乳がんは早期発見、早期治療を目指しましょう。乳がん手術は江戸川病院|乳がんプラザ

いい天気ですね!

素敵な五月晴れ(と、思いきや)「もう6月だった!」 衝撃的な「時の流れの早さ」

もうすぐ(誰もがうんざりするであろう)「梅雨」が始まります。

梅雨前の「素敵な晴れ空」を堪能しようではありませんか。

 

FMから流れたshort story

「おい、ヘンリー。とうとうお前プロポーズしたんだって?」

「そうなんだよ。」

「勿論YESだったんだろ?」

「それがさー。駄目だったんだよ。」

「えっ?何でだよ。 お前、親父さんが大金持ちだって言ったんだろう?」

「勿論、言ったさ。だけどあの娘、(うちの)親父と結婚するんだってさ。」

 

オラパリブ

5月29日の質問(管理番号 6449:オラパリブ治験(BRCA1/2変異陽性)について)をうけて 今週のコラムに取り上げることとしました。

Olaparib(商品名Lynparza)

PARP(poly ADP ribose polymerase)阻害剤

PARPはDNA修復にかかわる酵素

 

通常(正常細胞)はDNA損傷に対してPARPが無くてもBRCA蛋白による修復が起こるため、生き残る

(これに対して)

BRCA遺伝子変異があると(BRCA蛋白が機能しないため)、(DNA損傷に対して)PARPが無いと修復できない=破壊される。

 

☆つまり(BRCA変異のある)乳癌患者さんに有効性が期待される。

 

歴史)

同じPARP阻害剤であるIniparibの経緯

第Ⅱ相試験)

ジェムザール(ゲムシタビン)とカルボプラチンによる化学療法群 VS (この化学療法に加えて)イニパリブを併用する群

全生存期間中央値はそれぞれ7.7カ月と12.3カ月と大いに期待された。

 

 

 

 

 

 

Iniparib plus chemotherapy in metastatic triple-negative breast cancer   New England Journal of Medicine 2011;364:205-214

 

しかし

第Ⅲ相試験)

(上記)第Ⅱ相試験の123人に対して参加人数を519人参加で行った、同様のレジメンでは、(まさかの)「有意差無」

A randomized phase Ⅲstudy of iniparib(BSI-201) in combination with gemcitabine/carboplatin(G/C) in metastatic triple-negative breast cancer(TNBC)-

Presented at the 2011 annual meeting of the American society of Clinical Oncology. Chicago, IL. June 3-7, 2011. Abstract 1007.

 

ここでPARP阻害剤の命運尽きたか…

と、思われましたが、上記は対象者を「TN全般」としていたのですが、当然ながら、TNの中にはBRCA変異の無い患者さんも多数含まれている筈です。

そこで、対象者をBRCA変異のある転移再発乳癌に絞った臨床試験がOlympiADなのです。

 

OlympiAD

対象: BRCA変異があるHER2陰性の転移性乳癌

♯ TNだけでなく、luminal typeも対象

結果: 無増悪生存期間の中央値はオラパリブ群で7か月、化学療法群で4.2か月となり、オラパリブ(リムパーザ)によりがんの進行リスクを42%軽減し、統計学的に有意であった(HR 0.58; P=0.0009)。

客観的奏効率(ORR)は、オラパリブ群で59.9%、化学療法群28.8%となった。

サブ解析結果において、トリプルネガティブ乳がんにおいては47%の進行リスクが有意に軽減し(HR0.43, 95% CI 0.29-0.63)、ホルモン受容体陽性乳がんにおいては18%の進行リスクが軽減した(HR0.82, 95% CI 0.55-1.26)。

 

OlympiA

上記OlympiADは進行再発乳癌が対象でしたが、Adjuvant therapy(術後補助療法)として適応をとるべくして、現在行われているのがOlympiAです。

ADに対してAはTNのみを対象としています。

♯ これはBRCA遺伝子変異があってもluminal(ホルモン感受性陽性)ではホルモン療法も効くため、これが混ざることで「差が出にくくなるのでは?」という懸念が働いているようです。

つまり臨床試験は「差が出てなんぼ」の世界なのです。

訂正(2018/6/5) 「試験の概要」には「ホルモン受容体及びHER2陰性の」となっているので当然、TNだと思っていたのですが、その一方で「適格基準」の中にはaとbの記載があり、「a. TNBC  b. ER及び/又はPgR陽性かつHER2陰性」という記載がありました。

某社の治験担当者に問いただしましたが、結局「適格基準が正しい=(OlympiAD同様に)ルミナールも対象」と確認しましたので、謹んで訂正させていただきます。

 

★私の得ている情報では、上記OlympiADを受けて(BRACAnalysis診断システムによるBRCA遺伝子変異が確認された)転移性乳癌に対して、「近々」Olaparib(商品名Lynparze)が適応承認されるようです。

OlympiA試験の結果が良好ならば、「術後補助療法への適応拡大」が(将来的に)予想されます。