その「本気は本物か」
ノルディック複合で頂点を極めた英雄 荻原健司の言葉です。
「本気で頑張ります」そんな言葉をよく聞きます。
しかし、実際は(本気で)頑張っている「つもり」なだけかもしれません。
自分自身に問いかけてみます。
40代後半になってスピードが落ちてきた。
走っていて、(後ろから抜かれた時でも)「これが年齢か。仕方がないよな。」
一時は、そう自分を納得させようとしていた気がします。
それでは駄目ですね。
しかし自分の頭の中に、かつてのプライドが顔をだします。
試しに、(意を決して)スピードを上げてみる。
追い越されたランナーに再び追いつき、そして抜き返します。
「あれっ! まだいけるじゃないか。」
『スピードが出せなくなった訳ではなく、(訳知り顔をして)出さなくなっただけなのです。』
人生を折り返した今こそ、ギアを切り替える時。
ここからは「本物の本気で」頑張ります。
肉芽腫性乳腺炎
このコラムでも「21回目と22回目」の2回にわたって紹介させてもらいました。
皆さん、覚えていますか?
現在、私は市川と江戸川で3名の同疾患の患者さんを診療しています。
その中で1年間治療を続けてきて、「卒業間近」となった方がいらっしゃいますので、この疾患で誤った診療がされる事の無いように、願いを込めて紹介いたします。
傍千葉県にある、(おそらく)全国的にも有名病院にて行われていた診療
①これは癌です。間違いありません。と針生検
②(病理レポートを見て)あれっ、おかしいなぁ。炎症? 本当かなぁ?
③炎症なら、どうして膿が出ないんだ? と針でシコリをズボズボと。
④こんな炎症あるか? もしかしたら自己免疫疾患かもしれない。皮膚科へ紹介するね。
⑤でも、正体が解らない以上「癌ではないとは、いいきれない」からね。
皮膚科での意味不明な延々と続く検査、抗生物質を点滴するが、一向に良くならない(痛いし、熱もでる)診療に疲れ果て…
メディカルプラザ市川へ受診(もう1年も前のことです)
私「これは肉芽腫性乳腺炎ですよ。」「ステロイド内服すれば良くなります」「ただ、最低でも半年以上はかかります」
今までさんざん前医で「癌に間違いない。リンパ節にも転移している。進行癌だ」と言うかと思えば、一転して「原因不明の疾患」だのと言いだし、「皮膚科」などいろいろな科を「たらい回し」にされた揚句に、さっぱり良くならない。「一向に先が見えない不安で押しつぶされそうになっていた」患者さんが、その時涙ぐんでいたのを私は今でも覚えています。
ステロイド内服にて、ぐんぐん改善
(前医で転移が疑われていた)「腫大したリンパ節」も全く見る影がなく戻っています。
ステロイドは少しずつ減量していき、現在はほぼ完治(前医で「膿を出そうとして広げて皮膚に残った針跡だけが痛ましいですが」)
いよいよ隔日1Tとなったステロイドが終了する時期を迎えています。(改善したからといっても半年以上は少量継続しないと、再燃することがあるのです。経験的に)
○肉芽腫性乳腺炎
何故まともに診療できる医師がいないのか?
ここからは私見を述べます。
疾患自体が比較的珍しいことは、その原因のひとつでしょう。
しかし、私が危惧しているのは○研みたいな大病院がそうであるように…
一人の患者さんを「今日はA医師」次回は「○○担当のB医師」みたいに一貫して診ていないことが元凶にあるように思います。
癌のように、ある程度「典型的なパターン」であれば、そのような大病院でも「多少は経験できる」かもしれませんが、稀な疾患を「初診から完治まで」診療することができない(その機会がない)のです。
おそらく、今回の医師も(大病院の診療の中で)肉芽腫性乳腺炎の患者さんを「断片的に診療する機会」が過去に有ったのかもしれませんが、継続して診療することがないので「経験として身にならなかった」のではないかと思います。
癌の診療さえできない医師よりは、「まだマシ」かもしれませんが、癌の診療しかできない医師ばかりでは困ったものです。