[管理番号:7915]
性別:女性
年齢:52歳
病名:「ルミナールHER2陽性乳がん」「硬癌」
症状:
田澤先生 初めまして。
病状・治療経過を簡単にお話し最後にご質問させていただきます。
2018年3/T
検診は1年に1回マンモグラフィー2方向。
10年以上毎年受けて異常なしでした。
セルフチェックで左乳房下に右乳房にはない違和感があり近くのクリニックへ。
マンモグラフィーでは異常なし
エコーで看護婦さんが『ありました!』って…その後、先生が針生検を…。
10日後結果
良性(線維化した組織)経過観察
『腫瘍なし50%はうまくとれてないのかも?3か月後に見せてください』って
もやもやしたまま帰宅『え~?それってどういうこと?』
1週間後
紹介状を書いてもらいセカンドオピニオンへ
2018年3/E
セカンドオピニオンの先生にはっきり悪性ですと…
……・……・……・……・……・……・
【針生検結果】
2018年4/T
腫瘍径10㎜大 周囲に石灰化が見られ広がりがあり。
「硬癌」「HER2陽性乳がん(再発率高い)」
核グレード2
MIB-1:31.5%
HER2 :3+
……・……・……・……・……・……・
主治医の先生より悪性度が高いので術後は抗がん剤・ハーセプチン・ホルモン療法を
行います。
腫瘍がBD領域の下の方にあり部分切除しても整容性が保たれないと言われ
結果を聞いただけで死が迫っている感じがして助かりたいと思い
『全部取ってください』と言いました。
……・……・……・……・……・……・
【術後病理結果】
2018年4/E
「浸潤性乳癌」「硬癌」
腫瘍の大きさ 浸潤部10mm×5mm×7mm
全体で20㎜×15㎜×10㎜
腋窩リンパ節転移あり(計1コ/12コ)
レベル2 (0コ/10コ センチネルリンパ節1コ(5mm)/2コ)
脈管内(リンパ管・静脈)侵入あり
核グレード2
ホルモンセレプター陽性
エストロゲンレセプター98%
プロゲステロンレセプター25%
ハーセプテスト3+
MIB-1 31.5%
Stage ⅡA 再発リスク中程度 ルミナールHEA2タイプ 再発率やや高め
再発してくる危険性 抗HEA2療法を完遂した場合10%~
【術後治療】
抗がん剤タキソテール(ドセタキセル)+ハーセプチン 3週間X4
FEC 3週間X4
ハーセプチン 1年間
……・……・……・……・……・……・
【術後補助療法】
2018年5/E~
・ドセタキセル+ハーセプチン(3週間に1回)
初回ドセタキセル+ハーセプチンを同時併用投与後
6日目に顔・首にニキビのような発疹が隙間なく出現
(同院内皮膚科を受診するも原因不明)
・2回目~4回目ハーセプチン中止ドセタキセル単剤で実施
2018年8/M~
・FEC単剤実施1回目~4回目(3週間に1回)
2018年11/T~
・ハーセプチン単剤2回目~18回目(2019年10/M終了)
・ホルモン療法
(フェマーラ投薬中
40歳以上になって抗がん剤治療すると卵巣機能はダメになるとのこと)
……・……・……・……・……・……・
【質問事項】
①主治医より抗HEA2療法が同時併用から順次併用になったので効果は下がると言われ
細かいデータがないので何%とははっきり言えないと言われました。
田澤先生、私の場合gold standardではなくなり効果は何%下がりますでしょうか?
抗HEA2療法で再発リスクは半分になるとのことですが
私の再発リスクは何%になりますでしょうか?
②障害の娘が1人いるので、あと10年くらい支援し見届けたいと思っています。
5年・10年生存率を教えていただけないでしょうか。
③術前治療説明時にRI(ラジオアイソトープ)の検査で腋窩リンパ節の方へ流れた線と
胸骨リンパ節の方へ流れていった線があったとのこと。
主治医の先生は手術したときに胸骨の方見たけどそれらしきものはなかったとのこと。
2019年10月現在、左肋軟骨が右側に比べ1ヶ所腫れています。
胸骨の方へ流れていったものが転移したのかと思い不安になります。
主治医の先生は老化ですと…
田澤先生この線はいつか胸骨に転移する可能性はありますでしょうか?
④脈管内(リンパ管・静脈)侵入ありということは
血行性転移になる可能性はどのくらいありますでしょうか?
⑤2019年4月の1年検診では血液検査・CTに異常はありませんでしたが、
強力なハーセプチンの投薬が終了し今まで押さえていたものが
今後出てくる可能性はありますか?
⑥身体の静止状態から動作をする時にこわばりがあり上腕三頭筋も痛み
コレステロールも高めです。
これはフェマーラ投薬に関連していますでしょうか?
お忙しい中、大変恐縮でございますが、ご回答の程よろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「主治医の先生より悪性度が高いので術後は抗がん剤・ハーセプチン・ホルモン療法を行います。」
⇒誤り。
「悪性度が高いので」ではなく、「抗HER2療法が効くので」に置き換えましょう。
「・ホルモン療法 (フェマーラ投薬中 40歳以上になって抗がん剤治療すると卵巣機能はダメになるとのこと)」
⇒誤り
「化学療法閉経」は通常の「閉経」とは全くことなります。
「(フェマーラなど)アロマターゼ阻害剤」を用いていると、「月経が戻る」ことが多く、それは(予後には)良くないのです。
★本来「化学療法閉経」では「タモキシフェンにすべき」です。
化学療法閉経が(時間の経過で)本物の閉経へと移行することがありますが、その判断には慎重にならなければいけません(最低1年半以上)
「田澤先生、私の場合gold standardではなくなり効果は何%下がりますでしょうか?」
⇒殆どかわらないでしょう。
「私の再発リスクは何%になりますでしょうか?」
⇒10%以下だと思います。
「 5年・10年生存率を教えていただけないでしょうか。」
⇒90%以上(10年生存率)
「田澤先生この線はいつか胸骨に転移する可能性はありますでしょうか?」
⇒ありません。
「④脈管内(リンパ管・静脈)侵入ありということは 血行性転移になる可能性はどのくらいありますでしょうか?」
⇒無関係
「脈管侵襲」は、あくまでも「参考程度」としましょう。
「今後出てくる可能性はありますか?」
⇒10%以下です(上記)
「これはフェマーラ投薬に関連していますでしょうか?」
⇒関係ありそうですね。