以下、抜粋
本物の「炎症性乳癌」を知っている(理解している)のは(乳腺外科医の中でも)実は少ないことを指摘しておきます。
なぜ、そう思っているのかというと
他院で「炎症性乳癌かも?」みたいな話をされた患者さんを実際に診察するケースが多い(乳がんプラザをやっているから、他と比べて圧倒的に多いのです)のですが、実際に「本物の炎症性乳癌」は殆どないのが現状なのです。
そもそも「炎症性乳癌に炎症なし」という大原則さえも知らない乳腺外科医もいます。(この手の医師が「本物の炎症性疾患」を「炎症性乳癌?」みたいな馬鹿な発想をすることとなります。)
また、(それと同じくらい多いのが)T4b(皮膚の発赤を伴う乳癌)を、簡単に「炎症性乳癌?」と判断しているケースです。
T4b(皮膚発赤を伴う乳癌)とT4d(炎症性乳癌)の区別がついていないケースです。
★実はその区別は「乳癌取り扱い規約」にも明記しているのです。(それらの医師の頭には入っていないようですが…)
以下「引用」
炎症性乳癌は通常腫瘤を認めず、皮膚のび漫性発赤、浮腫、硬結を示すものを指す。
腫瘤の増大、進展に伴う局所的な皮膚の発赤や浮腫を示す場合はこれに含めない。
お判りですか? 上記「び漫性」のものを「炎症性乳癌=T4d]と呼び、「局所的」なものを「T4b」と呼ぶのです。
世間で「炎症性乳癌?」と言われているもののほとんどが後者(T4b)であり、本物のT4d(炎症性乳癌)は少ないです。
★★実際の炎症性乳癌は
1.炎症なし(炎症性乳癌に炎症なし)
2.乳房皮膚「全体」が「あり得ないほど真っ赤」であり「硬く、ごわごわ」している。
3.(病変らしき存在は解っても)明らかな腫瘤ではない