[管理番号:5785]
性別:女性
年齢:34歳
このような貴重な機会をいただけましたことに感謝致します。
皆さまの質問の中に同じような内容もありましたが、用語に慣れていないせいか難しく感じており、そしてまだ決断に至ることができないため、メールさせていただいた次第です。
妹が今年(2017年)の10月上旬に細胞針の結果「乳がん」と診断されました。
10月(下旬)日に全身麻酔で乳房温存手術を受け、先日以下の結果が出ました。
妹(34歳 独身)
● 組織型 : 浸潤癌 浸潤性乳管癌(硬癌)
● しこりの大きさ : 1.4cm
● リンパ節転移 : - 0/1
● ホルモン受容体の有無 : あり ER>50% PgR>50%
● HER2(ハーツー)タンパクの発現の有無 : 1+ 陰性
● 組織学的悪性度 : 3
● 切除断端 : +
● 脈管侵襲 : リンパ管侵襲 - 血管侵襲 +
● 増殖マーカー : Ki-67 : 40%
● 病期 : Stage 1
● 今後の治療 : 〇ホルモン療法 〇放射線治療 △化学療法
(抗がん剤)
抗がん剤による治療は任意でした。
やるとすればT C4回と提案されました。
2017年12月(中旬)日までに回答するとことになりました。
決断するための材料が乏しく、妹も判断しかねているため、私も一緒に調べているうちに乳がんプラザにたどり着きました。
主治医の先生は、同じ立場だったら自分は抗がん剤の治療はしないとおっしゃいました。
副作用の辛さを見ているからだそうです。
私は、抗がん剤のメリットとデメリットを考慮した場合、やはり、現在の妹の状況では抗がん剤治療を行わずとも良いような気がしています。
しかし、辛そうにしている妹を見るのが嫌だという理由から希望的観測をしているような気もします。
妹は、34歳という若さと結果内容に悪いガンだと思っており、抗がん剤治療を行い、少しであっても再発転移のリスクを抑えた方が良いと思う気持ちが拭えないようです。
家族がやってみようと言えば、おそらく抗がん剤治療を行うでしょう。
妹が後悔しないように、妹の意思を尊重するべきだと思いますが、私や家族、妹自身が冷静に判断できているのかわからなくなってしまいました。
セカンドオピニオンも検討していますが、(中旬)日まで時間が短いことやこちらを見つけたために相談させていただきました。
是非妹の結果を見ていただき、田澤先生のご見解をいただきますと幸甚です。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
物事は冷静に、そしてシンプルに考えなくてはいけません。
おそらく、その医師は「ステージ1だから、無理しなくても…」という感覚があるようですし(それは誤りとは言えませんが)、ご本人には「やれることはやったほうが…」ご家族は「副作用でつらそうにしているのを見るのは辛い…」という感情が先行しているように見えます。
「客観的事実をシンプルに考えること」が第一優先であり、それらは「最後の最後にとっておくべき」ことです。
それでは「シンプルに考える」とは?
⇒これは、ごくごくシンプルに「ルミナールAなのか?Bなのか?」という議論なのです。
『今週のコラム98,99,100,101』を通読してみてください。
今週のコラム 98回目 ♯このグレーゾーンを「AとBに分ける」ためにOncotypeDXがあるのです。
今週のコラム 99回目 ★グレードは「参考程度」ということでいいですね?
今週のコラム 100回目! 「若いから」抗ガン剤をしましょう。は過ちなのです。
今週のコラム 101回目 (Ki67が20代はluminal Aの可能性が圧倒的に高く)本当に「Aなのか、Bなのか迷うのは30代以降」と言えるのです。
「結果を見ていただき、田澤先生のご見解」
⇒シンプルに行きましょう。
唯一「Ki67=40%」だけを気にします。
♯「ステージ1」も「34歳」も「組織学的悪性度:3」「断端陽性」も全く考慮しません。(断端陽性はあくまでも「局所」のことなので、再手術かBoost照射となります)
そうすると、「ルミナールBの可能性が高い=化学療法も必要」との判断となります。
ただし、「20~40はグレーゾーン」なのでOncotypeDXで確認することが一番です。
☆このように「Ki67」もしくは「OncotypeDX」で判断した上で、
(最終的には)「ご本人の感情論」を考慮しましょう。