[管理番号:7108]
性別:女性
年齢:40歳
病名:左乳癌
症状:左乳房C領域、浸潤性乳管癌
こんにちは、田澤先生。
いつも読ませて頂いて、お勉強させて頂いています。
宜しくお願い致します。
■経緯:
2018.11.19、左乳房温存術。
センチネルリンパ節生検をする。
腋下リンパ節郭清なし。
広背筋皮弁法で一次再建。
病理検査後、オンコタイプDXをする。
今後、放射線、ホルモン療法の予定。
現在は抗がん剤、放射線、ホルモン療法はいずれも未だです。
■術後の病理診断:
Scirrhous type、pT2(浸潤径:23×21mm)、f、Ly0、V0
Ki-67 index:1%
Tubular formation:Score 2
Nuclear pleomorphism:Score 2
Mitotic count:Score 1
B-R score:Score 2
Surgical margin:Negative
ER:陽性、10%以上、染色は中等度
PgR:陽性、10%以上、染色は高度
HER2/neuタンパク染色法:スコア1+、HER2/neuタンパク過剰発現なし。
HER2遺伝子(FISH):シグナル比1.0、HER2遺伝子増幅なし
センチネルリンパ節生検:3個の内1個はサイズが大きいため分割。
計4個の内1個に微小転移あり。
→T2N1M0 ステージIIB
ルミナールA と聞いています。
■オンコタイプDX:結果報告日2019.1.2
「微小転移およびリンパ節転移陽性(1-3個)」
再発スコア:22
9年遠隔再発率(AIまたはTAM単独)~TransATAC:18%
化学療法の上乗せ効果(RS 18-30)~SWOG 8814:~1%
定量的単一遺伝子スコア:9.2 ER陽性、7.9 PgR陽性、11.0 HER2
判定保留範囲
■コラム143回目:オンコタイプDX,TAILORxについて
「リンパ節転移無においては51歳以上はRS26から、50歳以下ではRs21から化学療法によるbenefitがある」
今週のコラム 143回目 「リンパ節転移無」においては51歳以上ではRS26から、50歳以下ではRS21から化学療法によるbenefitがある
■2018年12月、サンアントニオ乳癌シンポジウム
「患者の年齢や人種を問わないオンコタイプDX乳癌再発スコア検査の実臨床での価値を裏付けている」
質問です。
?Ki値は、術前に受けた他病院の結果も1%でした。
基準がないとは言え、Ki値が1%と低値でも再発スコアは中間リスク(RS22)となることがあるのでしょうか?Ki値より、「低リスク」の範囲だろうと勝手に予測していましたので。
②オンコタイプDXではHER2 が11.0と判定保留範囲(RT-PCR法)です。
日本の検査結果ではHER2は-。
サブタイプは「ルミナールA」のままの理解で良いでしょうか?
③「今週のコラム 143回目」より、40歳、RS:22の私は「化学療法の上乗せ効果がある」ならば、抗がん剤をしようと思っていました。
先月のサンアントニオ乳癌シンポジウムの結果を見る限り、40歳以下でも年齢によらず判断できる、つまり年齢によらずRS26から化学療法による上乗せ効果があると理解しています。
そうすると、40歳の私の場合も抗がん剤をする上乗せ効果がほとんど期待できない…という事でしょうか?
④医療は日々進歩していますが、新しい基準が全て正しいとも言えないと思います。
私は少しでも再発率を下げられるなら、抗がん剤をしようと思っていました。
今の段階で、田澤先生なら、私の場合に抗がん剤を勧められるでしょうか?
以上、宜しくお願い致します
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「?Ki値は、術前に受けた他病院の結果も1%」「基準がないとは言え、Ki値が1%と低値でも再発スコアは中間リスク(RS22)となることがあるのでしょうか?」
→稀なケースだとは思いますが…
さすがにKi67=1%というのは不自然に感じます。
「日本の検査結果ではHER2は-。サブタイプは「ルミナールA」のままの理解で良いでしょうか?」
→そう思います。
「40歳の私の場合も抗がん剤をする上乗せ効果がほとんど期待できない…という事でしょうか?」
→「化学療法の上乗せ効果(RS 18-30)~SWOG 8814:~1%」という数字の解釈でいいでしょう。
「今の段階で、田澤先生なら、私の場合に抗がん剤を勧められるでしょうか?」
→勧めません。