えません」
「②マンモMRIやマンモPETでは、えきかリンパ節転移は、指摘できません。と書いてありましたが、あまり参考にならないのですか?」
⇒PETでの取り込みは参考にはなりますが、「
 そもそも…
 腋窩リンパ節の(術前画像)診断は「超音波だけで十分」です。
 
「この年数だと、もう全身に転移があることは確実だと思います。」
⇒全くの「誤り」です。
 むしろ「8年間も(遠隔)転移せずにいる位大人しい癌」だと理解しましょう。
「こんな状況でも、抗癌剤やホルモン療法の効果は、期待できるのでしょうか?」
⇒冷静になりましょう。
 「こんな」状況とは「どんな状況」ですか??
 ○8年間放置しても「十分手術可能な状況で留まっている」程の状態なのです。
  これは「余程大人しい」癌だということです。(遠隔転移の将来的リスクも「寧ろ低い」と考えるべきです)
「もう、遠隔転移は、差し迫っているような気がします」
⇒全く根拠がない
「抗生物質を処方されて、腫れと痛みは治りました。これは、やはり癌のリンパ節転移に関係しているのでしょうか?」
⇒100%無関係です。
「いまの主治医は、治るレベルだから、今は自分のことに集中して、治療をしていきましょう。」
「私の背中に、もう一度、あまり心配しすぎないで、大丈夫だから。」

⇒これは正しい。
 ただし「抗癌剤ありき」という考え方には賛成しません。
 「病理結果次第では(リンパ節の個数によっては)抗癌剤の提案をするかもしれない」と説明すべきです。
「どうぞ、率直に教えてください。」
⇒かなり大人しい癌であることは間違いありません(核グレード1やKi67=8%もそれを裏付けていますが)
 これは考え方によっては(質問者自身が意図せずに)「8年間かけて、自分の癌が(遠隔)転移するのかどうか試してみた」結果『遠隔転移をなかなか起こさないような非常に大人しい癌であることを証明した』とも言えます。
 ★ここで「きちんと治療」すれば、「根治する可能性がかなり高い」と言うのが、
私の(率直な)感想です。(大概は、「3~4年で手がつけられない(手術不能)」状態となるのです。(質問者の癌は)余程大人しいという事実を重視しましょう)