[管理番号:6791]
性別:女性
年齢:45歳
病名:乳がん
症状:
田澤先生、はじめまして。
こちらのQAを、いつも参考にさせていただいております。
(田澤先生の熱意にいつも感動しております。)
妻の乳癌について質問させて下さい。
【経緯】
・2018/02
健康診断のマンモグラフィーにて乳がん疑い
・2018/04
マンモトームにて組織検査
・2018/05
病理検査の結果、浸潤性乳癌が確定
・2018/07末
事前検査(造影MRI、CT)の後、手術(温存術)
術中のセンチネルリンパ生検にて転移なしを確認、リンパ節郭清を省略
想定していたよりも病巣に拡がりがあるとのことで、追加で摘出
・2018/09
病理検査結果の報告を受けました。
(外注と院内の2種の検査をしたようです)
以下、内容の概要です。
【病理検査結果:外注】
乳がんタイプ:髄様癌
(病理組織学的診断)
・Medullary carcinoma of the left breast, partial mastectomy
・No carcinoma metastasis to the lymph node.
・Margin:negative
locus LT, C area, medullary carcinoma, NG3HG3, 0.7×0.5×0.7cm in size
f-,g+,ly0,v0,n(0/1),ew
【病理検査結果:院内】
C, Bq+SLNB, medullary carcinoma, 2 x 2 mm, 浸潤径+乳管内進展巣 3cm pT1a
リンパ節転移: センチネル 0/1, pN0(sn) 断端までの距離: 0mm
脈管侵襲 Ly0, V0 組織学的波及度: g, 組織学的グレード分類: Grade3
ER: J-Score 3b, Allred score 5+3=8 PgR: J-Score 2, Allred score 2+3 = 5
HER2 acore 0, Ki67; 20%
ステージ1、ルミナールBとの説明を受けました。
今後の治療方針としては、抗癌剤をやるかどうかを選択、やる場合は療法を選択、
放射線治療とホルモン療法はマストと説明を受けています。
以下が質問になります。
①浸潤径は、どの数値を見るべきでしょうか?
最大なのは、院内での病理検診結果の3cm、最小なのは 2 x 2mmという記述かと思います。
主治医は、0.7×0.5×0.7cm という数値を腫瘍径(浸潤径?)として扱っているようです。
どの数値を浸潤径と考えるのが良いでしょうか?
②オンコタイプDXを検討しています。
主治医に聞いたところ、「Ki67が20%なので、高リスクなのは確定しているので・・・」
という感じで、それほど勧めないといった雰囲気でした。
無治療期間が1ヵ月以上増えてしまうことも懸念材料です。
受ける価値はあるでしょうか?
③抗癌剤の是非、また、やる場合の抗癌剤の療法選択について
主治医からは 、抗癌剤の是非は何とも言えない、やる場合は「AC(EC療法)+PTX」または
「TC療法」という説明がありました。
療法は前者の方が効果が大きく、期間が長く副作用リスクが大きい、というような説明でした。
抗癌剤の是非はともかく、療法を選択する材料が、今の私たちには全く無く困っています。
何を判断材料にすれば良いでしょうか?
※オンコタイプDXを受ければ、結果が療法の選択材料になるのでしょうか?
お忙しいところ申し訳ありませんが、ご回答の程、よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
メールを読みました。
誤りが2つあります。
Ki67=20%はルミナールAと考えるべき(当院ではルミナールAですね。となります)
浸潤径2mmで抗がん剤は「ありえない」
「ステージ1、ルミナールBとの説明を受けました。」
→ルミナールAです。(OncotypeDXをすればAとなる確率が高いからです)
「今後の治療方針としては、抗癌剤をやるかどうかを選択」
→誤り。
浸潤径2mmでは抗がん剤の適応外です。(5mm以上)
「放射線治療とホルモン療法はマストと説明」
→当院では(浸潤径2mmでは)ホルモン療法もしません。(効果と副作用のバランスが取れないからです)
「①浸潤径は、どの数値を見るべきでしょうか?」
→2mmです。 pT1aという記載がありますよね?
pT1aは浸潤径5mm以下のことです。
「主治医に聞いたところ、「Ki67が20%なので、高リスクなのは確定しているので・・・」
→??????
『今週のコラム 145回目 その意味ではKi67≧35にこそ、OncotypeDXの真価がある。そう言っては言いすぎでしょうか?』をご参照ください。
高リスクが確定??
全く「意味不明」
「受ける価値はあるでしょうか?」
→そもそも化学療法の適応外です。
受ける理由がありません。
「③抗癌剤の是非、また、やる場合の抗癌剤の療法選択について」
→そもそも抗がん剤の適応外です。
★質問者へ
このQandAは、私が(一方的に)回答する場です。
その主治医と私の意見は随分かけ離れてはいますが…
「だけど、主治医はこういうのだけど…」的な再質問は控えるようにお願いします。