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エコー診断、柔らかい乳がん

[管理番号:8080]
性別:女性
年齢:43歳
病名:
症状:左乳房腫瘤

田澤先生、こんにちは。

先週〇曜日に組織診でお世話になりました。

ありがとうございました。

私は、毎年受けている人間ドックで左胸要精密検査となって、自宅近くの病院でマンモ、エコー、7ミリの腫瘤の細胞診をしました。

細胞診の時は、先生の「吸って、吸って」という言葉に、あまりの緊張で 息を思い切り何度も吸ってしまいました。
看護師さんに対して注射器を吸ってという意味だったみたいです。

私が呼吸を荒くしてしまったため、細胞診がきちんとできたのかも、今思えば気になります。

その時の先生には、結果がわかるまでは適当なことは言えないから、1週間したら来てくださいとだけ言われました。

その通りだと思いました。

そう思ったのですが、5年前に母を胆嚢がんで亡くし、父も胃がん完治からの、今年大腸がんで人工肛門を作った上、認知で今は施設にいます。
私自身も母子家庭で、小学生の息子と2人暮しで 頼れる身内もいません。
悪いものだったら、と不安になりました。

そして、3年前に左胸の違和感で受診した乳腺外来の先生を思い出し、その時の画像をいただいて、見てもらいました。
これは、大丈夫だよと言われれば…と不安と期待が混ざった行動でした。

でも、画像を見て、9ミリの腫瘤に血流もあるし粘液がん?と言われ、一気に不安の方に傾きました。

そして、田澤先生に慌てて連絡をしてしまいました。
すみませんでした。

細胞診の結果
先生「良性だと思います、絶対がんじゃないとは言い切れない、でも細胞診の結果(クラス2と言っていた)からして、この先の検査はしないことになってるから、経過観察です。
腫瘤は8ミリです。」
私は、粘液がんと言われると怖いながらも考えていたので、複雑な気持ちで…

翌日は、田澤先生に組織診の予約をしていましたが、良性と言われ、田澤先生に伝えた方がいいのか、どうしたらいいか一晩考えたのですが、
不安が拭いきれず、田澤先生の所へ伺いました。

田澤先生は、私の画像を見て 明らかに乳がんの所見と言い、組織診をしたら、9ミリだから乳がんでもステージ1、腫瘤?が柔らかいから、乳がんの確率は五分五分とのことでした。

結果は12月(中旬)日にわかるので、それまではどう考えても仕方がないし、
私と同じ立場の患者さんも同じ気持ちなんだろうと、自分に言い聞かせてますが…
息子のことを思うと、夜も眠れず胸が苦しくなってしまいます。
長々とすみません。

お忙しい中恐縮ですが、田澤先生に質問させてください

乳房エコーで明らかな乳がんなのに乳がんではなかったこともありますか?

細胞診の時に完璧な静止でなく呼吸が荒くなってしまうと 結果の正確性に響きますか?

乳がんだったとしたら柔らかいがんとは、どのようながんですか?
実際に柔らかいがんの発生頻度はどのくらいですか?

エコーで9ミリ=早期 ですか?
それとも実際にとったものの大きさで ステージが変わりますか?

よろしくお願いします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「田澤先生は、私の画像を見て 明らかに乳がんの所見と言い、組織診をしたら、9ミリだから乳がんでもステージ1、腫瘤?が柔らかいから、乳がんの確率は五分五分とのことでした。」
→ごちゃごちゃになっているので整理しましょう。

癌を疑う理由
 エコー像は「癌疑い」どまりだが、「前回のエコーで指摘されていない」から

五分五分と思った理由
 柔らかい癌も(粘液癌も含めて)あるが、典型的な癌は硬いものが多い

ステージ1
 癌だと仮定すると…
 腫瘍径9mm リンパ節腫大なし cT1b, cN0, cStage1 となります。

「乳房エコーで明らかな乳がんなのに乳がんではなかったこともありますか?」
→「明らか」と言うほど強い所見ではありません。(誤解を与えたようです)
 五分五分とはまさに言葉通りで「癌だった人もいれば、そうでいなかった人も同じくらいいる」という意味です。

「細胞診の時に完璧な静止でなく呼吸が荒くなってしまうと 結果の正確性に響きますか?」
→無関係ですが…
 残念ながら細胞診は(組織診以上に)技術の差があります。(私が他人の細胞診を信用して診療することは一切ありません)

 ★(その細胞診よりも格段に簡単である)針生検でさえ、外す乳腺外科医がいることも(大変、残念ながら)いるのが事実なのです。
『今週のコラム202回目』の症例2をご参照ください。
今週のコラム 202回目 炎症性乳癌は通常腫瘤を認めず、皮膚のび漫性発赤、浮腫、硬結を示すものであり、腫瘤の増大、進展に伴う局所的な皮膚の発赤や浮腫を示す場合はこれに含めない。

「乳がんだったとしたら柔らかいがんとは、どのようながんですか?実際に柔らかいがんの発生頻度はどのくらいですか?」
→感覚的なものなので、不明です。

「エコーで9ミリ=早期 ですか?
それとも実際にとったものの大きさで ステージが変わりますか?」

→変わる可能性がゼロとまではいいませんが… 99.9%は1期(早期)となるでしょう。

 

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

右乳房の18ミリのしこりについて
性別:女性
年齢:44歳
病名:
症状:
投稿日:2020年6月15日

こんにちは。

先日は、お忙しい中診察していただきありがとうございました。

お忙しいところ、申し訳ありません。

今回は、新たに見つかった18ミリの乳がん疑いのしこりについて質問させていただきます。

よろしくお願いします。

昨年9ヶ月前の職場健診では指摘されなかった右の乳房のしこりに気づいて、田澤先生に診察していただきました。

エコーでは乳がんと言うほどではないけど、9ヶ月前は健診では指摘されなかったこと、結構血流があることから増殖性が強い18ミリのしこり。

わきのリンパは大丈夫。
8割乳がんの可能性がある。
乳がんでない場合は乳腺症。

怖くて気持ちが動揺していましたが、確かそのような話だったと思います。
間違えていたらすみません。

田澤先生はお忙しい中、診察から2週間後の今月27日に針生検をする予定を組んでいただきましたが、増殖性が強い乳がんであれば、針生検の結果や手術までの間に、増殖して20ミリを超えてステージが上がるのではないかと不安でしかたありません。
子どもの事を考えると辛いです。

診察時に動揺してしまい聞きはぐってしまったことを質問させてください。

①乳がんの増殖は1年で倍になると何かに書いてありました。
今はステージ1の18ミリであると、1ヶ月で1.5ミリ増える計算になります。
血流や増殖性の強い乳がんはもっと早いのではと考えてしまいます。

そのような考えで間違いないですか?
例えば、手術まで1ヶ月かかるとしたらステージ2になるのではと怖さが拭えなくて申し訳ありません。

②乳腺症のしこりだとしたら、血流があるタイプもありますか?

③昨年9月の健診のエコーで10ミリ程度だった線維腺腫が見落とされ18ミリで見つかったという可能性は低いですか?

④乳がんだとしたら、典型的な乳がんのエコー画像でないとしたら、乳頭腺管がんか充実腺と言うことなのでしょうか? 

⑤葉状腫瘍という可能性もありますか?

お忙しい中すみません。

よろしくお願いします。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「「田澤先生はお忙しい中、診察から2週間後の今月27日に針生検をする予定を組んでいただきましたが、増殖性が強い乳がんであれば、針生検の結果や手術までの間に、増殖して20ミリを超えてステージが上がるのではないかと不安」
⇒そこまでの緊急性はありませんが…

 ただ、「癌を疑う」と言った以上、その日に生検できなかったことが気がかりでした。(再度提案しましたが、質問者自身が希望されなかったと理解していますが)

 もしもご希望なら6月18日(木)9時なら対応できます。
 ご希望なら「確定診断希望メール」してください。

「そのような考えで間違いないですか?
例えば、手術まで1ヶ月かかるとしたらステージ2になるのではと怖さが拭えなくて申し訳ありません。」

⇒「血流」に関しては誤解です。

 良性腫瘍にしては血流が豊富だとお話ししたともりです(癌の中でも、特に血流が豊富だという意味ではありません)

「乳腺症のしこりだとしたら、血流があるタイプもありますか?」
⇒勿論、あります。

「昨年9月の健診のエコーで10ミリ程度だった線維腺腫が見落とされ18ミリで見つかったという可能性は低いですか?」
⇒その可能性はあります。

「乳がんだとしたら、典型的な乳がんのエコー画像でないとしたら、乳頭腺管がんか充実腺と言うことなのでしょうか? 」
⇒言っている意味はわかりますが…

 「硬癌は比較的、エコー像で解りやすい」という意味ですよね?
 ただ、組織型は無意味です。

「葉状腫瘍という可能性もありますか?」
⇒画像が合わないと(私は)判断しています。(だから、「癌でなければなんですか?」という問いに対して、「乳腺症」と回答したのです)

「確定診断(生検)」メールはこちらをクリックしてください。

 
 

 

質問者様から 【感想3 】

<感想として扱います。>

ありがとうございました
性別:女性
年齢:44歳
病名:ほぼ乳がん
症状:右胸しこり
投稿日:2020年6月18日

大変お世話になっています。

(下旬)日に針生検の予約をしていましたが、急遽、今日針生検をしていただき本当にありがとうございました。

手術日まで決めていただいて、スムーズに治療が進むことに一安心しています。

私自身の感覚ですが、グレーの時がすごく辛かったように思います。
良性かな?悪性かな?と気持ちがとにかく不安定でした。

ほぼ乳がんであるということで(良性ならもちろん泣くほどうれしいですが)覚悟したというか、乳がんは癌の中でも予後が良いし根治も目指せるので、とにかく治療をきちんとして無再発率を少しでも上げて、息子の成長する姿を見れるようにがんばろうと思います。

私は、看護師をしていますが、乳腺に関しては経験なく、無知に近いです。
(学生時代でさえ教員に乳腺の数を聞かれ12本くらいと答えてすごく怒られた記憶があります)
無知と不安から、田澤先生に変な質問を沢山してしまいました。

すみませんでした。

私自身、Q&Aを何度も見て確認しているはずの内容なのに、しつこく聞いても丁寧に答えていただいてありがとうございました。

まだ手術もしていない身ですが、この先も自分が経験することで乳がんの患者さんの気持ちがわかる時が来ると思います。

元気になって完全に仕事に復帰できる時が来たら、乳腺外科に移動して不安を持っている患者さんに寄り添えたらなぁなんて思ったりもします。

長文すみません。

今後も、田澤先生を信じてがんばります。
今日は、本当にありが
とうございました。

今後とも、よろしくお願いします。

 
 

 

質問者様から 【質問4 】

組織型とサブタイプ 局所再発
性別:女性
年齢:44歳
病名:乳がん
症状:
投稿日:2020年7月3日

大変お世話になっています。

7月〇日に手術の説明を受けた〇〇です。

お忙しいところ、申し訳ありません。

いくつか質問させてください。

針生検の組織型について
(充実性caと硬性caとの所見が混在しています。乳管内進展像も混在)と書いてあります。
どちらも2点のグレード2です。

サブタイプが書いてないのは、とてつもない悪性だからではないですよね?

いろいろ調べますと、
充実性癌は、授乳期間が短い人がなりやすく、トリプルネガティブかBasal-like多いと書いてあったり、(実際に授乳期間2ヶ月程度であまり出ませんでしたし、確かに、Q &Aでも充実性のトリプルネガティブというのをよく見る)

または、充実性癌はルミナールとトリプルネガティブが主体だけど低分化で予後不良と考えられていた中心線維化を伴うような狭義の硬性に増殖する癌は比較的ルミナールが大半を占める。
と書いてあったりしますが、

質問①
実際、私のような乳がんだと、どのようなサブタイプが傾向として多いのでしょうか? 身内には乳がんや卵巣癌はいません。
姉妹はいなく、母親は64歳で胆嚢癌で亡くなりました。

サブタイプは治療法とはわかりますが、充実性に多いBasal-likeなど見慣れないことを見ると、治療の効果はどうなるんだろうと怖くなります。

次は、局所再発についてです。
よろしくお願いします。

質問②
残存乳腺全摘手術の時もセンチネルリンパ生検はやりますか?

質問③
局所再発は
乳房内に残った見えない癌細胞が大きくなり発見される=術後全身療法の効きが良くなかった=全身に廻ってしまっているかもしれない癌細胞にも効いていない可能性=骨や肺などに再発

局所再発は将来的な遠隔の再発の予測になるということにはなりませんか?

よろしくお願いします。

 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。

いろいろと考えすぎていらっしゃるようですが、物事は常にシンプルに考えましょう。

「針生検の組織型について (充実性caと硬性caとの所見が混在」
⇒皆さんが、よく「引っかかる」表現のようです。

 浸潤性乳管癌は「充実型(以前の表記では充実腺管癌)」「腺管形成型(以前の表記では乳頭腺管癌)」「硬性型(以前の表記では硬癌)」に★一応★分類されています。
 ただ実際には、これらは「連続」していて「優勢な」所見が前面に出る(表記されている)だけの話です。
 (術前)組織診で「硬性型」⇒(手術標本で最終的に)「充実型」など、ザラにある話です。

 気にすること自体、全く無意味です。

「どちらも2点のグレード2」
⇒中間ということです。(これも手術標本で変わる可能性もあります)

「サブタイプが書いてないのは、とてつもない悪性だからではないですよね?」
⇒単純に…

 保険診療上、「乳癌と診断された後」にサブタイプをオーダーしないと「点数を削られてしまう」から、必ず(癌確定)更に2週間かかるのです。
 ★ 保険審査で「癌の診断となってもいないのに、(癌を前提とした)免疫染色のオーダーは過剰診療」として減点される(病院側が金銭的に損をする)のです。

「いろいろ調べますと充実性癌は、授乳期間が短い人がなりやすく、トリプルネガティブかBasal-like多いと書いてあったり」
⇒全く根拠のない情報
 忘れましょう。

「質問①
実際、私のような乳がんだと、どのようなサブタイプが傾向として多いのでしょうか?」

⇒単純に…

 7割はルミナールタイプです。

「充実性に多いBasal-likeなど見慣れないことを見ると、治療の効果はどうなるんだろうと怖くなります。」
⇒考えすぎ。

「次は、局所再発についてです。」
⇒これは、ちょうど昨日アップした『今週のコラム 244回目 再発(再発と言われた方へ) vol.1 局所再発』を是非、ご参照ください。

「質問②
残存乳腺全摘手術の時もセンチネルリンパ生検はやりますか?」

⇒やりません。
 理由は2つ
 1.初回手術で(センチネルリンパ節への)リンパ管は切除されているから(そもそも)不可能だし無意味
 2.温存乳房内再発と腋窩再発は無関係(腋窩に異常所見がなければ、そもそも腋窩を再度いじる必要がない)

「質問③
局所再発は乳房内に残った見えない癌細胞が大きくなり発見される=術後全身療法の効きが良くなかった=全身に廻ってしまっているかもしれない癌細胞にも効いていない可能性=骨や肺などに再発
局所再発は将来的な遠隔の再発の予測になるということにはなりませんか?」

⇒全くありません。
 物事はシンプルに考えましょう(上記コラムを参考にして)