[管理番号:8296]
性別:女性
年齢:72歳
病名:乳がん 充実腺癌
症状:遠隔転移 自覚症状なし
投稿日:2020年2月17日
母の乳がんの遠隔転移が分かりこちらにたどりつきました。
平成30年2月に乳がんが発覚し翌3月に手術し、その際のステージは2A程度と言われ、リンパ節転移なしと言われ先生の判断で温存手術になりました。
その後、抗がん剤治療(アンスラサイクリン、タキサン)を半年間実施し、定期に検査を受けていましたが令和2年1月(下旬)日の検査で肺に影あると言われ、2週間後に再検査することになり今日の検査の結果再発であることがわかりました。
その後の治療方としてアバスチン+パクリタキセルを行うと言うことでしたが、アバスチンは生存期間の延長がないとネットの情報で知り、最初のアンスラサイクリン+タキサン又はTS-1が良いのではないかと思うようになりました。
田澤先生の意見を聞きたくて質問をしました。
治療は3日後から開始するとの事でしたが、途中から変更することも可能でしょうか?
よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
肺転移発覚とのこと。
お気持ちお察しします。
「その後、抗がん剤治療(アンスラサイクリン、タキサン)を半年間実施」
→ここでいう「タキサン」とはdocetaxelのことですね?
「最初のアンスラサイクリン+タキサン又はTS-1が良いのではないかと思うようになりました。」
→従来の選択だと
1.Another taxaneとしてpaclitaxel
2.最強レジメンとして bevacizumab + paclitaxel
3.バランスのとれた eribulin
上記選択となることでしょう。(主治医の選択は2のようですが)
ただ、現在はBRACAnalysis及びPD-L1を行ってから選択することが推奨されています。
BRACAnalysis陽性ならば→olaparib
PD-L1陽性ならば→atezolizumab+nab-paclitaxel
『今週のコラム 207回目 BRACAnalysisが陽性率10%以下なのに対し、PD-L1は40%も(陽性率が)あるのです!』をご参照のこと
「田澤先生の意見を聞きたくて質問をしました。」
→私であれば、まず上記2つの検査を行ったうえで、(もしもどちらも陰性ならば)
3を選択します。(肺転移の程度にもよります。比較的病巣が大きければ、2とします)
質問者様から 【質問2 】
抗がん剤の選択
性別:女性
年齢:72歳
病名:乳がん
症状:遠隔転移 自覚症状なし
投稿日:2020年2月18日
こんばんは。
素早い対応に、とても感謝しております。
また心強くも感じます。
前回の質問で、田澤先生は3.バランスのとれた eribulinとおっしゃっておりましたが、それはどうしてでしょうか?
eribulinで腫瘍が縮小又は寛解する可能性があるのでしょうか?
また、比較的に病巣が大きければbevacizumab + paclitaxelともおっしゃっておりました。
母の病状は左右の肺に1cm未満の影が4~5個程度(左右合計で)写っておりました。
今の主治医は病状の説明は余りせず、こちらが質問すると少し嫌がります。
セカンドオピニオンを考えた方がいいでしょうか?
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
質問は1週間はあけてください。
「3.バランスのとれた eribulinとおっしゃっておりましたが、それはどうしてでしょうか?」
→常識的に…
抗がん剤にとってのバランスとは「効果」と「副作用」です。
つまり、「効果があるのに副作用が軽い」ということです。
「eribulinで腫瘍が縮小又は寛解する可能性があるのでしょうか?」
→当然です。
効果が期待できない抗がん剤を「バランスがいい」などと表現することはありません。
質問者様から 【質問3 】
抗がん剤の変更
性別:女性
年齢:72歳
病名:乳がん
症状:遠隔転移 自覚症状なし
投稿日:2020年2月25日
先日は一週間たたずに質問してしまい申し訳ありませんでした。
注意書きを読んでおりませんでした。
また、田澤先生に質問をしたいのですが、主治医とBRACAnalysis及びPD-L1の検査の相談をする時間がなく、母はアバスチン+パクリタキセルの投与を一回受けてしまいました。
明日、BRACAnal
ysis及びPD-L1の検査の相談をしようと思いますが、検査を受ける事は可能でしょうか?また、どちらかが陽性の場合に薬を変更することは可能でしょうか?仮に両方とも陽性の場合にはどちらから先に投与した方がよろしいでしょうか?
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「明日、BRACAnalysis及びPD-L1の検査の相談をしようと思いますが、検査を受ける事は可能でしょうか?」
⇒当然!
それが現在のトリプルネガティブでの再発治療のスタンダードです。
本来は主治医がそれを提案しなくてはいけませんね。
「また、どちらかが陽性の場合に
薬を変更することは可能でしょうか?」
⇒bevacizumab+paclitaxelを始めた以上、その効果をみてからでもいいでしょう。
(もしも効いてていたら、そして副作用が許容範囲ならば)わざわざ変更する理由はありません。
その場合には、(副作用でつらくなったら)第2番手とすればいいのです。
「仮に両方とも陽性の場合にはどちらから先に投与した方がよろしいでしょうか?」
⇒Olaparibの方がいいかもしれません。(推奨はありません)
質問者様から 【質問4 】
トリプルネガティヴ 遠隔転移
性別:女性
年齢:72歳
病名:乳がん 充実腺癌
症状:肺転移
投稿日:2020年4月27日
お世話になっております。
前回質問し、田沢先生に回答いただいた、BRACAnalysis及びPD-L1の検査なんですが、担当の医師にお願いしたところ、私は退職するから後任の医師に頼んでくれと断られ(後で知りましたが患者対応悪いと有名な医師だったらしい)、後任の医師の方は、前向きに検討しますと言ってくれましたが、その医師も臨時の医師だったらしく、また別の医師にかわりました。
その医師は一度診察ただけで、突然、紹介状を出してきて別の病院に転院させられました。
転院先の医師に何故突然転院させられたのか尋ねたら、医師不足の為らしいと教えてもらいましたが、その病院の看護師や同じ治療を受けている患者と親しくなっていたのに、正直言って不信感しか残りませんでした。
転院先の医師にBRACAnalysis及びPD-L1検査の事を話したら、それは、まだまだ先で良いと言われ、いつ検査するのかわかりません。
どのタイミングで検査をするのが良いのでしょうか?
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
トリプルネガティブは、あくまでも「除外診断」であり、「何が効くのか?」解らない代表でした。(だから「とりあえず」効きそうな治療をしましょうということ)
そこに「道筋」をつけたのが「BRACAnalysis」及び「PD-L1抗体検査」なのです。
上記がプラスであれば、(ルミナールでいうホルモン療法やHER2陽性でいう抗H
ER2療法のように)「ターゲット治療」が可能となるのです。
「転院先の医師にBRACAnalysis及び
PD-L1検査の事を話したら、それは、まだまだ先で良いと言われ」
⇒誤り。
術後補助療法として「anthracycline及びtaxane既治療」である質問者に(これらの)検査をするタイミングは「今でしょ」
これが常識です。
「どのタイミングで検査をするのが良いのでしょうか?」
⇒今です。
「まだまだ先が良い」理由がありません。
質問者様から 【質問5 】
乳がん 遠隔転移
性別:女性
年齢:72歳
病名:乳がん 充実線がん
症状:肺転移 自覚症状なし
投稿日:2020年8月12日
お忙しい中、大勢の方々の質問に回答していただき、本当にありがたく、頭の下がるおもいです。
前回、2月頃に質問したものです。
あれから3投1休の間隔でアバスチン+パクリタキセルの抗がん剤治療を受けていますが、その間、採血時にCEAの検査は2回でており数値は、5.1と4.1。
CT とかMRI、PETなどの検査は1度も受けておりません。
その為、病状が好転しているのか悪化しているのかがわかりません。
主治医は初めて受診した際に、頻繁に検査をして使える薬の数を減らしたくないみたいな事を言っていました。
しかし、私としては、効果を確認して効果のある薬を使って行った方が良いのではないかと思っています。
画像診断の間隔はどれぐらいの頻度で行っていけばよいのでしょうか?
田澤先生から 【回答5】
こんにちは田澤です。
「画像診断の間隔はどれぐらいの頻度で行っていけばよいのでしょうか?」
⇒腫瘍マーカーの動きがなければ・
半年に1回
「主治医は初めて受診した際に、頻繁に検査をして使える薬の数を減らしたくないみたいな事を言っていました。」
⇒visionが無いのが気になります。
(画像上)完全緩解を狙う⇒(そして)それを維持するというvisionを示してもらいましょう。
『今週のコラム 245回目 再発(再発と言われた方へ)vol.2 遠隔転移再発』をご参照のこと
質問者様から 【質問6 】
トリプルネガティヴ 遠隔転移
性別:女性
年齢:72歳
病名:充実線がん
症状:自覚症状なし
投稿日:2020年8月19日
いつもお世話になっております。
また質問をさせてください。
7月に主治医お願いをしていたPD-L1の検査結果が全然報告されないので看護婦に聞いたら私達で分からないので主治医に確認してくださいと言われ、主治医に確認した結果、陰性でした。
期待していただけに残念です。
BRACAnalysisの結果はまだ出ておりませんが祖父母等をはじめは親族にがん患者がいませんので期待はしておりません。
現在行っているアバスチン+パクリタキセルの評価はしないのですかと聞いたら、腫瘍マーカーの変化や自覚症状が無ければやらないつもりだと言っていました。
しかし、効果の無い抗がん剤をして副作用だけで苦しむのはどうかと思うし、腫瘍が大きくなる前に効果のある抗がん剤を使った方が画像上消失可能性も有るのでは無いかと思うのですが、どうしたらよろしいでしょうか?
田澤先生から 【回答6】
こんにちは。田澤です。
「どうしたらよろしいでしょうか?」
⇒前回、回答したように
きちんと評価をして、visionを持った治療をしてもらいましょう。『今週のコラム 245回目 再発(再発と言われた方へ)vol.2 遠隔転移再発』を熟読してください。
質問者様から 【質問7 】
トリプルネガティヴ 遠隔転移
性別:女性
年齢:73歳
病名:充実腺癌
症状:自覚症状なし
投稿日:2020年9月28日
お世話になっております。
前回質問して田澤先生にvisionを持っ
た治療をする様にと言われ、今の病院では悪化するまでは検査はしないと言うスタンスだったため、他の病院で診察を受けてみたいと申し出ました。
診療情報をもらい、乳がん治療で実績のある病院で診察を受けました。
その病院では早速CT を撮り初診時から現在までの画像データと比較して頂きました。
再発が分かった時の画像では、大小様々な大きさの影か23個あるといわれました。
(最大で30mm程度。
再発が分かった病院では具体的な事は言われず、素人目で画像を見ただけだったので5~6個だと思っていたのでビックリしました。)その病院で撮ったCT では影はほとんど消えており、薄くて小さな影(5mm程度)が3個ありました。
先生が抗がん剤がとても良く効いていると言っていただき、この程度なら抗がん剤を休薬する人もいると言っていました。
(副作用で血圧が160以上になっている)しかし、まだ血圧もまだ許容範囲だし、あと2~3クールは治療を行い画像上消えたならこれを維持する治療をしたいと言いました。
そこでTS-1 又はゼローダなどの経口剤を行い、また増悪するようだったらアバスチン+パクリタキセルに戻すのはどうですかと聞いたら、それでも良いと言われました。
田澤先生のトリプルネガティヴ乳がんでも抗がん剤が良く効くタイプがあると言う事を実感しました。
田澤先生ならどう言った治療で維持をするでしょうか?アバスチン+パクリタキセルを減薬して維持するのは薬の耐性が不安でもあります。
母は15年ほど前に肺腺癌の手術をしたことがあり、そのあとTS-1 を数年服用していました。
その時は多少の味覚の変化程度で大きな副作用はありませんでした。
よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答7】
こんにちは田澤です。
Bevacizumab + paclitaxelが奏功したようで何よりです。
「あと2~3クールは治療を行い画像上消えたならこれを維持する治療」
⇒いいと思います。
「そこでTS-1 又はゼローダなど
の経口剤を行い、また増悪するようだったらアバスチン+パクリタキセルに戻す」
⇒私は経口抗がん剤(TS-1やcapecitabine)のバランス(効果と副作用)に大変疑問を持っています。
それらに比べれば、eribulinの方が「圧倒的に」バランスが優れていると実感しています。
★ つまり
Bevacizumab + paclitaxel (あと2-3クール?)⇒ 画像上消失 ⇒ eribulin(4クール)の方が、(ご本人にとっても)楽でしょう。
ご参考に
質問者様から 【質問8 】
トリプルネガティヴ 遠隔転移
性別:女性
年齢:74
病名:充実腺癌
症状:自覚症状なし
投稿日:2020年11月9日
いつもお世話になっております。
また田澤先生のアドバイスがいただきたくメールをしました。
前回、画像上の消失を目標に後2~3クールし、画像上消失したらエリブリンを投与する方法で治療していくつもりでしたが、尿タンパク+3が3週続けてでてしまい、担当先生から1ヶ月程休薬しましょうと言う事で治療を休んでおりました。
1ヶ月後、再度血液検査、尿検査を実施したのですが、やはり尿タンパクが+3ででしまいました。
担当の先生から、これでは抗がん剤治癒(アバスチン+パクリタキセル)はできないと言われ、それではエリブリンではどうですか?と聞いたところエリブリンも無理して使わない方がいいと言われました。
担当の先生は画像上、元々そこに腫瘍があったと分からないと気付かないくらいに消えているから大丈夫と言われましたが、もう1ヶ月以上治癒を受けていない不安もあります。
また担当の先生からはTS-1で様子を見ましょうと言われました。
田澤先生が経口抗がん剤は、効果と副作用のバランスが良くないと仰っている事もあり、本当にこれで良いのか悩んでおります。
やはりエリブリンは
尿タンパクが出ていると使えないのでしょうか?
田澤先生から 【回答8】
こんにちは田澤です。
何度も言いますが…
私はTS-1は使いません。(カペシタビンも)
eribulinは非常に「効果と副作用のバランスがいい(おそらく、薬剤の中でNo.1)」ので、尿たんぱくは無視して結構です。