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今週のコラム 124回目 年齢(70歳代後半)のことも、糖尿病のこともあるので、抗癌剤であるdocetaxelの量を思い切って少量(6割)で行います。

みなさん。こんにちは。

「花粉症が…」なんて、思っているうちにめっきり春めいてきました。

もう3月後半。

FMも再編期となりドキドキしましたが、我が「サンフリ」は継続です。(よかった。)

 

FMで「卒業で思い浮かぶ曲」というランキングをしていました。

第1位は森山直太郎の「さくら(独唱)」でした。

「ちょっとね。」

どうしても、この手のものには「世代」が関係しますよね?

私であれば尾崎豊の「卒業(第8位)」(高校時代でしたが…)や、斎藤由貴の「卒業(ランキング外)」(寂しい…)

斎藤由貴といえば、「お湯をかける少女」そこから連想して「原田知世」

自分の世代が「中心から外れてきている」 少し寂しさを感じながら聴いていました。

 

 

前回は、bevacizumab + paclitaxelの長期症例を紹介しましたが、今回は、HER2陽性であり「手術不能状態として、緩和目的で紹介」された患者さんが、術前化学療法(pertuzumabを併用した抗HER2療法)が著効し、(ご本人は最初から希望も期待もしていなかった)根治術となった症例を紹介します。

 

 

70歳代後半

糖尿病でインスリン治療中(食欲が低下するようなレジメンは厳しい)

乳房全体が発赤、腫脹(T4症例)、手術不能症例

ご本人は「友人」に説得されて来院されたが、お世辞にも「積極的」とは言えない状況。

 

私のfirst impression(年齢もあるし)「治療(抗癌剤)が続けられるかな?」

 

「この状況では手術はできません。 抗癌剤が唯一の治療となります。」

「もしも、それが嫌なら(今は無症状でも)いずれ必要となるので緩和科に紹介します。」

 

患者さん

「治療はしますよ。(それが目的で)わざわざ来たのだからね。」

「ただ、つらくないのを頼みますよ。」

 

「解りました。まずサブタイプを調べるためにCNBします。」

(CNBは幸いHER2陽性でした)

 

★後日 サブタイプの結果をお話ししながら…

「HER2陽性というのは幸いと言えます。 抗癌剤(抗HER2療法)の効果が期待できます。」

年齢(70歳代後半)のことも、糖尿病のこともあるので、抗癌剤であるdocetaxelの量を思い切って少量(6割)で行います。組み合わせるpertuzumabとtrastuzumabに期待しましょう。」

 

患者さん

「お手柔らかに、頼みますよ(にこやかに)」

 

そして「手術不能、HER2陽性乳癌」のfirst choiceであるpertuzumab (Per)+ trasutuzumab (HER)+ docetaxel(DTX)が始まりました。

 

DTXを6割に減量投与したことが功を奏して「大した副作用なく」治療が進みました。

 

★治療効果を3週間毎に確認しながら…

「これは、(最初は不可能だと思っていたけど)手術が可能となるかもしれない。」

 

患者さんは(効果があることに喜びながらも)手術する事には乗り気でないようで、(いつも)「切るの?先生。 勘弁してよ。」的な反応でした。

 

「解りました。取りあえず、(幸い副作用も少ないのだから)年内いっぱいがんばりましょう。手術を無理やりすることはありませんから。」

 

★ただ、患者さんも8回点滴するうちに(そして、毎回「手術は?」と聞かされるうちに)ついに、「その気」になり、

「先生。手術するよ。」

ついに、その日がやってきたのです。

2018年○月△日 乳房切除(全摘)+腋窩郭清(3泊4日)

♯ 最近では乳房全摘でも40歳代までは2泊3日(術翌日)としています。(この方は70歳代後半だから、3泊4日で丁度いいと思いましたが)

このあたりは、改めてアナウンスしたい内容です。(皆さん、全摘=3泊4日と思っていらっしゃるので)

私が何故「40歳代までは2泊3日の方がいい」と感じているのか?(実際は50歳代前半でも、2泊3日を案内するようになりました)

その理由は…

2泊3日の場合には(尿管は入れず)術後4hでトイレ歩行してもらっているのですが、その方が(3泊4日の人のように)一晩ベッドに横になっているよりも「余程、回復(腕の動きなど)がいい」と確信するにいたったからです。

術当日夜に回診に行った際に(3泊4日の人が、ベッドで横たわっていて「腕を動かすなんてとんでもない!」的なオーラをだしているのに比べ)、2泊3日の人は(術当日夜の)回診時にもベッドで腰かけて、(私が指導する様な)腕の運動をするのもスムーズなのです。

「一晩、横になったままは、不自然だな。」

そう思うのです。

 

抗がん剤(抗HER2療法)施行前(before)と施行後(after)の画像

鎖骨上リンパ節と腫瘍は、(画像上)消失しているのが解ります。