Site Overlay

トリプルネガティヴ治療中

[管理番号:7358]
性別:女性
年齢:34歳
病名:乳がん
症状:抗がん剤中の痛み

 
 

質問者様の別の質問

新たな管理番号としました。

質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。

管理番号:7225「トリプルネガティブ治療中?

 
 

先日も質問させていただいたものです。

的確なアドバイスをいただきありがとうございました。

状況が変わり、再度質問がありましたのでお願い致します。

術前抗がん剤のパクリタキセルの3回目が終わりました。
EC後のCTでは、腫瘍は8センチ?3センチへと小さくなりました。

パクリタキセル はあまり聞いている感じはなく、腫瘍の大きさに変化がない印象です。

最近わかったこととして、
腫瘍径が6.5センチではなく8センチあったこと。

また主治医との会話の中で炎症性乳がんとの話が出ました。

若年性で授乳期で、炎症性乳がんのトリプルネガティヴとわかり、とても落ち込んでいます。

また最近では鎖骨上リンパ節に小さなしこりを見つけました。

先生に診てもらったのですが、悪性のしこりではなさそうとのことで経過観察になりました。

また両腋窩や腫瘍に痛みが出てきたのですが、抗がん剤の副作用として痛みが出る人もいるとのことで、4回目の抗がん剤もこのままするようです。

主治医の病院は遠いため、地元の病院と連携して見てもらっているため、痛みがあるときやしこりが気になった時などの急な診察の時には、
地元の医師に見てもらっており、なかなか主治医に診てもらえず、タイムリーに相談できずとても不安です。

抗がん剤前にエコーでの診断もないため、このまま続けて転移していたらととても不安です。

質問ですが、
①腫瘍や腋窩の痛みは抗がん剤中はよくあることなのでしょうか?

②炎症性乳がんの場合の無再発生存はあるのでしょうか?
それもステージ3Aの無再発生存率と変わらないのでしょうか?

③手術、放射線などの治療終了後、他にできることはないでしょうか?
1%でも可能性があるならできることはしたいです。

④炎症性乳がんの場合、手術は全摘が適切でしょうか?

お答えいただける範囲で構いませんので、よろしくお願いします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

本物の「炎症性乳癌」を知っている(理解している)のは(乳腺外科医の中でも)実は少ないことを指摘しておきます。
なぜ、そう思っているのかというと他院で「炎症性乳癌かも?」みたいな話をされた患者さんを実際に診察するケースが多い(乳がんプラザをやっているから、他と比べて圧倒的に多いのです)のですが、実際に「本物の炎症性乳癌」は殆どないのが現状なのです。

そもそも「炎症性乳癌に炎症なし」という大原則さえも知らない乳腺外科医もいます。(この手の医師が「本物の炎症性疾患」を「炎症性乳癌?」みたいな馬鹿な発想をすることとなります。)
また、(それと同じくらい多いのが)T4b(皮膚の発赤を伴う乳癌)を、簡単に「炎症性乳癌?」と判断しているケースです。
T4b(皮膚発赤を伴う乳癌)とT4d(炎症性乳癌)の区別がついていないケースです。

★実はその区別は「乳癌取り扱い規約」にも明記しているのです。(それらの医師の頭には入っていないようですが…)
   以下「引用」
 炎症性乳癌は通常腫瘤を認めず、皮膚のび漫性発赤、浮腫、硬結を示すものを指す。
 腫瘤の増大、進展に伴う局所的な皮膚の発赤や浮腫を示す場合はこれに含めない。

お判りですか? 上記「び漫性」のものを「炎症性乳癌=T4d]と呼び、「局所的」なものを「T4b」と呼ぶのです。

世間で「炎症性乳癌?」と言われているもののほとんどが後者(T4b)であり、本物のT4d(炎症性乳癌)は少ないです。
★★実際の炎症性乳癌は
 1.炎症なし(炎症性乳癌に炎症なし)
 2.乳房皮膚「全体」が「あり得ないほど真っ赤」であり「硬く、ごわごわ」している。
 3.(病変らしき存在は解っても)明らかな腫瘤ではない

「また主治医との会話の中で炎症性乳がんとの話が出ました。」
⇒質問者自身が気付かないのに実は「炎症性乳癌だった」など、ありえません。(炎症性乳癌は乳房全体が真っ赤となるので、患者さん自身が自覚しない筈がないのです)
 
 上記通り、その主治医の「勘違い」でしょう。

「若年性で授乳期で、炎症性乳がんのトリプルネガティヴとわかり、とても落ち込んでいます。」
⇒違います。
 ご安心を。

「①腫瘍や腋窩の痛みは抗がん剤中はよくあることなのでしょうか?」
⇒腋窩の痛みは「副乳の症状」でしょう。(抗がん剤による卵巣毒性により「化学療法閉経」もしくは「化学療法更年期」のようなホルモンバランスが不安定になっているから)

「②炎症性乳がんの場合の無再発生存はあるのでしょうか?」
⇒炎症性乳癌ではないでしょう。
 その主治医が「炎症性乳癌だと言い張る」のであれば、「乳癌診療ガイドラインを突き付けて、迫ってみましょう」

「③手術、放射線などの治療終了後、他にできることはないでしょうか?」
⇒ありません。

「④炎症性乳がんの場合、手術は全摘が適切でしょうか?」
⇒炎症性乳癌ではないでしょうが…

 皮膚症状があった(T4b)であれば、全摘が望ましいことはいうまでもありません。(温存の場合には局所再発高リスクとなります。)