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トリティブネガティブと診断されました。現状と今後の治療についてご教授ください。

[管理番号:4947]
性別:女性
年齢:57歳
田澤先生
初めて質問させていただきます。
いつもこのサイトから知識と励ましをいただいています。
どうもありがとうございます。
私の乳がんの現状と今後の治療について、先生のご意見をお聞きしたいと思います。
3月末定期健診で右乳房に微小石灰化が見つかり、エコー下針生検の結果、非浸潤性乳管癌であろうと診断されました。
その後MRI、CTの結果、より大きな18×5.4mmのしこりが見つかり、5月の連休明けに部分切除しました。
組織診の結果、がんは思いがけないほど大きく広がっており、診断書に
は、肉眼ではC領域に18×8mmの腫瘍を認めるが、それより広い範囲
(65×33mm)に異型細胞の浸潤増生、及び小葉腺房、乳管への上皮内進
展を認め、浸潤性病変の範囲は25×23mmと書かれています。
(部分切除に同意したことをすごく後悔しました。
エコーやMRIでどうしてわから
ないんだとも思いました。)
正式な病名は浸潤性小葉がん
リンパ節転移 0/3
明らかなリンパ管侵襲、血管侵襲なし
切除断端は陰性
エストロゲン、プロゲステロンともに陰性
HER2 2+ その後fish検査の結果陰性
Ki67 8
核グレード2(核異型スコア2、分裂像スコア1)
主治医からは腫瘍が大きいこと、トリプルネガティブであることがマイナス要因だが、リンパ節転移がないこと、Ki67と分裂像スコアが低いことから、トリプルネガティブの中ではおとなしい性質であることがプラス要因との説明がありました。
これについて、田澤先生のご意見はいかがですか。
今後、抗がん剤治療 ドセタキセル 3週おき×4回 の後、CEF 3週おき×4回 その後放射線療法 2グレイ×25回 を予定しています。
この治療に関してはどのようにお考えになりますか。
このまま何もしない場合の5年生存率は79%、抗がん剤治療をして5%上乗せの84%ということでした。
Ki67が低いと抗がん剤が効きにくいということはあるのでしょうか。
また、これらの治療終了後の定期検診は年に3回、マンモグラフィー、エコーで局所チェック、MRIやCTは行わない。
5年経過後は年に1回との説明でした。
これは通常の検診内容なのでしょうか。
毎年乳がん検診を受け、毎年無事に過ごしていると思っていた私にとって非常なショックで、底なし沼に落ちたような気分ですが、自分のがんの状況について正しく理解して、今後の治療を行いたいと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
小葉癌が(術前画像よりも)「手術標本での浸潤径が大きくなる」ことはしばしば経験することであり、大人しい小葉癌が(病理学的に)広く拡がっているからといって予後不良要因になるとは思いません。
○現状、トリプルネガティブである程度の浸潤径がある以上は(いくら大人しくても)「化学療法をしなくても良い」という根拠はありません。
 だから(抗癌剤の効果の程度は不明ながら)「化学療法を選択せざるを得ない」というのが現状です。
「Ki67と分裂像スコアが低いことから、トリプルネガティブの中ではおとなしい性質であることがプラス要因との説明がありました。」
⇒その通りです。
 そもそも「トリプルネガティブ」とは(ER,PgR,HER2が全て陰性であるだけが共通の)「雑多な集団」なのです。
 その中には「激しい性質」のものも「非常に大人しい性質」のものもあるのが「寧ろ当然」なのです。
 ○質問者は「後者」だということです。
「この治療に関してはどのようにお考えになりますか。」
⇒標準治療です。
 (もしも半年が嫌なら)TCでもいいでしょう。
「Ki67が低いと抗がん剤が効きにくいということはあるのでしょうか。」
⇒その可能性はありますが、
 (裏を返せば)そもそも大人しいタイプなので、抗癌剤に頼らなくても再発リスクは低いと考えた方がいいでしょう。
「また、これらの治療終了後の定期検診は年に3回、マンモグラフィー、エコーで局所チェック、MRIやCTは行わない。5年経過後は年に1回との説明でした。これは通常の検診内容なのでしょうか。」
⇒術後の定期検診にスタンダードはありません。
 MRIやCTは不要ですが、採血腫瘍マーカーは半年に1回位しておくと安心です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生
早々にご回答を頂いて、本当にありがとうございます。
先週ドセタキセルの1回目を受けました。
田澤先生のおかげで進もうとしている方向が間違っていないことを確認でき、この抗がん剤治療は私にとって再発させないためのチャンスだと積極的に受け止め、前を見ることができました。
また、「大人しい小葉癌が(病理学的に)広く拡がっているからといって予後不良要因になるとは思いません」という先生のご見解に大変励まされました。
二点、質問したいと思います。
まず、放射線療法について、化学療法後、2グレイ×25回を予定していますが、30回行う場合やそれぞれにショットを組み合わせる場合などがありますね?主治医からは断端マイナスでマージンもぎりぎりというわけではないし、25回照射で大丈夫と説明されました。
私のような状況で、
照射回数、放射線機器の性能等によって効果が異なってくるということがありますか。
また、部分切除の放射線療法は術後20週以内にスタートすることが推奨されていると思いますが、化学療法でそれが遅れた場合も標準の25回で問題ないのでしょうか。
二点目ですが、その後の定期検診について、マンモグラフィー、エコー以外に採血腫瘍マーカーのチェックをするとよりよいとお教えいただきました。
様々なブログ等を見ると確かに定期検診の内容と頻度は人それぞれのようです。
再発を早期発見してもその後にあまり影響しないというような記述も見られますが、患者としては少しでも早く発見してもらい、取れるものなら取ってほしいと思うのが普通だと思います。
上記以外に有効な検査、推奨できる検査はありますでしょうか。
化学療法と放射線治療が終わってしまうと、後は自己免疫力で闘うしかないというのがとても不安です。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「私のような状況で、照射回数、放射線機器の性能等によって効果が異なってくるということがありますか。」
⇒ありません。
 普通です。
「術後20週以内にスタートすることが推奨されていると思いますが、化学療法でそれが遅れた場合も標準の25回で問題ないのでしょうか。」
⇒勿論です。
 化学療法を先行すれば(アンスラサイクリン+タキサンなら6ヵ月なので)放射線は、(当然)術後5カ月を超えます。
 それは当然のことなのです。
「上記以外に有効な検査、推奨できる検査はありますでしょうか。」
⇒特にありません。
★皆さん、術後早期にはいろいろと心配なものですが、そのうち慣れてきます。
 余計なことはしなくていいのです。