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術後の化学療法について

[管理番号:6481]
性別:女性
年齢:64歳

初めてメールさせていただきます。
2月に乳房のしこりに気づいてから、不安いっぱいの毎日でおりましたが、手術後、自分の乳がんのことや状況を知りたいと思い調べているときに先生のサイトに出会いました。

毎日夢中で読ませていただいております。
私からもいくつか質問させてください。
よろしくお願いいたします。
4月に左乳房切除と腋窩郭清の手術を受けました。
現在、術後補助療法としてEC療法の1回目が終わり、その2日後ジーラスタ皮下注射をしたところです。

病理検査の結果は下記のとおりです。
浸潤性乳管ガン (triple negative)
病理組織所見:リンパ管侵襲が目立つ
最大径:2.6×2.3 cm
リンパ管浸潤:ly2 , 血管浸潤:v0 , 断端浸潤:断端(-)
Intraductal spread(+)、Comedo pattern(+)、Calcification(
Calcification(-)、ELC(-)
核異型度:G3、核異型2・核分列数3
リンパ節転移:レベル1 (0/5)
stageⅡA:pT2、pN0、M0

①検査結果のIntraductal spread(+)、Comedo pattern(+)、Calcification(
Calcification(-)、ELC(-)の意味がよくわかりません。
どういう内容でしょうか?

②抗がん剤についてですが、体表面積により投与量が決まるということをこのサイトで知りました。
私の体表面積がいくらなのか、また投与量が適正かどうかについて教えてください。
もし、少ないような場合は、年齢とか他の要件を考慮したということでしょうか?
身長163cm、体重40㎏です
1回目の投与量  ファルモルビシン:85mg、エンドキサン:640mg

③術前、主治医の先生より、EC療法を4クール3ケ月やり、その後4クールをもうクールをもう3ケ月やり、それから放射線治療をやりますと言われていました。
しかし術後、後半の化学療法ははやめるかもしれません、放射線治療はやりませんと言われました。
後半の抗がん剤についてはが病理結果から無駄であるというような状況なのでしょうか?

先生のサイトを拝見しておりまして、後半はタキサンをという流れをイメージしますが、状況が悪化しているとか、年齢的に無理とかでしょうか?
また、放射線はリンパ管侵襲が目立つという病理組織所見でも必要ないでしょうか?
私としては少しでも再発転移のリスクが減るのであれば、投与や治療を受けたいと思うのですが。

④がんを患った以上、覚悟をしつつ厳しくても現実を受け止めていこうと思っていますが、やはり予後についての数字は知りたいと思います。
後半の抗がん剤(主治医がタキサンを考えていたかどうかはわかりませんが)を受けた場合と受けない場合のそれぞれの予後についてお教えください。
(主治医の先生からは治療後5年再発率は50%と言われております)
お忙しいとは存じますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは田澤です。

物事はシンプルに考えましょう。
重要な事は
1.トリプルネガティブだから化学療法が必要(一般的にはアンスラサイクリン+タキサン)
2.リンパ節転移が4個以上なら放射線が必要だが、質問者の場合には不要

「①検査結果のIntraductal spread(+)、Comedo pattern(+)、Calcification(-)、ELC(-)の意味がよくわかりません。どういう内容でしょうか?」
⇒intraductal spread(+) 乳管内進展あり=浸潤癌に連続して「乳管内=非浸潤癌」の部分がある
 Comedo pattern(+), Calcification(-) 乳管内成分はコメド壊死を呈しているが、
(壊死性の)石灰化は認めない
 EIC(-) extensive intraductal componentが無い(つまり、乳管内病変が広範ではない=浸潤癌が主体)

「私の体表面積がいくらなのか、また投与量が適正かどうか」
⇒計算式はいくつかありますが(ネットで調べると解ります)
 ちなみに当院で使用している簡便法では1.384となり、
 ECは
 E(90mg/m2) 90x1.384=124.54
 C(600mg/m2) 600x1.384=830.29

「もし、少ないような場合は、年齢とか他の要件を考慮したということでしょうか?」
⇒それらは一般的ではありません。
 主治医に真意を聞いて見ましょう。

「後半はタキサンをという流れをイメージしますが、状況が悪化しているとか、年齢的に無理とかでしょうか?」
⇒そう言う理由ではないでしょう。
 主治医に聞いてみましょう。(あくまでも「早期だから、いいか!」という発想かもしれません)

「また、放射線はリンパ管侵襲が目立つという病理組織所見でも必要ないでしょうか?」
⇒冒頭でコメントしたように…
 
 全摘だから不要です。

「それぞれの予後についてお教えください。」
⇒現在、接続できません。

「(主治医の先生からは治療後5年再発率は50%」
⇒??
 どう考えても高すぎます。(何を根拠の数字なのだろうか?)
 私の経験上は抗癌剤をすれば、10年再発率は20%以下となると思います。

 
 

 

質問者様から 【質問2 術後の化学療法について】

性別:女性
年齢:65歳

お世話になっております。

前回、術後抗がん剤の投与量について質問させていただきました。

EC療法における投与量ですが、田澤先生にお教えいただいた数字から計算すると、本来の投与量の
E:85mg(実際の投与量)÷124.54mg(本来の投与量)で約68%
C:640mg÷830.29mgで約77%となります。
当然、田澤先生がいつも回答説明されているように、効果はかなり少なくなり、「予後に悪影響を及ぼす」数字かと思います。

その後、主治医の先生に、投与量が少ない旨の質問をしてみました。

当院では術後補助療法としての投与量は80%としていますと言われました。

85%以上なくては効果が期待できないのではないでしょうか?と尋ねますと、そんなことはないですとの答えでした。

さらに、ファルモルビシンに関しては、90mg/㎡で計算するのではなく、80mg/㎡で計算するとのことでした。

EC療法の4回目が終わり、まもなく次のDTXの1回めが始まりますが、
EC投与量が少なすぎることがとても気にかかって毎日不安な気持ちでおりますのでちでおりますので再度質問させてください。

①現状のEC投与量では再発率を下げる効果はほぼ期待できないということでしょうか?
DTXは100%投与として両方で抗がん剤の効果は何%くらいになるのでしょうか?
②EC療法は3週間ごとに4回投与ですが、もう1回EC療法を追加(合計5回)して全体投薬量を増やすことは、有効でしょうか?それとも1回の量が少なすぎて回数を増やしても無意味なことでしょうか?
③もし、5回投与でも効果があるとしてですが、DTXを4回終了したのちに、EC追加分を投与しても有効でしょうか?
③triple negativeですが、やるべきことをやって後はじっくりと構えていこうと思っていたのですが、やるべきことができておらず不安が募るばかりです。
今更ですが、ECでの有効量を満たす方法等何かアドバイスがあればお聞かせください。

④次回のDTXの体表面積当たりの基準投与量は75mgでしょうか?
間違っている場合はお教えください。

お忙しいとは存じますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

Doseに関しては施設によって投与量に若干の差があります。

「①現状のEC投与量では再発率を下げる効果はほぼ期待できないということでしょうか?」
→そういうことではありません。

 RDIを85%以上というのはエビデンスの一つに過ぎず「あらゆるレジメンで証明されているわけではない」のです。
 あくまでも目標ととらえましょう。

「DTXは100%投与として両方で抗がん剤の効果は何%何%くらいになるのでしょうか?」
→それは誰にも解りません。

「②EC療法は3週間ごとに4回投与ですが、もう1回EC療法を追加(合計5回)
して全体投薬量を増やすことは、有効でしょうか?それとも1回の量が少なすぎて回数を増やしても無意味なことでしょうか?」「③もし、5回投与でも効果があるとし
てですが、DTXを4回終了したのちに、EC追加分を投与しても有効でしょうか?」

→有効であるという確かなエビデンスはありません。

「ECでの有効量を満たす方法等何かアドバイスがあればお聞かせください。」
→それはありません。
 その施設の方針に従うしかないのです。

「④次回のDTXの体表面積当たりの基準投与量は75mgでしょうか?」
→それであれば十分です。