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抗癌剤治療の適用

[管理番号:7525]
性別:女性
年齢:38歳
病名:乳癌、浸潤癌(硬癌)
症状:

妻の乳癌に対する田澤先生のお見立てをお聞かせ下さい。

6月左側乳房温存手術を行いました。

術前バコラ生検の結果
Er 50%
PgR 50%
HER2 1+
Ki67 10%

術後病理診断の結果
IDC(sci)
NG2
nottingham score G2
pT1c 16mm
f ly0 v0
pN0 (sn)(0/1)
margin (-)
ER (100%)
PgR(80%)
HER2 (1+)
Ki67 (20%)
家族歴無し

上記の結果で、主治医の先生からは抗癌剤治療は行わず、放射線治療とホルモン剤治療(ノルバデックス10年+リュープリン2年)を行うとの事で、既に治療をスタートしました。

①上記病理診断に対する治療方針として抗癌剤を行わないのは妥当でしょうか?

②恐らくルミナールAになるのかと思いますが、ホルモン治療単独の場合と抗癌剤併用の場合との再発率、生存率を教えて下さい。

③田澤先生の患者であればオンコタイプDXを勧めますか?
また、リスクはどの程度と予測されますでしょうか?

④遺伝性乳がんの可能性は高いでしょうか?

大変お忙しいところ、お手数ですが御教示下さい。

妻はまだ30代で子供も小さく夫として心配です。
宜しくお願いします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「①上記病理診断に対する治療方針として抗癌剤を行わないのは妥当でしょうか?」
→その通り。

「②恐らくルミナールAになるのかと思いますが、ホルモン治療単独の場合と抗癌剤併用の場合との再発率、生存率を教えて下さい。」
「また、リスクはどの程度と予測されますでしょうか?」

→これはOncotypeDXしないと解りようがありません。

 『今週のコラム 188回目 このデータを見ても、まだ「リンパ節転移があると(ルミナールAでも)化学療法が必要だと思いますか??」』の「4.抗がん剤無での9 ys BCSS (SEER)」をよーく見てください。
 ホルモン療法のみでの9yBCSSは(RSの値によって)89%~98.6%!!まで
範囲があります。(その中のどこかです)

「③田澤先生の患者であればオンコタイプDXを勧めますか?」
→勧めません。(私がOncotypeDXを勧めるのは)グレーゾーンです。

「④遺伝性乳がんの可能性は高いでしょうか?」
→そう考える根拠がありません。
 
 データ的に言えば「ルミナールタイプでは5%以下」となります。

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

抗癌剤治療の適用
性別:女性
年齢:38歳
病名:
症状:

お忙しい中、御回答ありがとうございます。

田澤先生のご意見、このブログで勉強させて頂いての私の解釈ですが、

オンコタイプを進めないのはEr、Pgr、Ki67(20%)からルミナールAである可能性が極めて高いから。

そして、抗癌剤を適用しなくても良いのは、ルミナールAである以上、
抗癌剤の上乗せ効果が期待できないから。

その上で、もしオンコタイプをしたとしたら、リスクは低~中までの可能性が高いが、仮に中リスクだったとしてもルミナールAでは抗癌剤の上乗せ効果が無いのでオンコタイプ、抗癌剤をやる意味がない。

多少の上乗せ効果があったとしても、ルミナールA、リンパ節転移無しのホルモン治療単独での9年生存率が89~98.6%と高い為、抗癌剤の上乗せ効果が少ない。

よって、ホルモン治療単独が標準治療であり、ベストの治療方針である。

上記の考え方で間違いないでしょうか?
再度の質問、申し訳ありませんが、宜しくお願いします。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「上記の考え方で間違いないでしょうか?」
→その通りです。

 そのうえで…
 「実際の数値を知りたい」とか、「確実なのか?」という要求があるのであれば、OncotypeDXをすればいいのです。