[管理番号:4562]
性別:女性
年齢:63歳
いつも田澤先生の「乳がんQ&A」を参考にさせていただき、とても心強く感じています。
昨年の12月に左乳房温存手術を受け、グレード1(6㎜)、その後放射線治療を終了し、現在はホルモン治療を行っています。
最初はアロマターゼ薬を服用していましたが、骨密度を測定するとかなり低かったのでノルバテックスに切り替わりました。
しかしこのホルモン剤は閉経後の患者には子宮体がんになるリスクが高いということを聞いて不安になっています。
年齢のことも考えるとホルモン剤をできれば飲みたくないと思っているのですが、主治医からは再発率は20%と言われました。
そこで質問ですが、
・ホルモン剤を飲まないと私の癌の再発のリスクはどのくらい違うのでしょうか。
・また初期であっても遠隔再発(転移)ということはあり得るのでしょうか。
主治医から病理結果についての説明はなく、私の方から看護師に尋ねたところ浸潤癌(乳頭腺菅がん)、リンパ節転移なし、浸潤径2・5㎜、ホルモン反応性あり、悪性度は低い、なお、HER2スコアは2+でしたのでFISH法により陰性となっています。
という説明を受けました。
念のため手術の病理結果は下記のとおりです。
IC(Invasive carcinoma):#4
Ductal spread: #3 #4
Papillotubular carcinoma
Intraductal component(+),cribriform
Modified Bloom Richardson Grading:
Tubular formation:Score1 Mitoses score:Score1
(Mitoses=0/4HPF,視野数26.5)
Nuclear grade score:Score2
Total score=4 Tumor Grade 1
ly or v,―,f
sentinel(‐,0/2)in OSNA
pTla(tumor size=2.5mm)
margin(2-5mm)
Ductal spread:#4(muscle),IC:#4(skin)
margin(<2mm)
special staining for Her2,PR,ER:#4
お忙しい中、大変恐縮ですがよろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「最初はアロマターゼ薬を服用していましたが、骨密度を測定するとかなり低かったのでノルバテックスに切り替わりました。」
⇒通常は…
アロマターゼ阻害剤に「骨粗鬆症の治療を併用(当院ならデノスマブ)」します。
骨粗鬆症があるからという理由で「タモキシフェンに替える」ことはありえません。
「主治医からは再発率は20%と言われました。」
⇒??
幾らなんでも、そんなことはないでしょう。「浸潤径2.5mm」で、核グレード1ですよね?
「5%以下」だと思います。
「・ホルモン剤を飲まないと私の癌の再発のリスクはどのくらい違うのでしょうか。」
⇒もともと低いので、「違い(上乗せ)」は殆ど無いとは思います。
「・また初期であっても遠隔再発(転移)ということはあり得るのでしょうか。」
⇒冷静に考えてください。
浸潤癌である以上「どんなに早期」であっても「10年生存率は95%程度」であり100%ではありません。
ということは、「どんなに早期でも5%程度は遠隔転移する」わけです。
ただ、「質問者の場合、かなり確率が低い事は間違いなし」です。
○質問者が(デノスマブ併用で)ホルモン療法を行うのが一番だとは思いますが(ガイドライン上)
ただし、正直な話、私自身の患者さんであれば、「浸潤径2.5mm」であれば、(患者さんが消極的なら)「それでは止めましょう」となります。
質問者様から 【質問2】
ご回答をいただきありがとうございました。
当初はホルモン剤を飲んでいませんでしたが、自分の意志でとなるとやはり転移・再発の不安があり迷っています。
田澤先生からご指導いただいたように、デノスマブ併用でアロマターゼ阻害薬を貰っていて、現在は飲み始めています。
主治医からは骨密度YAM59%(腕測定)で骨折の可能性を指摘されています。
前回1ヶ月間服用した時は、身体のこわばりや少し関節痛があるかなと感じていました。
・骨密度が59%とかなり低いですが、それでも飲んで大丈夫でしょうか。
普段はハードなエアロビクスをしていて、服用となると控えないといけないでしょうか。
・浸潤癌であれば、浸潤径に関係なくホルモン剤は、必要となるのでしょうか。
それとも浸潤径が何ミリ以下とかで無治療となる場合もあるのでしょか。
・術後6ヵ月の定期検診となりますが、MRIを撮るよういいわれました。
田澤先生のご指導の内容とは違いますがMRIは必要なのでしょうか。
と言いますのは私としては、相談もできない状況ですので転院(関西在住)も考えているからです。
お忙しい中、些細な質問で申し訳ありま
せんがよろしくお願いします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「主治医からは骨密度YAM59%(腕測定)で骨折の可能性を指摘されています。」
⇒骨粗鬆症の治療(デノスマブ)も併用しているのだから大丈夫です。
「・骨密度が59%とかなり低いですが、それでも飲んで大丈夫でしょうか。」
⇒これはyoung adult mean(YAM)の値ですよね?
それほど低い値ではありません。
当院では40%位でも併用して内服しています。
「普段はハードなエアロビクスをしていて、服用となると控えないといけないでしょうか。」
⇒運動は大事です。
転倒しない様に気をつけることです。
「・浸潤癌であれば、浸潤径に関係なくホルモン剤は、必要となるのでしょうか。」
「それとも浸潤径が何ミリ以下とかで無治療となる場合もあるのでしょか。」
⇒これは実際には基準がありません。
ただ抗癌剤には5mm以上という基準があるので、ホルモン療法にも「目安」とはなります。
「・術後6ヵ月の定期検診となりますが、MRIを撮るよういいわれました。田澤先生のご指導の内容とは違いますがMRIは必要なのでしょうか。」
⇒不要です。
そんなものより「担当医はエコー」してますか?
(自らエコーせずに)「MRIを撮影」など本末転倒です。