[管理番号:6052]
性別:女性
年齢:69歳
田澤先生、初めて質問させて頂きます。
この度、母 69才が乳ガンになりました。
2018年1月(中旬)日 触診で恐らくがん、その後ct等の検査を経て、乳ガン確定。
2018年2月(上旬)日 右胸全摘手術
術前ではリンパ節に転移なしとのことでしたが、術中センチパネル生検で1、5ミリの微小転移があったため、リンパ節かくせいを行いました。
病理検査結果が出ました。
浸潤がんが1、5センチと1センチの2つその間に非浸潤ガンが見つかったとこのこと。
ホルモン受容体 陰性でher2が陽性の
3プラス、グレード3、MIBが37、9%
meatstatic cancer(1個中1個)
maximal liner dimension 1、5ミリ
lymph node No metastasis (五個中ゼロ)
ステージとしては2aから2bと言われています。
結果、主治医は抗がん剤(タキサン系とアンスラサイクリン系を四回ずつ3週間おき)とそのあとにハーセプチン(3週間おきに1年)を提案されています。
母親は、再発リスクが少しでも下がるなら術後治療を希望しています。
質問1 この様な病理検査結果の場合、術後の治療方針は田澤先生も同じご意見ですか?
質問2 リンパ節への微小転移は検査した限りでは一つだけでしたが、他にもある可能性はありますよね?また、血液に乗ってすでに微小転移がある可能性はどのくらいですか?
田澤先生は、微小転移は予後に影響がないとよくこちらの質問のお答えで仰っていますが素人の私としては、それが大きくなり再発がするのではないかと心配です。
その為の抗がん剤などとは分かっていますが、、。
質問3 完治を目指したいのですが、抗がん剤、ハーセプチンをした場合の再発率はどのくらいですか?
グレード3が気になっています。
質問4 タキサン系、アンスラサイクリン系のどれか一つを使うと言われていますが、それはいくつかその中でも種類があり、どれを選択しても問題はないものですか?
質問5 このグレード3では術後二年の再発が多いと言われています。
母はこの二年生きた心地がしないと不安で一杯なのですが、抗がん剤、ハーセプチン治療をした上で他にはもうすべきことはないですか?
(自費治療も含めて)。
本人は、少しでも、
と思い天仙液や野菜ジュースなどにも力を入れようと思っています。
病理検査結果をプリントアウトしてもらえず、メモをとっただけなので分かりにくい内容かもしれませんが、どうぞ宜しくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
まずメールを読んでご指摘しなくてはならないのが、「(リンパ管を通るリンパ行性転移である)リンパ節転移」と「(血管を通る血行性転移である)遠隔臓器転移」を完全に「ごちゃ混ぜ」に理解していることです。
このような誤りの原因は、本来全く別物である①局所再発 ②リンパ節転移再発 ③遠隔転移再発 を「転移再発」と一括りにしている事から生じるようです。
そこで私は、今週のコラム『117~120(もしも時間がないなら120だけでも)』をご一読ください。
今週のコラム117回目 更に、術中に『出血しながら手術している』医師の場合には「血液も視野の妨げ」となるので、ますます、「SNの誤認のリスクが増す」のです。
今週のコラム 118回目 胸壁再発は(再発した部位の)皮膚側か胸筋側に「癌細胞が(手術時に)残存」していて、それが(時間をかけて)増大したと考えられます。
今週のコラム 119回目 『(エコーで認識されてから、腋窩郭清されるまでの)「3年間が勝負(その後の遠隔転移の出現の有無)を決めた」私は、そう考えるのです。
今週のコラム 120回目 リンパ節転移が直接遠隔転移を起こす事はありません。あくまでも「予後因子」の一つにすぎないのです。
「術中センチパネル生検で1、5ミリの微小転移があったため、リンパ節かくせい」
⇒微小転移で追加郭清は珍しいですね?(ちなみに当院では微小転院では追加郭清はしていません)
「センチネルリンパ節生検の取り扱」については、事前に「説明、同意」がなされているでしょう。
「質問1 この様な病理検査結果の場合、術後の治療方針は田澤先生も同じご意見ですか?」
⇒アンスラサイクリンは使いません。
タキサン+ハーセプチンx3カ月⇒ハーセプチン(単独)x9カ月 とします。
「質問2 リンパ節への微小転移は検査した限りでは一つだけでしたが、他にもある可能性はありますよね?」
⇒ありません。
上記コラムをご参照ください。
「血液に乗ってすでに微小転移がある可能性」「それが大きくなり再発がするのではないかと心配」
⇒そもそも、「これらの記載内容」が「リンパ節転移と血行性転移をごちゃ混ぜにしている」内容となっています。
上記コラムを読んだ後であれば、こんな「無用な心配」は解消しましたね??
「その為の抗がん剤などとは分かっています」
⇒これも誤りです。
「微小転移」があるから抗HER2療法をするわけではありません。(無関係)
♯正解は「サブタイプに応じた治療」ということです。
「ハーセプチンをした場合の再発率はどのくらいですか?」
⇒3年再発率は10%です。(抗HER2療法は再発率を半分にします)
「グレード3が気になっています。」
⇒無関係です。
「どれを選択しても問題はないものですか?」
⇒変わりません。
「抗がん剤、ハーセプチン治療をした上で他にはもうすべきことはないですか?」
⇒それで十分です。
他には必要ありません。
質問者様から 【質問2 術後治療について】
性別:女性
年齢:69歳
田澤先生、こんにちは。
前回は質問にお答え頂きましてありがとうございました。
リンパ節転移と遠隔転移の違い、やっと理解できました。
近々、母が抗がん剤治療が始まりますので、お忙しい所申し訳ございませんが、一点だけ追加でお聞きしたいことがあります。
質問1 の、今の担当医の先生がアンスラサイクリンとタキサンの後、ハーセプチンをと提案されいる件ですが、田澤先生ならアンスラサイクリンは使わないとのことですが、その理由を差し支えなければ教えて頂けますでしょうか?
アンスラサイクリンとタキサンを同時に併用することで抗がん作用が強くなるとインターネットで拝見したこともあります。
つい先日の他の方の質問の中で
Her2陽性の場合、ハーセプチンがよくきき、再発を半分にできる、また、抗がん剤は副作用も強く、効くのか分からない、との先生のコメントがありましたがそのためなのかなと、考えたりしています。
また、抗がん剤に耐性が出てきた場合、おなじ抗がん剤は使えないと耳にしたことがありますので、今後もし再発した時のために置いておく、でしょうか?
突然の母の乳ガンで、いろいろ調べ、考えています。
今後、あの時ああしていれば、、、と後悔の無いように一つずつ納得して治療を選択していきたいと思っておりますので、どうぞ宜しくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「アンスラサイクリンは使わないとのことですが、その理由を差し支えなければ教えて頂けますでしょうか?」
⇒アンスラサイクリンレジメンと非アンスラサイクリンレジメンの直接比較はありません。
どちらを選択するのかにガイドラインはありませんが「個々の医師のセンス」で決まる事です。
「微小転移の69歳にアンスラサイクリンレジメン…」
私のセンスにはありません。
「抗がん剤は副作用も強く、効くのか分からない、との先生のコメントがありましたがそのためなのかな」「今後もし再発した時のために置いておく、でしょうか?」
⇒どちらも、全く違います。(上記)