[管理番号:600]
性別:女性
年齢:40歳
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |
はじめまして。
今年1月に全摘手術を受けたのもです。
当初は良性腫瘍の診断でしたが、その後の検査で非浸潤癌の診断となり、全摘と再建手術を行いました。
その後の病理診断で
大きさ 3センチ
ステージ2a
リンパ節 静脈侵襲なし
グレード3
Ki-67 80%
トリプルネガティブ
と分かり、ショックを受けながら、現在術後の抗がん剤治療中(ドセタキセル+EC)です。
トリプルネガティブには術前の抗がん剤が良いと聞いていたので、私のケースでは適応出来ず、効果も分からないため落ち込んでいましたが、先生の
「術後の再発予防目的」では(目に見えない)「小さな相手に対する抑制効果」なので、「大きな腫瘍に対して縮小効果が乏しいとしても、再発予防効果に乏しい」とは限らないのです。
との回答を読み、初めて治療に納得することが出来ました。
今後は前向きに治療に臨みたいのですが、トリプルネガティブという事で不安があります。
1 グレード3の悪性度が高いタイプは再発、転移ともにしやすいと聞きました。
リンパ節転移、静脈侵襲ともにありませんでしたが、遠隔転移の可能性はあるのでしょうか?
術前はMRIのみで、CTやPETはしませんでした。
肺の辺りが苦しく、転移してるのではと不安になります。
2 私のしこりは嚢胞にくるまれていたとのことでした。
そこから乳房内への浸潤があったようです。
主治医は「特殊なタイプ」といいますが、病理診断は乳頭腺管癌で、特に特殊とは思えません。
詳しく聞いてもはっきりおっしゃらないので、何か良くないのではないかと不安になります。
3 しこりは3センチと大きめでしたが、大きさと浸潤部分はイコールにはならないのでしょうか?
非浸潤と浸潤箇所についての説明は特にありませんでした。
分かりづらくて申し訳ありませんが、上記についてご教示頂けると幸いです。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「当初は良性腫瘍の診断でしたが、その後の検査で非浸潤癌の診断」「私のしこりは嚢胞にくるまれていた」「病理診断は乳頭腺管癌」「そこから乳房内への浸潤があった」
これらのキーワードから私が判断するには、『嚢胞内乳がんの浸潤』です。
最初「嚢胞内腫瘍(非浸潤癌)として「乳管内に留まっていた」と思いますが、そこから「乳管壁(嚢胞壁)を破って、間質浸潤」し始めたのです。
診断に問題がありそうです。
「嚢胞内腫瘍」ですが、本来「外科的生検(摘出生検)」されるべきものです。
術前診断の「非浸潤癌」とは「針生検」での診断でしょうか?
当初の良性腫瘍の診断とは「乳管内乳頭腫」なのでしょうが、結果的に「3センチ」の浸潤があった訳ですから、画像診断にかなり難があります。
回答
「トリプルネガティブには術前の抗がん剤が良いと聞いていた」
⇒誤りです。
トリプルネガティブには「抗癌剤が必要」ですが、それは「術前でも術後でも同様」です。
「小さくして温存」という目的でも無い限り、「術前抗癌剤は不要」です。
「遠隔転移の可能性はあるのでしょうか?」
⇒ありません。
3センチとは言え、「嚢胞内乳がん」です。
腋窩リンパ節転移も無いようですし、「遠隔転移は考えられません」
「肺の辺りが苦しく、転移してるのではと不安になります。」
⇒転移ではありません。「不安」だから「胸が苦しい」のです。
「主治医は「特殊なタイプ」といいますが、病理診断は乳頭腺管癌」
⇒確かに「嚢胞内乳がん」は特殊とはいえませんが、「主治医にとっては、珍しい」のでしょう。
嚢胞内乳がんであれば、嚢胞内に「腫瘍が乳頭状に突出していた」筈ですから、「乳頭腺管癌」が多いのです。
「しこりは3センチと大きめでしたが、大きさと浸潤部分はイコールにはならないのでしょうか?」
⇒嚢胞内乳がんであれば、全体が浸潤癌では無い筈です。
嚢胞壁から浸潤している部分が「最大浸潤径」となる筈です。
ただし、浸潤径は「2cm以上」ある筈です。
なぜなら今回「大きさ 3センチ ステージ2aリンパ節 静脈侵襲なし」と記載されており、
pT2(浸潤径2cm以上), pN0, pStageⅡAの筈だからです。
○是非、「病理診断レポートを主治医からもらって」ください。
そこの記載に「浸潤径について」あるはずです。
質問者様から 【質問2 腫瘍径と浸潤径について】
お世話になります。
お忙しい中ご回答下さって本当にありがとうございました。
詳しくご説明下さったことで理解を深めることが出来ました。
感謝しております。
術前の検査は「針生検」でした。
その結果、非浸潤癌の診断となりました。
詳しく記載しますと、A病院でマンモと針生検を行い、class2の良性腫瘍との診断を受けたのですが、不安に思い、B病院でさらに太い針を使って検査、非浸潤癌と言われ手術を行いました。
先生のご回答を受けて、病理診断レポートを確認したのですが、「浸潤径について」の記載はなく、「腫瘍径」の項目に3×1.7×2.6とあっただけでした。
説明時に、主治医が摘出した嚢胞の図を描いて下さり、その上部から浸潤があったとのことでした。
嚢胞の大きさと比べて浸潤部分は2センチはなかったように感じましたのですが、ステージ2とのことなので、浸潤径について主治医に確認してみようと思います。
ステージはしこりの大きさで判断するのではなく、浸潤部分の範囲で決まるものという解釈でよろしいのでしょうか?
良性から非浸潤癌、さらにはトリプルネガティブとの変化で気持ちがなかなかついて行けません。
トリプルネガティブは予後不良と言われていますが、完治を目指すことも可能なのでしょうか?
悪性度と増殖率が高いタイプは抗がん剤が効くのでしょうか?
トリプルネガティブには抗がん剤が効かないタイプがあると知り、自分がどこに属するのか分からず不安に思っております。
重ねての質問となり申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
詳しい状況ありがとうございます。
A病院では「針生検ではなく、細胞診」ですね。Class2という表現は「細胞診所見」です。
やはり、「細胞診では偽陰性が多い」ですね。
これを閲覧している方にも注意喚起したいところです。
「嚢胞の大きさと比べて浸潤部分は2センチはなかったように感じましたのですが、ステージ2とのことなので、浸潤径について主治医に確認してみようと思います。」
⇒是非、そうしてください。
担当医が勘違いしている可能性があります。
まさか「嚢胞全体の大きさ=3センチを pT2(30mm)としている」訳では無いと思いますが…
「病理診断レポートを確認したのですが、「浸潤径について」の記載はなく、「腫瘍径」の項目に3×1.7×2.6とあっただけでした」
⇒このレポートは問題です。
「嚢胞内腫瘍」であり、「針生検で非浸潤癌がでている」わけですから「腫瘍径=浸潤径では無い」事は間違いない筈です。
それであれば、「最大浸潤径の記載は必須」です。
やはり、主治医が勘違いしているのではないでしょうか? 要確認です。
「ステージはしこりの大きさで判断するのではなく、浸潤部分の範囲で決まるものという解釈でよろしいのでしょうか?」
⇒その通りです。
非浸潤癌が10cmでも浸潤径は0となるのです。
「トリプルネガティブは予後不良と言われていますが、完治を目指すことも可能なのでしょうか?」
⇒トリプルネガティブで根治されている人は沢山います。
というか、「他のサブタイプと比較すれば数値が若干下がる」というだけで、それ程大きな違いはありません。(乳癌は基本的に予後良好なのです)
特に質問者の場合は「嚢胞内乳癌であり、浸潤径が小さければ」十分早期です。
早期乳癌は「サブタイプに関係無く」予後は極めて良好です。
「悪性度と増殖率が高いタイプは抗がん剤が効くのでしょうか?」
⇒抗がん剤のターゲットが「DNA合成や核分裂阻害」にある以上、増殖をしている細胞に効果があるのが自然です。
「トリプルネガティブには抗がん剤が効かないタイプがあると知り、自分がどこに属するのか分からず不安に思っております」
⇒これは現時点では仕方が無い事です。
トリプルネガティブは「ER, PgR, HER2がネガティブ」というだけの括りです。
今後、トリプルネガティブという名称は消滅し「細分化」される筈です。
質問者様から 【質問3】
お忙しい中、詳しく回答して頂き、本当にありがとうございました。
次の受信までしばらく時間が空いてしまうのと、浸潤径についてまだ理解出来ていない部分があるので質問させて下さい。
先生の病院では浸潤径は病理のレポートにどのように記載されるのでしょうか?
腫瘍径のみの記載で済ませる場合もありますか?
私の場合、浸潤してる部分の最大径が2センチを越えていたので、ステージ2の診断になったのかもしれないと先生のご説明を聞いて思ったのですが、主治医からきちんとした説明がなく、あとから疑問が出て来てしまいます。
浸潤径の最大値でステージが決まるのでしょうか?
例えば2.2×0.8×1センチの広がりであったとしても、最大径からステージは2となりますか?
私の病理レポートの腫瘍径3センチの意味が、浸潤径を含めての数字なのか、しこりのみで浸潤径は含まれていないのか理解出来ずにいます。
これは主治医に聞いてみないと分からないことですが、浸潤径がプラスされて大きくなってしまうのも不安です。
今はリンパ節転移や静脈浸襲がなくとも、しこりが出来た時点で、全身に微少転移していると知り、私の場合は悪性度や増殖率が高いため、体に広がっているのではないかと心配しています。
広がっているかもしれない癌細胞を、術後の抗がん剤治療(ドセタキセル+EC)で無くすことは出来るのでしょうか?
重ね重ね申し訳ありませんが、ご教示頂けますよう、宜しくお願い致します。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
今回の「最大浸潤径の問題」で「最大のポイント」は『術前針生検で非浸潤癌の診断だった』と言う事です。
病理レポートに「非浸潤癌についての記載」はないのでしょうか?
まさか、「術前針生検で非浸潤癌の診断」なのに、「手術標本で非浸潤癌の部分が無い」などという筈はありません。
必ず「非浸潤癌」がある筈です。
しかも常識的に考えて「非浸潤癌の部分>浸潤癌の部分」だと思います。(もしも非浸潤癌の部分が非常に小さければ、術前針生検でわざわざその部分にピンポイントに当たるとは到底思えません)
♯針生検標本無いに「少しでも浸潤部分が混じっていたら」浸潤癌の診断になっていた筈なのです。
回答
「先生の病院では浸潤径は病理のレポートにどのように記載されるのでしょうか?」
⇒病変が「浸潤癌だけ」の場合と「浸潤癌に非浸潤癌の拡がり」がある場合で異なります。
・「浸潤癌だけ」の場合:ただ「腫瘍径」と表現されます。
・「浸潤癌に非浸潤癌の拡がり」がある場合:「浸潤癌部分の大きさ」として明記されます。 更に「非浸潤癌の範囲」として付記されます。
「腫瘍径のみの記載で済ませる場合もありますか?」
⇒全体が浸潤癌であれば、腫瘍径だけとなります。
全体が浸潤癌の場合には「腫瘍径=浸潤径」なので、あえて「浸潤径とか、浸潤部分は」という表現はありません。
「浸潤径の最大値でステージが決まるのでしょうか?例えば2.2×0.8×1センチの広がりであったとしても、最大径からステージは2となりますか?」
⇒その通りです。
非浸潤部分の大きさはステージとは無関係です。
あくまでも「腫瘍の大きさ」は「浸潤部分の大きさ」なのです。
「しこりが出来た時点で、全身に微少転移していると知り」
⇒その可能性があるというだけです。
皆さんが、そうでは無いのです。(というか、そうでない人の方が多いのです)
実際は「無治療でも再発しない人」の方が圧倒的に多いのです。
「術後療法によって再発を逃れる割合」は決して「無治療でも再発しない割合」よりも大きくなる事はありません。
「広がっているかもしれない癌細胞を、術後の抗がん剤治療(ドセタキセル+EC)で無くすことは出来るのでしょうか?」
⇒可能性はあります。
上記に挙げたように、実際は
①そもそも無治療でも再発しない群
②治療した事で再発を逃れた群
③治療しても結局、再発を逃れない群
この②に当てはまる可能性があるわけですから、「術後の抗がん剤治療」をするべきです。
但し①の比率が実は最も高い事も事実です。
ただ自分が①なのか②なのかは現時点では正確に判断することは不可能なのです。
質問者様から 【質問4】
田澤先生、お忙しい中、毎回丁寧なご回答をありがとうございます。
漠然と疑問に感じていたことをまとめて下さったお陰で、輪郭がはっきり出来ました。
自分のことなのになにが疑問なのか分からないもどかしかが、今回の回答ではっきりした気がしています。
まず病理レポートですが、「非浸潤癌についての記載」はなく、やはり「腫瘍径」のみの記載でした。
ただ、「嚢胞性」であることと「嚢胞の上部から浸潤が見られたこと」の2点についての説明は間違いなくありました。
嚢胞全体からの浸潤があったとは聞いておりません。
さらに、周りの組織に食い込むような形で広がってなかったとも言われました。
一部分に留まっているタイプとのことでした。
非浸潤癌から術後の病理で浸潤癌になることもあると知っていたのでそういうものかと思うようにしていたのですが、下記の説明を受け、初めて疑問点に気付けました。
拙い文面のみのやり取りにも関わらず、自分の漠然と感じていた疑問を理解して頂けたことに感謝しております。
針生検では4ヶ所から採取して非浸潤癌の結果でしたので、先生のご説明を聞くと、病理レポートが足りないような気がしています。
これは主治医に次回確認してみるつもりです。
また先生のご見解を伺いたいのですが、
●しこり全体から浸潤してるよりは、一部からの浸潤の方が予後は良いのでしょうか?
●私は術後の抗がん剤をしておりますが、どの程度の浸潤なら抗がん剤適応になるのでしょうか?
トリプルネガティブで悪性度やki-67が高値の場合は必須になりますか?
●また「治療しても再発を逃れられない群」とはどのようなものになるのでしょうか?
今の段階では分からないが正解でしょうか?
患者は知識がないので、病院から言われたことはそのまま受け止めてしまいがちです。
でも、このようにきちんとご説明頂けることで、納得し病気と向き合おうとする気持ちになれます。
多忙な中、このような文面から的確に理解して下さる先生に本当に感謝しております。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
「針生検では4ヶ所から採取して非浸潤癌の結果でしたので、先生のご説明を聞くと、病理レポートが足りないような気がしています」
⇒その通りです。
○「針生検が4本全部、非浸潤癌」となると、やはり「大部分(おそらく嚢胞内部分は全て)が非浸潤癌」だと思います。
嚢胞の壁(乳管の壁)を破って「浸潤していた(上部?)部分のみが浸潤癌」ではないでしょうか?
そうなると「最大浸潤径」は大分変わってきそうな気がします。
ただ、(乳腺外科医からすれば)「そんな当たり前すぎる事に気付かずに」(非浸潤癌の部分を含めた腫瘍径から)ステージⅡAと判断しているとしたら「大変な問題」です。
「しこり全体から浸潤してるよりは、一部からの浸潤の方が予後は良いのでしょうか?」
⇒少し考え方が異なります。
「どの範囲から浸潤しているのか?」と言う事は重要ではなく、(結果として)『浸潤癌の部分の大きさ=長径=最大浸潤径』が重要なのです。
♯例えば「嚢胞の壁の5mm程から浸潤をはじめた」としても、そこから「浸潤部分が3cm」あれば「最大浸潤径は5mmではなく、3cm」となります。
「どの程度の浸潤なら抗がん剤適応になるのでしょうか?」
⇒NCCNのガイドラインによると5mm以下は適応となりません。「6mm以上」です。
5mm以下の乳癌は「トリプルネガティブだろうが、HER2タイプだろうが、予後良好」なのです。
「トリプルネガティブで悪性度やki-67が高値の場合」
⇒全く関係ありません。
「どんな性質だろうが」5mm以下は予後良好(だから化学療法不要)なのです。
「また「治療しても再発を逃れられない群」とはどのようなものになるのでしょうか?今の段階では分からないが正解でしょうか?」
⇒その通りです。
おっしゃるように「今の段階ではわからない」のです。
○現時点では、(僅か10数パーセントしか占めない)『治療をする事で再発を逃れる群』のために全員に化学療法がおこなわれているのです。
つまり、大部分を占める『治療をしなくても、そもそも再発しない群』や『治療をしても、再発を逃れられない群』にとっては「無駄な治療」がなされている訳です。
★ただ、「自分がどの群なのか不明」である以上、「やれる事はやる」という考え方が正しいと思います。
質問者様から 【質問5 非浸潤癌からのトリプルネガティブ】
性別:女性
年齢:40歳
田澤先生、先日はお忙しい中ご回答下さいましてありがとうございました。
先生のお蔭で落ち着いて日々生活することが出来るようになり、本当に感謝しております。
先日、抗がん剤治療のため受診し、主治医から下記の話をされました。
・私の癌は嚢胞性であること。
・通常はしこりが出来た時点で悪性だが、嚢胞から浸潤したため通常とは少し異なる。
・エコーと肉眼では非浸潤癌だったが、摘出後顕微鏡で確認したところ、しこり全体から少しの浸潤があった。
この「少し」がどれくらいなのか主治医に確認したかったのですが、話が変わってしまい聞くことが出来ませんでした。
聞きたいことが聞けないもどかしさを感じてします。
また先生にお聞きして申し訳ないのですが、次の4点についてご教示頂けないでしょうか?
1.嚢胞は出来た時点では良性で、そのあと悪性になるのか?または悪性の嚢胞が最初から出来ていたのか?
1年前の検診ではしこりはなかったのですが、次の年には2cmとなっていました。
2.あるサイトで「抗がん剤をしても体に残った癌細胞はなくならない」との記述を読み不安になっています。
私は抗がん剤が終盤に差し掛かり、間もなく治療が終わります。
早く終わって欲しいと思っていたのですが、治療が終わったらまた抑えられていた癌細胞が増殖してしまうのでしょうか?
3.トリプルネガティブの診断でしたが、ERが10%以下ですが反応があったそうです。
ガイドラインでは1%以上の反応でホルモン治療適応と聞きました。
主治医からは積極的に勧められておらず、考えてみて下さいと言われたのですが、先生がもし私の診察をして下さったなら、ホルモン治療は行いますか?
4.先生のいろいろな回答を読むと、再発で一番重要なのは「大きさ」とあります。
私のしこりも3㎝程度で大きいのですが、再発率は高くなりますか?
以上、お忙しいところ毎回申し訳ないのですが、ご回答頂けますよう、お願い申し上げます。
田澤先生から 【回答5】
こんにちは。田澤です。
今まで「数回にわたるメール内容をみると」
まず問題なのは「病理レポート」であること
次に問題なのは「病理レポートに問題がある事に気付いていない、もしくは敢えて気づかないふりをしている」担当医でしょう。
とにかく、術前の針生検で「非浸潤癌の診断」だったわけですから、今更「非浸潤癌の部分は全く無くて、全てが浸潤癌でした」という理屈は通りません。
通常、術前に「非浸潤癌の診断」であって、手術標本で「浸潤癌の診断」となる場合は、「全てが浸潤癌でした」などと言う事はありえず(それでは非浸潤癌は、どこへ消えてしまったのでしょう?)「診断から手術までの間に、全てが浸潤癌に変わった?」(馬鹿馬鹿しい)
やはり、術前針生検で「非浸潤癌の診断」である以上、「非浸潤癌の部分の方が大きい」と考えるのは当然の事です。「微小浸潤(1mm以下)とか、最大で5mmの浸潤癌が存在していました」とかなるのが通常です。
術前に針生検で「非浸潤癌と診断」しておきながら、術後に(浸潤癌が見つかったら)「どの程度の浸潤部分があったのか?」と考えるのが正常な「乳腺外科医」です。
「浸潤癌だった」腫瘍径は「3×1.7×2.6cmだった」ですませる担当医の考えは、全く信じられません。
回答
「エコーと肉眼では非浸潤癌だったが」
⇒ウソでしょう?
術前の針生検で「非浸潤癌だった」のでしょう?
「エコーと肉眼では」ではなくて「術前の針生検では非浸潤癌だったが」の誤りでは無いの?
○質問者は「術前針生検の病理レポートを持っていますか?」
一度、担当医に「その過ちを、訂正してあげてください」
「しこり全体から少しの浸潤があった」
⇒「少しの浸潤」とあるのに、「浸潤径がどの位なのか気にならないの?」と担当医に聞いてみてください。
「嚢胞は出来た時点では良性で、そのあと悪性になるのか?」または悪性の嚢胞が最初から出来ていたのか?」
⇒違います。担当医の説明は誤りです。
そもそも「嚢胞内腫瘍(癌)」というのは「(良性の)嚢胞が癌に変わる」わけではなく、「そもそも乳管の細胞が腫瘍となり(良性であれ、癌であれ)その乳管内に分泌液が貯留して嚢胞のように見える」というものです。
嚢胞内腫瘍の「腫瘍の部分」は最初は(当然)小さいので「ただの嚢胞と誤診され易い」のです。
つまり質問者の場合は「最初から、嚢胞内癌(非浸潤癌)」だったのです。
①最初は「腫瘍部分が小さいので(嚢胞内腫瘍と認識されず)ただの嚢胞と誤診」されたのです。これが「1年前の検診の時点で何もない」といわれた実態です。
②次に(腫瘍部分が増大し)「嚢胞内腫瘍と認識」されるようになります。ただ最初は「非浸潤癌だった筈」です。
③そして(時間経過とともに)「浸潤し始めた」ところを発見された。ここで「針生検」され、(腫瘍の大部分を占めている)「非浸潤癌の診断となった」のです。
「または悪性の嚢胞が最初から出来ていたのか?」
⇒その通りです。
ただ「悪性の嚢胞」という言い方は誤りです。「嚢胞内腫瘍は嚢胞ではない」のです。あくまでも「腫瘍が液体の中にある」だけです。(本質的に嚢胞とは全く別物なのです)
『あるサイトで「抗がん剤をしても体に残った癌細胞はなくならない」との記述を読み』
⇒そんな「サイト」を見る必要はありません。
実際に、①「治療をしなくても再発しない」②「治療をすれば再発から逃れる」群が存在しているのです。
③「治療をしても再発を逃れない」群がある事は事実ですが(再発率が0%にはならないので当たり前です)②が現実にあることに「動かし難い真実」があります
「トリプルネガティブの診断でしたが、ERが10%以下ですが反応があった」「先生がもし私の診察をして下さったなら、ホルモン治療は行いますか?」
⇒勿論行います。
『再発で一番重要なのは「大きさ」とあります』「私のしこりも3㎝程度で大きいのですが、再発率は高くなりますか?」
⇒私の言う「大きさ」とは「浸潤径」です。
「非浸潤部分が、どんなに大きくても」全く関係ありません。
○病理のセカンドオピニオンをしてはどうでしょうか?
術前に針生検で「非浸潤癌と診断されている」以上、腫瘍の中に「非浸潤癌がある筈」です。
術後標本で「非浸潤癌の記載が全くない」のは「全く不自然」です。(担当医が、何故そこに疑問を感じないのかは全く理解不能ですが…)
もしも「非浸潤癌の部分が本当に無い」のであれば、「術前針生検の標本を再評価(見直し)する必要」があります。