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抗がん剤の投与量について

[管理番号:5780]
性別:女性
年齢:42歳
こんにちは。
今年の8月28日、田澤先生に手術をしていただいた○○です
(ID:○○)。
その節は大変お世話になりました。
術後診察の際に田澤先生とお話しした通り、現在地元の病院でパクリタキセル+ハーセプチンのよる治療中で、7回目の投与まで終わったところです。
今日はパクリタキセルの投与量について質問させて下さい。
私は身長161cm、体重45kgなので、パクリタキセルの標準投与量は115mgとのことで、2回目までは標準量で受けました。
しかし白血球が4700→3800→2700と下がってしまったため、3回目の投与から1割減の100mg投与になりました。
3~7回目投与の間、白血球は2000台でウロウロしています。
担当医は「1割減までは再発抑制効果に全く問題ない。影響が出るのは2割減から。」と言います。
白血球を増やす薬の使用について質問したところ「その薬を使うレベルではない」と言われました。
私は副作用重視のレジメンを選択したので、せめてこのレジメンだけは標準量で連続完遂したいのが本音です。
「ただでさえ、一番弱い薬を選んだのに・・」と不安です。
このようなケースの場合、江戸川病院でも減薬となりますか?
白血球を増やす薬を併用しながらでも標準量投与となりますか?
私の治療は残り5回ですが、担当医と話し合ってみたいと思っているところです。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
抗癌剤投与時の白血球のマネージメントは「経験の世界」です。
私が江戸川に赴任して3年半を超え(術後の化学療法患者数も相当な数となっていますが)「ただの1人も入院させたことが無い(当院では導入も全て外来です)」ことも事実として付け加えます。
weekly PTXは(回数が重なってくると)白血球がジワジワ下がり(決して、急速に下がることはありません)その結果、
12回終了まで(何もせずに)なんとか辿りつくケース①もあれば、(途中から)
フィルグラスチム投与をすることで12回終了に辿り着くケース②もあります。
RDI>85%が必要ということで
3週間に1回のレジメン(ECやDTX、TCなど)であれば、4回投与の初回は100%で、(白血球その他の事情で)2回目~4回目まで80%としてもRDI=85%となるので、これらのレジメンでは80%とすることが多いですが、
weeklyPTXの場合には、「せっかくだから、100%で乗り切らせる」という方針で、当院ではwbcが2000を切るくらいでも減量はせずにフィルグラスチムを上手に併用して(2000前後をキープしながら)12回終了(RDI=100%)するようにしています。
☆weeklyPTXの量であれば、(wbcが少なめで投与しても)「ガクンと下がる事がない」ので問題ないのです。(3w投与の薬剤でそれをやると、ガクンと下がって大変なことになるので、それはできません)
「しかし白血球が4700→3800→2700と下がってしまったため、3回目の投与から1割減の100mg投与になりました。」
⇒私であれば…
 2000を切るまでは(減量を含め)何もしません。
 2700で1割減は不要だと思います。
「担当医は「1割減までは再発抑制効果に全く問題ない。影響が出るのは2割減から。」
⇒この辺は(冒頭でコメントした)RDI>85%を意識してのコメントでしょう。
「白血球を増やす薬の使用について質問したところ「その薬を使うレベルではない」と言われました。」
⇒フィルグラスチムを上手に併用して「ギリギリでもwbcを2000に維持して、減量せずにやりきる」という「使い方」もあります。
 ♯ただし、都道府県によってはフィルグラスチムの使用について厳しい査定をされるので、難しい面があるのかもしれません。(その辺りは匙加減なので解り兼ねます)
「このようなケースの場合、江戸川病院でも減薬となりますか?」
⇒できるだけ減量はしません。
「白血球を増やす薬を併用しながらでも標準量投与となりますか?」
⇒まさに「その通り」です。
「私の治療は残り5回ですが、担当医と話し合ってみたいと思っているところです。」
⇒weeklyPTXは(3w投与の薬剤とは異なり)「ガクンと下がることがない」ので、少し「aggressive」に振ってもいいでしょう。(3w投与の薬剤ほど、慎重にならなくてもいいのです)