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今週のコラム 442回目 「鎖骨下リンパ節郭清ができない」そんなことで十分な腋窩郭清が出来る筈がない

ギガレモンが最高の季節到来?

 

食事は変わり映えしませんが…

暑い中走ると、ギガレモンがより旨い

 

 

○本文

腋窩リンパ節郭清後の患者における腋窩リンパ節単独再発の報告は増えている。

乳癌診療ガイドライン 治療編2022年版p354より

その原因は?

 

私なりに考える。

無論、一つには乳がん患者数(罹患率)の急速増大は無視できない。

私が医師になりたての30年前は外科の一分野にすぎなかった乳癌が、まさか「乳腺外科」として独立した科になるなんて夢にも思わなかったわけだから…

乳癌の絶対数が増えれば、その分「再発も増える」当然とも言える。

 

ただし、今回私がコラムを書いている理由は「そこ」ではない。

その原因として「寧ろ」考えなくてはならないのは「外科医としての質」ではないか?

外科⇒乳腺外科として30年、肌で感じるのは時代の変遷

anthracycline一択だった時代から⇒taxanes そして爆発的に増加した抗癌剤

「抗癌剤を使えばいいや(楽だし)」という風潮や、もはや「乳腺外科医」というよりも「乳腺科医師」として外科医としての自覚に乏しい医師の増加

 

これが、一回りして(まるで流行は繰り返すかのように)反省の時代に入らなくてはいけない。

冒頭の「乳癌診療ガイドライン」には、以下の記載もある。

一方で近年、大きさや数の限られたリンパ節転移、遠隔転移を認めるオリゴ転移に対する積極的な局所療法による予後改善の可能性が検討され始めており、外科手術を含めた局所療法の意義に関する前向き臨床試験も行われている。

 

その一方で、以下の記載もある。

腋窩リンパ節再発に関しては、初回の腋窩リンパ節郭清が不十分であった可能性があり

 

なぜ、「初回の腋窩リンパ節郭清が不十分」となるのなのか?

 

ある患者さんからのメール

鎖骨(下リンパ節)は手術で取れないので脇下(リンパ節)のみ抗がん剤で小さくしてから切除、他の部位には放射線照射との治療方針をうけ

このような実状こそ、その元凶ではないか?私はそう思います。

「鎖骨下リンパ節郭清ができない」そんなことで十分な腋窩郭清が出来る筈がない

私が「転ばぬ先の杖」「と、その先」の根本はここです。

皆さん、自分の身体は大切にしなくてはならない。

術者について、もっと真剣になりましょう。

 

鎖骨の部分まですべて切除はできないのか調べていたところ江戸川病院を見つけた

私は、こういう患者さんが少しでも増えてくれるよう願い、そのためにこれからもYOUTUBEするのです。