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手術か薬剤変更か。

[管理番号:7523]
性別:女性
年齢:44歳
病名:乳癌 浸潤性乳管癌
症状:

 初めまして。
よろしくお願いいたします。

 2018年4月に左乳癌、多発肺転移と診断
15㎜、浸潤性乳管癌、核グレード3、Ki67 60%、ホルモンレセプター
陰性、HER2強陽性

 2018年5月より、ハーセプチン+パージェタ+ドセタキセルを8回
(100%から75%まで減薬しながら)
ハーセプチン+パージェタを6回
ハーセプチン+パージェタ+ドセタキセル(65%に減薬)を2回で現在
に至ります。

 肺転移は20数個あったようなのですが、今では2~3個くらいに減ったようです。
原発巣もほとんどわからないくらいに小さくなっていたのですが、先日(6月下旬)のCT(ドセタキセルを1クール休んだ後)で原発巣が元の大きさ程度に戻っていることがわかりました。

 主治医からは、PET検査後に転移がなければ手術を検討する、転移があれば、ドセタキセルをハラヴェンへ変更すると提案されています。
(薬剤変更は肝臓の数値が高めなのでドセタキセルを回避するという意味も含むそうです。)

・現在の薬をハラヴェンやパクリタキセルへ変更する必要はありますか?
・手術しないメリットはありますか?
(抗がん剤の効き目を判断する指標として原発巣を残す選択もあると聞きました)
・また、新たな転移があったとしても摘出すべきでしょうか?
・摘出手術をする場合の方法(全摘、リンパ郭清など)の流れについて
ご教示いただければと思います。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「・現在の薬をハラヴェンやパクリタキセルへ変更する必要はありますか?」
→そのようです。

「・手術しないメリットはありますか?」
→ありません。

「(抗がん剤の効き目を判断する指標として原発巣を残す選択もある」
→そのために腫瘍を残しておくという発想をする医師はいますが、純粋に人間的に考えるとおかしいのでは?(私なら、そんな目的で「腫瘍を体に残しておく」なんて、
真っ平ごめんです)

「・また、新たな転移があったとしても摘出すべきでしょうか?」
→程度によりますが…

 本来の考え方としては
 ステージ4乳癌での手術の適応基準は、「全身療法で(全身が)ある程度コントロールされている」状態となります。

「・摘出手術をする場合の方法(全摘、リンパ郭清など)の流れについてご教示いただければと思います。」
→全摘であることは間違いありません。

 リンパ節に関しては基本は「化学療法前の状態」が基準となります。
 つまり、化学療法前に画像上、リンパ節転移+ならば、郭清すべきです。

 ★遠隔転移があるのだから腋窩郭清しても仕方がない」的な考えをする医師がいるかもしれませんが…
 やはり「局所コントロール」はQOLに重要となる(将来的にリンパ節再発したら、患肢浮腫必発となる)ので、綺麗な郭清はしたほうが(その意味で)無難なのです。(下手な郭清だと「それ自体が浮腫の原因となりQOL低下の原因そのものになりうる」ので注意が必要です)