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術後の治療について

[管理番号:8788]
性別:女性
年齢:42歳
病名:乳癌
症状:
投稿日:2020年7月31日

田澤先生、よろしくお願いいたします。

先日左乳房温存手術を行いました。

ER陽性 80% PgR陽性 90%
HER2陰性
Ki67 5~10%

浸潤癌術後病理結果がなかなか確定せず、最終結果をどのように受け止めていいかわからず、先生のご意見を伺いたいと思い質問させて頂きました。

1回目の術後病理結果 浸潤癌
大きさ16㎜ (術前26㎜ 担当医は20㎜は超えていたと)ステージ 不明
侵撃 Ly0  V0
断端 陰性
Ki67 15~20%
グレード 1
センチネルリンパ節 陰性
※被膜に包まれた成分の癌と言う病理医さんとそうではないと言う病理医さんで話が割れているとの事。
腫瘍サイズも含めもう一方に診ていただくことに。

2回目の病理結果 浸潤癌
大きさ 割面標本では16㎜(T1c) だが臨床計測では20㎜強(T2) ステージ
不明
侵撃g+ f- Ly0 V0
病変 分葉状、辺縁滑らかでIDCの通常像とは異なりますが、DINではありません。

断端 陰性
グレード 1
※浸潤癌という結果とf-という結果について外部へ再度病理に出して頂きました。

3回目の病理結果 非浸潤癌(しじょう型)
大きさ 不明
断端 陽性 表面皮膚側に飛び出しあり 2か所in situの露出あり
グレード 2
割面標本の一部に癌組織の破壊があり、リンパ管への混入の可能性が高いと判断します。

Encapsulated papillary Carcinoma この用語が出てきていますがこちらの用語は病理医にとっては逃げ道となるので、私は診断名としてはこの用語は使用しません。

分かりづらくて申し訳ありませんが、以上のように病理結果が変わりました。

術後治療として断端陽性とのことで放射線+5回の30回を照射途中です。

しばらくしてからタモキシフェン単独を5年予定(非浸潤癌の為)

質問① 断端陽性時の追加照射での局所再発の可能性はどのくらい減らすことができるのでしょうか。

質問② 3回目の病理結果のリンパ管への混入の可能性が高いとはリンパ管への侵撃があるという事なのでしょうか。
そうなると浸潤癌になるのでは。

質問③ 最終結果が非浸潤となり今後タモキシフェン単独となり嬉しくは思いますが、2回目まで浸潤癌と言われていたので不安があります。
同じような結果の際、田澤先生はどのような治療内容をなされますか。

質問④ 非浸潤となったので定期健診も半年に1回となりました。
右側に複数嚢胞も確認されていて、左右含めて3か月毎に健診して頂きたいと思っているのですが、過剰な健診になってしまうのでしょうか。

まとまりの無い内容になってしまい申し訳ありません。
戦う敵(癌)がいまいち把握できていなくて不安があります。
 主治医の事は信頼しているのですが、ぜひ田澤先生のご意見もお聞きしたく質問させて頂きました。
宜しくお願いいたします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

病理結果を見る限り、「浸潤とするか非浸潤(encapsulated)か?」という所見のようです。
これは単純に非浸潤癌として(私なら)全身療法はしません。

「質問① 断端陽性時の追加照射での局所再発の可能性はどのくらい減らすことができるのでしょうか。」
⇒encapsulatedされているわけだから、(そもそも)局所再発低リスクでしょう。
(皮膚側や深部断端は病理医と我々外科医とでは意見が異なる。我々が知りたいのは水平断端です)
 ★皮膚側に残存していることは「そもそも」低頻度

「質問② 3回目の病理結果のリンパ管への混入の可能性が高いとはリンパ管への侵撃があるという事なのでしょうか。
そうなると浸潤癌になるのでは。」

⇒気にするレベルではありません。

「質問③ 最終結果が非浸潤となり今後タモキシフェン単独となり嬉しくは思いますが、2回目まで浸潤癌と言われていたので不安があります。
同じような結果の際、田澤先生はどのような治療内容をなされますか。」

⇒照射(Boost無)のみです。(非浸潤癌なので薬物療法は行いません)

「質問④ 非浸潤となったので定期健診も半年に1回となりました。
右側に複数嚢胞も確認されていて、左右含めて3か月毎に健診して頂きたいと思っているのですが、過剰な健診になってしまうのでしょうか。」

⇒もしも「Boostするくらい」断端が気になるなら、(責任をもって)3か月でもいいのでは?