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今週のコラム 432回目  本来クラス3は良性診断なのに『クラス3だから癌を疑う』とは何事! 

チームバチスタの栄光

昨日、初めてこの映画を見ました。(何故、この映画を見たのか?には理由があるのですがそれはご想像にお任せします)

バチスタ手術自体は、私が医学生の頃には無かった手技なので無論見たことも学んだこともありません。

ただ、私の東北大学医局在籍時代に肺気腫に対して盛んに「volume reduction operation」が行われているのを目にしていたので、発想としては理解できるところです。

その詳細については(私よりも)たつのおとしごさんの方が心臓の専門家として適切な解説を(掲示板で)してくれると期待しています。(余計なこと頼んでスミマセン)

 

以前からコラムでしばしば言及していたように…

私が、こういう「医療系(手術がらみ)」の映画やドラマを観る際に最も注目するのは「術者の目線」です。

術者は決して術野から目を逸らしてはいけない!

その(逸らした一瞬に)もしも出血が起こった場合「その一瞬で、その出血部位が特定できずに」致命傷となりうるからです。

無論、「致命傷」という激しい言葉を用いましたが日常的な手術の場では「手術のテンポ」と置き換えた方が理解ができます。(無論、極稀には本当の致命傷もありうるわけですが…)

私は手術中、(術野からは目を離さないまま)中心視野の外で「助手が目線を切っていないか?」たまにチェックします。

そして、(もしも、器具を「器械出し看護師」へ返却する際に、術野からその看護師へ目線を移すようであれば)『器械出しの方を見るな!』と鋭く注意します。(無論怒鳴ったりはしません)

礼儀の世界?であれば、「器具をお返しする際には、相手の目を見なくては失礼ですよ」なんてことかもしれませんが?

プロフェッショナルならば、術中に機械出し看護師の顔を見たりしてはいけないのです。

手術の際に、助手が術野から目を離すと(私がその間に行った手術操作に)目がついてこれずに、(手術自体が)どんどん遅れていくわけです。

 

前置きが長くなりましたが…

映画を見ている間、どうしても術者や助手の目線の動きをチェックしてしまう自分がいるのですが…

その意味で合格でした! 吉川晃司はピクリとも術野から目を逸らしませんでした。

きっと、監修した心臓外科医も(私と同じように)目線を外さないことをきちんと指導したのでしょう。

 

心臓手術…

学生時代を思い出していました。

心停止させ手術を行い、その後「拍動開始」する瞬間。

停まっていた心臓が「ピコピコ」動き出す瞬間、学生時代とても感動しました。

本気で心臓外科医になろう!と(当時)心臓の本を買ったくらいです。

当時の東北大学の心臓外科教授(名前は度忘れしましたが、顔は覚えています)の自信に溢れた立ち居振る舞いも30年以上経った今でも覚えています。

因みにその教授は心臓手術の中でも「バイパス」専門でしたが…

その前後で「振り返れば奴がいる」の織田裕二に影響されたりして、外科研修医として歩み始める(その当時の研修制度は今のような「全科必須」ではありませんでした)のですが、その後のお話はまた後日ということで…

 

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あいかわらず、同じような食事…

パスタに餃子、結構いいです。

 

 

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素敵なバームクーヘンたち

週末ごとに会える私は幸せ者ですね。感謝です。

 

 

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素晴らしい

 

 

 

○ 本文

最近は再発治療関連のテーマが続きましたが、今日は診断の中でも「細胞診」です。

 

1.(まずは)細胞診とは何ぞや?

・昔からある手技

・技術の差が最も「如実に」出てしまう手技

下手な医師だと癌でも(クラス5を出せずに)クラス3しか出せない。

本来クラス3は良性診断なのに『クラス3だから癌を疑う』とは何事!

・クリニックを開業するのであれば、きちんと習得して欲しかった手技

 

2.何故、私がこれほどまでに怒り心頭なのか?

想像してみてください。

明らかに癌を疑うような(言わば、初級者向けの)1cmを超えるような腫瘍を細胞診でクラス5が出せない奴(「奴って、言っちゃった!)に5mm以下の癌を診断できると思いますか?

つまり本来、超早期(5mm以下)で見つかるべき人が「そのクリニックを受診したがために」その医師が診断できるまで「癌を育てられてから診断」されてしまうわけです。

 

最近、治療(特に再発治療)についてコラムやYOUTUBEに投稿していましたが、やはり診療の「いろはのい」は「早期診断」なのです!

その基本は生検。QAなどで「癌なのに細胞診クラス3」みたいな投稿に触れると、いつも思います。

 

彼らには、プロフェッショナルとしての誇りがないのか?

「自分が最後の砦、診断は100%でなくてはならない」

そう思わないのか?

自分で細胞診(組織診でもいいですが)で良性と診断しておいて「今回の結果は癌ではなかったけど、癌でないところにたまたま当たっただけかもしれないので、また半年後に…」みたいな言い訳がましい診療ばかりしていて(その医師自身)楽しいか??苦しくならないか?

 

「100%癌でありません。良かったですね」

そのような診療の方が(患者さんの為ばかりか)「自分自身にとっても」気分がいいのでは?誇りをもてるのでは?

 

今週(先週?)回答していて、そのような記載があったのでここに掲載します。

皆さんどう思いますか??(私は「かなり」むかついてます)

 

[管理番号:11585]
性別:女性
年齢:51歳
病名:
症状:
投稿日:2024年02月05日

相談よろしくお願い致します。

乳癌健診(エコー検査)で要精密検査になり、病院に行きました。

病院でエコー検査を受け、エコーに黒っぽいものが写っているのは分かりました。
そして、細胞診をしました。結果はカテゴリー3、その後針生検をして、今は結果まちです。

先生は、乳腺症と思っていたようですが、細胞診の結果を受けて、癌を疑っているようです。

自分ではしこりがないように感じたので、
「しこりはありますか?」と質問したところ「しこりはありません。」と先生はおっしゃいました。

そこで質問なんですが、エコーにうつる乳腺症に似たしこりがない癌とはどのような癌でしょうか?
まだ早期の可能性はありますでしょうか?

そもそも、しこりがないのにエコーで写るのでしょうか?楕円形をしていたと思います。

癌かもと不安で仕方ありません。

因みに、去年の健診はマンモとエコーで異常なしでした。

よろしくお願い致します。

⇒細胞診がクラス3なのに「癌を疑っている」とは何事?

自分の細胞診に自信があれば「クラス3だから良性ですね」となるのが(私にとっては)常識です。

 

[管理番号:11591]
性別:女性
年齢:47
病名:
症状:
投稿日:2024年02月06日

いつもこのサイトで勉強させていただいております。ありがとうございます。

昨年9月に右胸全摘、ステージ1でタモキシフェンを服用しています。

術後3ヶ月ごとにエコーで経過観察しているのですが、今回反対の左胸に前回(11月時のエコー)見られなかった影があり、水分のようだけど形が気になるからと、細胞診をすることになりました。大きさは5mmほどとのことです。

以前も細胞診クラス3→マンモトーム生検で確定診断となったこともあり、結果待ちの日々がしんどく、今回は早く白黒つけたい気持ちがあります。

ご質問
①この時点で生検を希望したいのですが、やはり細胞診のプロセスは必要と思われますか?

②もともと左胸には嚢胞があり、その大きさをチェックしていましたが、3ヶ月で新たにできるものなのでしょうか?

③タモキシフェンによる健側の予防は期待できるものなのでしょうか?

片方あるし…と全摘に迷いはなかったのですが、両方の可能性が出てきたとなると、
気分が落ち込み、少しでも情報が欲しくなってしまいます。

お忙しい中申し訳ありません。先生のご意見、コメントをいただけますと幸いです。