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手術及びオンコタイプについて

[管理番号:4411]
性別:男性→女性
年齢:43歳
妻の乳癌について質問させていただきます。
ここに書く内容については
妻も承知し、本人も先生の意見を聞きたいと言っておりよろしくお願いいたします。
手術を受けるため他の病院を選択したため、術前の結果が2つ、両院で調べたものがあります
腫瘍の位置は右胸内側A領域
浸潤径 1cm
リンパ節に転移なし
その他にエコー上良性と思われる腫瘍が1つ同じA領域にあります。
温存手術予定です。
最初の病院
ER 90%
PgR 90%
HER2 2+(FISHで増幅なし)
Ki67 20%
手術を受ける病院
ER 8
PgR 8
HER2 1+陰性(FISHで増幅なし)
Ki67 36%
核グレード2
1、手術について
 断端陰性のマージンを5mm取るようにして欲しいと言ったところ、腫瘍の場所的に胸筋が近くその側はマージンをとれるようには出来ない、
筋膜ぎりぎりにとるがその側は乳腺も無いから心配しなくてよい、と言われましたが、それほど心配する必要はないのでしょうか?
胸筋側が断端陽性だったり、近接だった場合にはブースト照射が必要なのでしょうか?医師からは断端が陽性だったり、近接が多い場合でなければブースト照射はしないと言われました。
田澤先生も同じようにお考えでしょうか?
1、乳癌と診断された腫瘍と一緒に良性腫瘍と思われる腫瘍も、乳癌の腫瘍の切除する範囲にあるため切除して調べると言われました。
もし検査の結果、良性ではなく癌であった場合は多発性の乳癌と考えて改めて乳房切除を考慮すべきでしょうか?
1、手術する病院の検査結果でKi67値が36%であった為、化学療法も必要か医師に確認した所、放射線とホルモン療法(タモキシフェン)を10年間内服する予定ですと言われました。
田澤先生のQ&Aを拝見させて頂き、その中でKi67が30%以上はオンコタイプを勧めるとありました。
最初の病院が20%で、今の病院が36%と言われ、本当に化学療法が必要ないのか悩んでいます。
この場合、田澤先生ならオンコタイプを勧めるでしょうか?
1、今の病院でオンコタイプの話をした所、「必要ない、みる限りオンコタイプを出しても低リスクか中リスクになるだろう、化学療法による上乗せはマイナスになるかも」と言われました。
この「マイナスになる」ということがあるのか?意味がよく理解できないので説明して頂けると助かります。
1、また、術後病理結果が出るまで2~3週間かかり、それからオンコタイプを依頼して3~4週間と説明を受けました。
そうなるとオンコタイプの結果が出て、化学療法なしで放射線療法とホルモン療法に決定した場合、放射線療法の開始が術後8週間以上空いてしまう可能性があります。
あまり期間が空いてしまうと怖いのですが、どれくらいまでに放射線療法を行うべきなのか知りたいです。
また、2ヵ月空いてもオンコタイプをした方が良いでしょうか?
1、ホルモン療法について、タモキシフェンを10年間内服と言われましたが、アゴニストを併用しなくて良いのでしょうか?またアゴニスト併用の対象となる「1期や2期でも化学療法を考慮するようなハイリスク」
とはどのように判断されるものなのでしょうか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「筋膜ぎりぎりにとるがその側は乳腺も無いから心配しなくてよい、と言われましたが、それほど心配する必要はないのでしょうか?」
→問題ありません。
 手術のセンスがあれば…
 「胸筋ギリギリ」だと(術中に)感じたら、「その部分の胸筋も合併切除(大した手間ではありません)」します。
「ブースト照射はしないと言われました。田澤先生も同じようにお考えでしょうか?」
→深部側は、術者にしか解らない領域です。(病理医は、正確に判断しようがないのです)
 術者を信用してあげましょう。
「1、乳癌と診断された腫瘍と一緒に良性腫瘍と思われる腫瘍も、乳癌の腫瘍の切除する範囲にあるため切除して調べると言われました。」
「もし検査の結果、良性ではなく癌であった場合は多発性の乳癌と考えて改めて乳房切除を考慮すべきでしょうか?」

→そんなことを心配するくらいなら…
 術前に針生検すべきでしょう。
「最初の病院が20%で、今の病院が36%と言われ、本当に化学療法が必要ないのか悩んでいます。この場合、田澤先生ならオンコタイプを勧めるでしょうか?」
→KI67は「術前の組織診で判断すべきもの」ではありません。
 これから手術するのだから「術後の標本全体で評価すべき」です。
 その上で、30以上ならOncotypeDXしましょう。
「この「マイナスになる」ということがあるのか?意味がよく理解できないので説明して頂けると助かります。」
→これは、実際の「臨床試験結果での結果」だから起こる「逆転現象」です。
 実際に「マイナス」となることはありません。(上乗せがゼロと考えてください)
 
 ○つまり臨床試験において、①「タモキシフェン単独群」と②「タモキシフェン+化学療法群」をOncotypeDXの値で、その再発率をグラフにしているので①と②の群は別々の集団だから、「逆転現象も起こりえる」のです。
「術後病理結果が出るまで2~3週間かかり、それからオンコタイプを依頼して3~4週間と説明」
→OncotypeDXは(術後病理結果が出てからではなく)「同時オーダー」できます。
 当院では、「そのようなオーダー」も増えており、そうすると「術後4週間」でOncotypeDXの結果が出ます。
「どれくらいまでに放射線療法を行うべきなのか知りたいです。」
→術後5カ月以内に開始(抗癌剤が先行した場合を除く)すればOKです。
「また、2ヵ月空いてもオンコタイプをした方が良いでしょうか?」
→「同時オーダー」しては、どうでしょう?
「1、ホルモン療法について、タモキシフェンを10年間内服と言われましたが、アゴニストを併用しなくて良いのでしょうか?」
→現時点では(手術後の病理結果で確認が必要ですが)併用の対象とはならないようです。
「またアゴニスト併用の対象となる「1期や2期でも化学療法を考慮するようなハイリスク」とはどのように判断されるものなのでしょうか?」
→総合的な判断となるので、術後病理がでてから考えるべきです。