今週寒かったから土曜日屋上に出れたことが奇跡にも思えます。
とは、いえ益々存在感が増す鍋!
今週も「もつ」です。
あー、ここのところ毎週「もつ、もつ」煩いなー。と、お嘆きのあなた!
騙されたと思って、一度「熱田の冷凍モツ」食べてみておくんなはれ。(注:私は熱田と利害関係にありません)
その柔らかさに魅了され、3週連続で「もつ鍋」やらずにはいられなかったのです。
じゃーん。
あれっ?何か足りない?
そうです。ニラが無かった(それだけ買い物に行くのも面倒)
でも、やっぱり柔らかーい!
そんな「もつ鍋」をスープにしての低糖質麺 最高です。
本物のラーメンの麺だったらもっと旨いかもしれないけど、そこは我慢
その替り?トーストは厚切りで。
寒くなっても、スパークリング続いてます。(嵌っている?)
そして日曜日
ニラも載ってます(笑)
今日のお昼は、愛知県でイタリアンをやっているかたから戴いた本格スパークリングにしました!
これです。
最高に美味! 感謝です。
そして休日10月10日、最近馴染みになった鮨屋に松茸入荷!
こんな立派な松茸たち!
久しぶりの松茸、季節ものですね。
「焼き」や「土瓶蒸し」「天ぷら」いろいろ味わった〆は松茸鮨!
1年に1度くらいお許しください。
〇 本文
鎖骨上リンパ節再発に対して、手術を断られることは妥当なのか?
・今回このテーマをコラムに選んだ理由
最近、特に地元(しかもその殆どが地域中核病院 ○○がんセンターなど)で手術を断られ(薬物療法のみを提示される)当院を受診される方が急増していることを実感している。
・患者さん自身が,自ら(前医の治療方針に)疑問を持ち「乳癌プラザ」や「動画配信」を見て、自らのturning pointを勝ち取ったといえる。
・一方「鎖骨上リンパ節郭清」は乳腺外科医として生涯「出会うことのない」手技であり、その手術経験を有する者は殆どいないのに対し、それを数多く行っている(先日は同日に2件連続で行った)その私がコメントすべきでは?と考えるに至ったからである。
・ガイドライン(乳癌診療ガイドライン 2022年版)ではどうなっているのか?
1. 外科療法
FRQ8 鎖骨上リンパ節再発の外科的切除は勧められるか?
→鎖骨上リンパ節再発の外科的切除は基本的に勧められない。
但し、このステートメントには以下の問題点がある。
1-①鎖骨上リンパ節再発に関してランダム化比較試験は存在しない
1-②後ろ向きの症例集積研究しかないが、放射線療法や何らかの外科的切除を加えることにより局所制御が保つことが出来た群や完全奏効(CR)が得られた群で予後良好であるとの報告が散見
1-③論文はないが、手術を受けることで、非手術に比べて腋窩リンパ節郭清以上に術後合併症は多くなる可能性があり、入院手術コストが増えることも明らかである。
★結局、この「外科的切除は基本的に勧められない」理由として(このガイドラインで)語られているのは、
「外科的切除をすることで予後改善するという明らかなエビデンスがない」のに対し、「術後合併症が多くなる可能性があり、入院手術コストがかかる」からと結論している。
↑
実際に(後ろ向きの症例集積研究ではあるが)予後良好であるという報告があるのだから、本来なら「基本的に勧められない」ではなく、『外科的切除が予後を改善させる可能性はあるが、(ランダム化比較試験は存在しないため)現時点で積極的に勧める根拠には乏しい』が正しい表記ではないでしょうか?
★★実際に、このガイドラインでは、その下の方に以下の記載がある。
1-④外科手術も含めた局所療法の意義に関する前向き臨床試験も行われている(NRG-BR002試験、NCT02364557試験)鎖骨上リンパ節再発に対する外科的治療の考え方も以前より変化していく可能性があり、更なる研究の蓄積が期待される。
1-⑤同側鎖骨上リンパ節の単独再発に関する直接性の高い前向きランダム化試験のエビデンスは存在せず、予後への影響が明らかでないためCQとして取り上げるには時期尚早との意見が出された
1-④、1-⑤の(ガイドラインの)記載を見ても、「基本的に勧められない」は言い過ぎであり、「まだ不明である」とすべきでしょう。
2.放射線療法
FRQ4 乳癌の局所・領域リンパ節再発では、根治を目指した放射線療法が勧められるか?
→集学的治療の一環として放射線療法の有用性が検討されている。
更に、この項目の中で以下の文章があります。
鎖骨上リンパ節・内胸リンパ節再発では、放射線療法と薬物療法が推奨される。
3.薬物療法
CQ18 閉経前ホルモン受容体陽性HER2陰性転移・再発乳癌に対する一次内分泌療法として、何が推奨されるか?
→卵巣機能抑制を行い、CDK4/6阻害剤と非ステロイド性アロマターゼ阻害剤の併用療法を行う事を推奨する。
CQ20 閉経後ホルモン受容体陽性HER2陰性転移・再発乳癌に対する一次内分泌療法として、何が推奨されるか?
→非ステロイド性アロマターゼ阻害剤とCDK4/6阻害薬の併用を行う事を強く推奨する。
なるほど、鎖骨上リンパ節再発の治療についてガイドライン(乳癌診療ガイドライン 2022年版)から、焦点となる「外科療法(手術)」「放射線」「薬物療法」を紐解いたんだね。
それで、これらガイドラインの記載をどう解釈するんだい?
まず、1.外科療法なんだけど…
確かに(ガイドラインでも記載があるように)前向きの臨床試験で証明されてはいないから「手術が有効である確たるエビデンスは存在しない」という(ガイドラインの)スタンスもわかるけど…
実際に「有効である」という報告は少なくないし、「かくいう私も」おそらく(この世の)誰よりも、その有効性を肌で感じています。
更に言うと、(ガイドラインで)手術を「基本的には勧められない」理由として①術後合併症が多くなる可能性、②入院コストがかかることを挙げているけど、これは術者の習熟度の問題だよね。
①「術後合併症が多くなる可能性」について
⇒それは(私が行った症例では)気にならないレベルだし、それは以下を参照してもらえば納得してもらえると思います。
★ここで、つい最近の「鎖骨上リンパ節郭清」の患者さん(Aさん)からのお便りから…
おかげさまで手術翌日の退院にもかかわらず京〇の自宅まで苦痛なく無事帰宅することが出来ました。痛みもほとんどなく翌朝には犬の散歩にも行く事が出来、娘もびっくりしておりました。また職場にもすぐに復帰することができ、私自身精神的な面でも前向きな気持ちを持てるようになってきました。これもひとえに…(以下省略)
②「入院コストがかかる」について
⇒2泊3日なので、「そこまで」気にする事かな?
例えば、「手術と同じ効果」を薬物療法で出す方が「恐ろしく高額」だと思いますよ。
次に2.放射線療法について…
(ガイドラインでも)局所治療としての有用性で推奨してますね。
ただ、(乳癌そのもののケースと同様に)手術後に、(再発)予防目的としての効果が確実であり、(乳癌そのものの治療のように)手術⇒術後照射が理想的なのは言うまでもありません。
★放射線で「消えてくれ!」と天に願うより、(目に見えるものを)「実際に(手術で)取り除いた方が確実」なわけですから…
私の考え方としては、手術で可能な限り切除してその後に(再発予防目的で)放射線を行う これが経験上一番賢いと思います。
更に、3.薬物療法について…
luminal typeでは(閉経前後かかわらず)再発治療としてはCDK4/6 inhibitorを第1選択としています。
(従来の)ホルモン療法単独⇒ホルモン療法+CDK4/6 inhibitorという改訂には全く同意します。
ただ、ここでいう(再発)薬物療法とは「遠隔転移再発」「局所再発(領域リンパ節単独再発も含む)」全てを含んでいます。
★前者には「薬物療法単独も第1選択になりうる」とは思いますが後者の場合には「あくまでも」局所再発にプラスする全身治療としてはCDK4/6 inhibitorが推奨されるということなのです。
なるほど!
それを踏まえて今回の表題である『鎖骨上リンパ節再発に対して手術を断られることは妥当なのか?』の(あんたなりの)結論は?
それでは、つい最近の実際の症例Bさんについて具体的に…
鎖骨上リンパ節再発の診断となり、ある大病院(遠方の〇〇がんセンター)での方針
鎖骨上リンパ節再発に対しては、
1.手術はしない
2.放射線もしない
3.薬物療法(CDK4/6 inhibitor)のみしましょう。
と、提案され(局所治療を希望しても、断られ)当院へ転院しました。
私から言わせると
1については、手術に対する習熟度が乏しい(大きながんセンターだから乳腺外科医も10人程度はいそうだけど、鎖骨上リンパ節郭清の経験者はゼロだろうし、そもそも選択肢はないのかもしれません)
2については、(どう考えても、つまりガイドライン上も)推奨されているのに何故選択しないのか? これは永遠の謎ですね。
3については、「luminalの再発乳癌に対する治療」としては推奨されているので、これ自体に誤りはない。しかし(PETで他に転移がないことは解っているのに)局所治療無の全身治療一択という治療提示は、「鎖骨上リンパ節単独再発の治療戦略」としてあまりにも理解不足(もしくは消極的と言い換えてもいいかもしれません)では?
結論!
この〇〇がんセンターのように「放射線治療さえも提示しない」のは論外!
だけど、手技的な習熟度を理由に手術を提示しない(患者さんから求められても断られる)ことはほぼ必発だと思います。
そこから脱脚するのは患者さん自身の強い意志が必要です。
turning pointは自ら掴むしかないのです。
余談
上記AさんとBさんは、最近同じ日に手術となりました。(偶然)
超音波画像を供覧しましょう。
Aさん
大きさは23.8mm
静脈角から離れて(外側方面に)存在
Bさん
大きさは12.3mm(と、Aさんより小さいですが)静脈角に近接
カラードップラーの派手な2つの円形が血管が2つに分枝する部分です
さて、皆さん。
AさんとBさんのどちらが手技的に難易度が高かったのか? 解りますか?
答えはBさん。
えっ? Aさんの方が倍も大きいじゃないかって?
鎖骨上リンパ節郭清は「大きさ」ではないのです。その場所(大血管との位置関係)にこそ真髄があるのです。
Bさんは小さいけど、まさに静脈角に近接していたので、そこから安全に外すには「より慎重さ」を要したのです。