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ブログ  2018/2/26 「要らないから、入れない」シンプルに、ただそれだけです。

[ブログを書くのも久しぶりですね。

2月も最終週となり、いよいよ春の到来を予感させるような気候となりましたね。

今年はインフルエンザの「流行り年」となったようですが、幸い(私も含めて)周囲に罹患される方もなく、この冬も乗り切れそうです(まだ油断するのは早い?)

 

「今週のコラム」を書いている私にとって、「言いたいこと」はそちらで書いているので、「ブログ」なるものの必要性に疑問符があるのですが、このブログを(今週のコラムとは異なり)「不定期なコラム」と思っていただければ結構です。

 

○ドレーンを入れないこと

このブログを書くきっかけは、ある患者さんから「先生はドレーンを入れない様ですが、そのメリットとデメリットは?」という質問状でした。

(前後の文脈を読まないとニュアンスが伝わらないかもしれませんが)まるで、(普通はドレーンを入れるのが当たり前なのに)「(敢えて、無理して(その方にはそう感じるのでしょう)それ(ドレーンを入れない)をやるからには、当然デメリットがある筈だ」と決めつけているようでした。

 

「何か、勘違いしているな。」

私はそう危惧しました。

 

どこかの、「当院では(最新技術を用いて)切らずに治します」とか、「忙しい方、必見!当院では日帰り手術です。」などの広告と勘違いしているのでは?

 

 

★私は開業医でも、何でもありません。(売上を上げるために「過大広告」する必要は全く無いのです)もちろん、給料は一緒。

まず、それをご確認ください。

私には、「ドレーンを入れない手術ができます。千客万来(笑)、大売り出し!安いよ!」みたいな宣伝のつもりは「サラサラ無い(K都知事風に)」のです。

 

ただ純粋に「ドレーンは必要ない」と確信するに至ったから入れなくなっただけなのです。(ドレーンを入れなくなってから5年以上経過しますが、ただの1度も後悔したことはありません)

(何かを「売りにする」ためでも何でもなく)「要らないから、入れない」シンプルに、ただそれだけです。

 

「何故、お前だけにそれができるんだ? 疑わしい!」

そのように考える方もいるかもしれません。

(そう考える人が居たとしても)私にとってそれは、どうでもいいことであり、単純に「当院で手術すれば、ドレーンは(必要ないから)入れない」というだけの話です。

どうしてもドレーンを入れたい人(そんな人は今まで居ませんでしたが)は、(言い換えれば)「私を信頼できない人」は、当院で手術をしなければいいだけの話なのです。

 

「何故、お前だけ?」

もしも(その疑問に)私が敢えて答えるとしたら…

「ドレーンは何故、必要なのか?」

まず、そこを考えてみてください。

答えは「出血やリンパ液を外へ出すため」となります。

 

逆に言えば

1.出血させないように切ること

出血は細い血管を無造作に切断した際に、その血管の切離面から出るのです(当たり前ですが…)

2.リンパ管の処理をきちんと行うこと

リンパ液は、腋窩静脈付近の太いリンパ液を無造作に切断した際に、そのリンパ管の切離面から出るのです

 

上記1.2を行えば(自ずと)ドレーンの必要はなくなるのです。

 

私は今日も5件の乳癌の手術がありますが、(出血やリンパ漏れのあるような)手術をしていたのでは「時間的に」不可能と言えます。

♯ 手術場のスタッフや麻酔科医に迷惑はかけられないので、必ず時間内(pm 5:00)までに終了するように組んでいます。

 

多くの手術を行うことで精度が増し、(無駄のない)手術ができるようになり、(無駄のない手術を行うから)多くの手術を行う事が可能となるのです。

 

無駄のある手術とは「出血をダラダラすることで、視野が悪くなり、それがもとで(良く見えないため)切らなくていい部位を切る事となり、それで更に出血し…」という極めて無駄な「悪循環」を引き起こすことで、長時間の手術となるのです。

そのような「ダラダラした」手術は1日「縦に5件」は不可能なのです。(3件が限度?)