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ブログ 2019/5/3 数か月私の手術の助手に入るうちに(さすがに)ガーゼを手に持たなくなります

令和最初のブログ

「令和最初の―」というセリフには、もう飽き飽きしました.

今年のゴールデンウィークは確かに長い.

菅官房長官もちゃっかり「小渕気分」、流し目がいい写真です。

 

 

私は、手術や外来が無い代わりに色々と仕事がはかどって快適に過ごしています。

前半は天気が悪かったけど、後半は天気がよさそうで何よりです。

屋上で日差しを浴びながら心地よい風に吹かれて(「暖かさ」は大事ですね。肌寒い中で風に吹かれるのは、ある種「拷問」となります。)本を読みながらワイン。

このひとときは人生の贅沢です。(ハワイとか南国に行かなくても、楽園は身近にあるのです)

 

日頃の業務に忙殺?されてご紹介できない葉書や手紙が溜まっていました。(real timeで読んではいましたが)

このゴールデンウィークという絶好の機会に長いお便りをご紹介しましょう。

年齢 50-59歳

入院期間 7日間  注)同時再建ということですね。

痛み 4(当日)、1(翌日)

『他院で悪性の疑いと言われた私は、食事も喉を通らず毎日泣き暮らしていました。悪性の疑いとは悪性なのか?どうか違っていてほしい、仮に悪性だったら、今後どうしたらいいのか周囲に知識のある人も、相談する人もなく、自分で調べるしかありませんでした。それは大変孤独な作業でした。

(前院ではいろいろありますが、手術して頂こうという気にはなりませんでした。)

本を何冊も読んだり、ネットを検索したりしたのですが、ネットで調べるうちに、”乳がんプラザに行くと良く教えてくれるよ”という情報を目にし、初めて乳がんプラザのページを開きました。

最初どこかの団体のサイトなのかと思い見たのですが、なんとそこは一人の医師の方が全国の患者さんの悩み、質問に回答し、必要あれば診断、手術してくれるというものでした。

最初はそんなお医者様がこの世の中に居ることが信じられなくて、驚きの方が大きく頭が混乱しました。

しかし、色々なサイトを見ても時に情報の違いに振り回され、最終的に乳がんプラザに戻って情報を集めている自分がいました。

乳がんプラザをじっくり読んでいくと、医師自ら超音波することの必要性症例数の多さを重要視する現場感出血の少ない手術統計的なデータに基づいた治療計画 注 1 )どれをとっても自分が納得し理解できる情報がそこにはたくさんありました。(♯最近のリンパ節の図解注 2 )も大変ためになりました。)(前院では悪性の疑いでも医師が超音波をあててくれることはありませんでした。先生は初診時、椅子に座りもせず、自ら立ったままプローブをあててくれましたね注 3 )

 

しかしながら、江戸川病院での治療を考えたとき、どのようになるのだらおうかというのが当初わからなかったのですが、先生の書いていらっしゃるコラム ブログで手術までの通院回数は2回、手術と術後の状態、ルミナールBタイプのAさん(?)の治療していく姿を読んでいくうち、自分はこうなっていくのだとイメージをもつことができました。

 

会ったこともないお医者様に私の乳がんを治療していただきたいという思いが日に日に強くなり、思い切って、乳がんプラザに手術申し込みメールを出したかったのですが、この段階で転院をいつどうやって実施したらいいかを大変心配しQ&Aでとりあえず質問して様子を見てみようと思いました(管理番号は7089です)

私の一番の心配事である本当に私は悪性なのか、転院はちゃんとできるのかを文章の中に隠しながら、だらだらと悪性の疑いの経緯を書いた後、最後にそららしき要望を含んだ質問をしたところ、先生より”悪性だと思って、手術日を設定してこのタイミングで転院したら”と手術申し込みのリンク先つきの回答 注 4 ) をいただきました。

さすがに大量のQandAに回答されている先生だけあり、経緯はスルーされ、私が本当に回答してほしかった”悪性なのだから転院してよいです”という回答に的確過ぎてリンク先を瞬時に押していました。

秘書の方からすぐに2回の診察日時付きのメールが送られて来て、不明点や変更してほしい点などは秘書の方へのメールを通じてすべて迅速に対応注5 )していただきました。

前院では受付時間と実際の診察まで2時間から6時間の待ち時間がデフォルトでした。私は電車で往復6時間かかるところからの遠方からの通院だったのですが、手術前の2回の通院とも、待ち時間0で診察していただき、最終的には時間は同じで、違いは電車代だけじゃないかと思ってしまいました。

乳がんプラザと通院で心も安定し、手術日前日まで普段通り仕事をすることができました。

手術当日、手術室にさすがに緊張して入ったのですが、先生を探すことができたことと、手術室では軽快な音楽が流れていてその音楽を聴いているうちに、ノリノリじゃないかと思っておかしくなってしまい、また麻酔科の先生、看護師さんからも優しく声かけていただいて大変リラックスして術台のベッドに寝た記憶があります。

術後私は全摘の同時再建でしたので、同時再建しない患者の皆様とは違って形成外科の処置が行われていたためドレーンが入っていたのですが、手術当日はさすがに背中のあたりがじんじん痛く、痛み止めリクエストのオンパレードでしたが、次の日の朝には”腕をあげてください”という先生の声掛けにドレーンが入っているのに腕も難なく上まであがり、自力で起き上がることもでき、痛みがスーッと引いていて、なんだが自分に自信が出てきて、自分で毎日シャンプーしたり、売店でコーヒーを買って飲んだり、看護師さんに教えていただいた動物探しをしてみたり、喫茶店のような江〇〇病院のトイレや手術室の扉のトリックアート的な絵の写真を撮影してみたりと、あまりに体調が良くて、結構(かなり?)入院生活を楽しんで満喫させていただきました。看護師さんからも大変優しくしていただきました。

先生は手術を終えた(?)夜20時に回診注 6 )して、次の日の朝6時55分にも回診にいらっしゃり、またその間、外来、手術、コラム、ブログ、Q&Aとこなしている注7 )と思うのですが、いったいいつお休みになっているのだろうと余計なお世話ですが、心配してしまいました。先生に手術していただき、術後すぐに仕事も復帰でき、本当に感謝しています。(皆次の日から会社に行くというと驚きます)私を含め、沢山の患者さんの支えですので、先生も身体気を付けてください。

江〇〇病院に転院して良かったです。今後共治療よろしくお願い致します。(もう私はネットを調べることはありません。先生の治療計画を信用しております。)

 

注 1 )私がモットーとしていることを的確に理解されていますね。かなり「読み込んだ」形跡がうかがわれます。

私の診療の基本は35歳からの10年間の「東〇公〇」時代に全ての芽がありました。

「東北一の症例数」「大学病院など他病院とはレベルが違う精度」 木〇先生と平〇先生から多くを学べた10年間。今でもとても尊敬しています。

最初の頃、平〇先生の(手術)助手をしていた際に、「よく注意されたこと」その時には理解できなかった「その言葉」を今は自分が助手の先生に言っています。

「このレベルにならないと(なぜ、そのように言われるのか)全く理解できない」今の助手の医師も「?」だと思います。

一例を挙げると…

  『ガーゼで拭かなくていい』

⇒外科医は研修医の頃、「助手の役目は常にガーゼをもって(出血で汚れている)術野を拭く事だ!」そのように教育されます。

普通の外科医は(出血させながら手術を行うので)助手にそれを拭かせながら視野を確保して(一般にも)手術は進むのです。(私も公〇に行く前はガーゼを持っていました)

毎年、大学から手術助手として派遣される助手の先生は皆ガーゼを手に持って構え(私の手術は出血しないのですが)出血していないのに、(習慣で)拭きたがります。

〇そんな派遣医師も、数か月私の手術の助手に入るうちに(さすがに)ガーゼを手に持たなくなります

私はその様子を見ながら「手術とは本来、出血させないものだ」ということを(言葉ではなく)感じてもらった喜びを感じるのです。

『(術野から目を離すな)術野を保て』

⇒医者もののTVドラマで皆さん見たことあると思いますが…

メスとか鉗子とか糸などは(器械出し)看護師が(術者や助手に)手渡します。

本来、術野から目を離さずに看護師に手だけ出して(目線はくれずに)器械を貰うべきなのです。(術野から目を離すことで術野が「微妙に」変化してしまうからです)

その「微妙な」変化を許さない(つまり術野から絶対に目を離さない)ことこそが「高い精度」の味噌なのです。

器械を受け取る際に、(器械出しの看護師に)目線をくれてしまう「その一瞬の重要性」に気付かないようでは、「所詮、そのレベル」なのです

 

注 2 )これは、「今週のコラム179/180」のことですね。 「何とか、説明しやすい図が欲しい」私の祈願でした。

本音を言うと180は、乳腺外科医にこそ理解してほしい内容なのですが…(レベルⅢまできちんと手術できる乳腺外科医が如何に少ないか。実態を知ったら驚くことでしょう)

因みに、大学病院時代の10年間ではレベルⅢまでの郭清をしたことも無ければ(先輩医師が)しているのを見たこともありませんでした。

注 3 )「立ったまま」エコーする。これは完璧に「私のオリジナル」です。(私の知る限り立ったままエコーする人は私の他にはいません)

江〇〇病院に来るまで(当然ながら)座って普通にエコーしていたのですが、ある時(全くの思い付きで)立ったまま「膝の曲げ伸ばし」でエコーしたとき「これだ!」と。

座ってエコーしている方が「落ち着いて、丁寧に」見えるかもしれませんが、全くそんなことはありません。(上半身を動かすことで目線のブレが生じてしまっています)

スキーをやっている方なら、解ると思うのですが、「コブを滑るのに」重要なのは「上半身は固定」して下半身(膝)だけで吸収する動作なのです。(上半身を動かすと目線がぶれるのです)

〇重要なことは「目線がぶれないこと」エコーもスキーも一緒なのです。

 

 

注 4 )文章は全て私が打っていますが、これら「リンク」は「管理者」が自分の判断で貼り付けてくれています。

注 5 )乳腺専属で2名の秘書がいます。最初に応対した秘書がその方の対応を終始一貫して担当してくれます。(N川さんとU山さん:「山」と「川」って忍者の合言葉みたいですね)

注 6 )これは、完全に誤解です。

20時どころか、手術は17:00までに終わるように(最初から)組んでいます。(手術室スタッフや麻酔科医との関係性を良好に維持するために)

それどころか、例えば金曜日は市川で17:00から診療があるから(金曜日は)16:30までに終わるように手術日程を組んでいます。

質問者は「全摘同時再建」だから手術日は木曜日ですね? 木曜日は外来の合間に手術をしているので、実際は…

「全摘同時再建」⇒「外来診療」⇒「江〇川の河原でのランニング」⇒「回診」という順番で20:00頃となったのでしょう。

注 7)私の仕事も色々ありますが…

特に「QandA]は7000も超えると(言うまでもなく、全て私が回答しています)、私にとっては殆ど「デジャヴ」となってます

質問者にとっては「新鮮な質問」なのだとは思いますが、(私にとっては)「あー、前にも(同じような)内容で回答したなぁ。」と記憶を少しだけ探れば出てくるのです。

だから、短時間で回答できるのです。

 

『今回は、質問者の手紙の内容は勿論そのままですが、勝手に「太字+下線」として「注釈」もつけてみました。

内容が膨らんで、とても気に入ってます。』