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今週のコラム 363回目 luminal(HER2-)pN2のAさん、術後補助療法はどうなる?

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昨日土曜日

雲が多めながら、何となく明るい空!

 

 

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カレーに目玉焼き!

B級グルメ的でいいですよね?

ちなみに、目玉焼きのトッピングといって思い出すのは…

1.横手焼きそば 仙台時代に食べに行きました。

2.びっくりドンキーのハンバーグ 「びっくりドンキー」って地方限定?かもしれないので、少々説明を。

ハンバーグ専門のファミレスって感じ。ハンバーグとライスがワンプレートでサイズがでかくてハンバーグの上には目玉焼き!

そのサイズ感から若者向きで、大学時代食べたなぁ。(もう30年も前かぁ)

カレーはスパイスカレーではなく、今回は(ストックしていた)レトルトカレー3種類に野菜(炒めたキャベツ、しし唐、ニンニク)を入れたもの。これまた(色々なスパイスが混ざり合い)ある意味スパイスカレーかな?

 

日曜日

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GARBA

『これ、美味しいよ!』と、いただいたバームクーヘン

初めて食べたのですが…

「治一郎ばり」の「しっとり感!」生半可な旨さじゃなかった…

 

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トルティーヤチップスと一緒のGARBA

 

 

 

 

〇本文

新規薬剤の登場が少なからず「再発治療」を変えてきた時代が変革期を迎えています!

再発治療には(ある意味)スタンダードはない(個々の病状に応じて担当医の裁量に任される)のはご存知の通り、

ただ、「術後補助療法」となると話は全く違ってきます。

ここにはスタンダードが明確に存在します。(再発とは異なり、「医師の裁量」ではなく、逆に「選択できる治療を提示する義務がある」と言い換えることもできます)

★本来なら(適応がある治療を説明されなかったばかりに)選択できなかったことで再発してしまった(か、どうかは永遠に不明ながら)可能性が生じるからです。

 

1.術後補助療法の変革

私の乳腺外科医としての長い経験上、ここ最近ほど「術後補助療法」に新規薬剤が追加されたことはありません。

★ここまで来ると、もはや(今でも地方では存在するかもしれない)一般外科医が乳腺外科医の替りもこなすことは無理でしょう。

1-1.abemaciclib(CDK4/6 inhibitor) まさかこんなに早く術後補助療法の適応となるとは!

適応 luminal(HER2-) で以下の条件を満たす

pN2以上もしくはpN1かつpT3以上もしくはNG3以上

副作用 下痢

 

1-2.olaparib(商品名 lynpaza)

適応 BRACAnalysis陽性かつ

1-2①luminal(HER2-)の場合 pN2以上

1-2②TNの場合 pN1以上もしくはpT2以上(平たく言えば1期以外)

具体的には?

まず手術病理で上記(1-2①もしくは1-2②)だった場合にBRACAnalysis検査の適応となり、(その検査結果が)陽性であった場合に適応となります。

 

 

長らく変更の無かった術後補助療法にプラスする形で、上記補助療法の適応追加で結構現場も混乱するし、患者さん自身も(ネットで勉強しても)誤解が生じたり大変そうだよね?

 

 

 

そう、その通り。

それで今回のコラムとなった訳さ。

解りやすくAさんの場合でcase studyしてみよう。

 

 

 

40歳、閉経前

右乳癌 右乳房切除+腋窩郭清施行

 

 

 

それでは、術後病理の説明をします。

浸潤径は70mm(pT3)リンパ節転移は5個(pN2)

luminal(HER2-), NG3となります。

 

 

術後の治療はどうなるのかしら?

 

 

 

順を追ってお話しします。

まずluminal typeですがpN2(リンパ節転移4個以上)なのでOncotyepDX無償提供プログラムの適応外となります。

つまり術後補助化学療法の適応となります。

更に、全摘ですが(やはりpN2なので)術後放射線療法も適応となります。

術後化学療法(EC x4⇒docetaxel x4)⇒術後放射線⇒ホルモン療法(放射線と同時期より開始)

と、ここまでが従来の治療方針だったのですが…

 

 

えっ?どういうこと?

他にもあるの?

 

 

 

術後補助療法としてAさんが「①適応となる薬剤」と、「②適応なのか?更に検査をして調べてから適応なのか判断する薬剤」がそれぞれ1種類ずつ、(ここ最近で)追加されました。

①がabemaciclib 経口投与2年間、②がolaparib 経口投与1年間です。実際に②の適応があるのか?はBRACAnalysisという遺伝子検査を(今後)行い、(それが陽性であった場合にのみ)適応となります。

あなたの場合には(実際には)下記のような流れになります。

anthracyclin(EC 2剤の点滴3週間に1回を4回)⇒taxane(docetaxel 1剤の点滴3週間に1回を4回)⇒ 放射線

と、ここまでは最初にお話しした通りですが、ここで(タイミング的には抗がん剤中あたり)BRACAnalysisを行います。

その結果によって2つのケースに別れます。

それではBRACAnalysisの結果によって、全体がどうなるのか?示します。

BRACAnalysis陽性の場合

anthracycline⇒taxane⇒放射線⇒olaparib(1年間)ホルモン療法(tamoxifen)併用⇒abemaciclib+Fulvestrant+LH-RHagonist(2年間)⇒ホルモン療法単独

 

BRACAnalysis陰性の場合

anthracycline⇒taxane⇒放射線⇒abemaciclib+Fulvestrant+LH-RHagonist(2年間)⇒ホルモン療法単独

 

〇無論、abemaciclibにしろolaparibにしろ副作用があるので、抗がん剤半年して「もう、お腹いっぱい!」という患者さんに無理強いするつもりもありませんし、「当然」70歳以上の方に勧めるのは(乳腺外科医としてというより人間として)センスが無いと言えるでしょう。

その意味で「術後補助療法」は(基本的に)皆が全て行う時代から、患者さん自身が「どこまで、やるのか?(モチベーションがあるのか?)」選択する時代へと確実に変化しているのです。