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HER2 ステージ4 肝臓転移 今後の治療について

[管理番号:3809]
性別:女性
年齢:53歳

 
 

質問者様の別の質問

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管理番号:8452「HER2 ステージ4 肝臓転移 今後の治療について

 
 

 
初めまして。
治療について質問させてください。
 
53歳で、閉経しています。
今年4月に以下のような乳がん診断がなされました。
 
浸潤:あり
腫瘍径:50X43X20ミリ
エストロゲン受容体:陽性
プロゲステロン受容体:陰性
HER2:2+/fish:陽性
Ki67:40%
リンパ転移:あり
遠隔転移:肝臓(右半分)
サブタイプ:ルミナールB+HER2
ステージ4
 
治療として、ハーセプチン、パージェタ、ドセタキセルを7回投与したところです。
その結果、腫瘍が17X17X11ミリに縮小し、リンパと肝臓の腫瘍が画像上見えなくなるなど効果が出ています。
7回目の時に、好中球が500を切ったと言うこともあり、GCSFを投与しました。
3週間経っても好中球1100と回復していません。
このためドセタキセルのみ休薬することにしました。
8回目の治療は、ハーセプチン、パージェタの2剤投与です。
 
質問として
1:最近のQ&Aに ◎抗HER2療法は必ず「通常の抗ガン剤と併用」すべきものです。
とあり、
他のQ&Aにホルモン剤は使用すべきとも出ております。
ドセタキセルなどの抗がん剤はやめない為に、ジーラスタ使用で対応をした方がいいのでしょうか?
治療効果が出ているので、3剤併用を継続をしたいと思っていますが、ホルモン剤の上乗せ使用がいいのでしょうか?
 
2:ドセタキセルをやめた場合、カドサイラに変更できるのでしょうか?
カドサイラで不具合等が出た場合、ハーセプチン+パージェタ+ドセタキセルに戻ることはできるのでしょうか?
薬剤を渡り歩くのは有効なのでしょうか?
 
3:当初、ステージ4ということで、手術はできないと言われましたが、転移がんは画像上見えなくなっています。
ステージ4から2に下がったという扱いなのでしょうか?
主治医からは、画像上見えないだけでがんは存在すると考えいるので、手術はしないというふうに言われています。
ここのQ&Aにも「原発巣からの新たな転移の可能性」及び「原発巣が潰瘍形成等出血の原因となり、そうなってしまうと手術不能となってしまう」
とあり、がんのタイプが浸潤なので、そのままにしておくことは疑問を持っております。
今の治療を進めて、腫瘍が大きくなってきたら手術したほうがいいのでしょうか?
 
以上よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
 
転移性乳癌の治療には所謂スタンダードは存在しません。(因みに転移性乳癌に対する抗HER2療法使用のガイドラインは存在します。
Trastuzumab+pertuzumab+docetaxelは間違いなくファーストラインです)
「頭の硬い」乳腺外科医や一般的な「腫瘍内科医」は「局所療法としての手術」を全く考えていないことには注意が必要です。
 
「ドセタキセルなどの抗がん剤はやめない為に、ジーラスタ使用で対応をした方がいいのでしょうか?」
⇒効果が出ている現状では「drug holiday」の考え方からも「一時的にdocetaxel抜き」という選択はいいと思います。
 あくまでも一時的なのです。
 
「治療効果が出ているので、3剤併用を継続をしたいと思っていますが、ホルモン剤の上乗せ使用がいいのでしょうか?」
⇒現在の治療で十分な効果がでているのだから、今のままでいいでしょう。
 たとえば(抗癌剤を半年や1年行い)十分な状況となって「さて、抗ガン剤は休むか」と言った場面で「ホルモン療法単独で維持する」というような使い方もあります。
 
「2:ドセタキセルをやめた場合、カドサイラに変更できるのでしょうか?
カドサイラで不具合等が出た場合、ハーセプチン+パージェタ+ドセタキセルに戻ることはできるのでしょうか?」

⇒できますが、(効果が持続している状況では)「変更よりはdocetaxel抜きでの持続」の方が一般的です。
 
「薬剤を渡り歩くのは有効なのでしょうか?」
⇒そんなことはありませんが、「せっかく効果がでているのだから」絶対にカドサイラが有効であると保証できない以上、敢えて「変える必要はない」と思います。
 
「主治医からは、画像上見えないだけでがんは存在すると考えいるので、手術はしないというふうに言われています。」
⇒頭の硬い乳腺外科医ですね(もしかして腫瘍内科医?)
 乳がんの治療にとって「手術」は極めて低侵襲な治療であり、それでいて「有効な局所療法」なのです。
 ◎手術など、2泊3日で簡単にできるのだから、「抗ガン剤の合間」に「ささっと」してしまえばいいのです。(術翌日にでも抗ガン剤はできます)
  「手術の傷が癒えるまでの間に進行したら…」などと心配するようでは(手術の精度にかんして)「外科医として失格」です。
 
「今の治療を進めて、腫瘍が大きくなってきたら手術したほうがいいのでしょうか?」
⇒わざわざ「大きくなるまで待つ」などナンセンスです。
 タイミングを見て「有効な局所療法」として考えましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、先日は疑問に対して回答をいただきありがとうございました。
 
原発巣への手術はしてもらえることになりました。
ただ、消極的賛成というか勧めるわけではないが、希望するならという押し付けがましい反応でした。
乳がんの手術なんて(語弊がありますが)、主要臓器でないので簡単にできると思うのですが、感染のリスクがあるとか、がん細胞拡散のリスクがあるとか並べ立てられました。
温存で入院1週間と言われました。
江戸川病院なら3日程度だと思います。
ドクターXではないですが、私失敗しないのでというような自信が感じられません。
こういう医師であっても、田舎だと逃げ出すわけにもいかず、歯がゆい思いをします。
とはいえ、頑迷固陋な医師を翻意させることができたのは、田澤先生のおかげです。
ありがとうございました。
 
ただ、患者がこういった要求をすることは、治療内容を本人が決めると言っても波風を立てることになるのでしょうか?あとあとしっぺ返しを食らうなど、
不利益を被ることはないのでしょうか?
 
これまで、CTやPET CTを合計3回受けています。
受けていない骨シンチや頭部X線検査を来週すると言われました。
マーカー値は初診時は、基準よりも上でしたが、今は基準内に収まっています。
この検査は必要なのでしょうか?
 
検査機器に被曝量のメーターがついていて、個別にわかるようになっているのでしょうか?
手術後の補助療法では、パージェタやカドサイラはダメという回答を見たのですが、遠隔転移があるステージ4で転移が消えて、手術で原発巣を切除した場合でもパージェタやカドサイラは使えないのでしょうか?再発でもしないと使えないのでしょうか?
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
 
「ただ、患者がこういった要求をすることは、治療内容を本人が決めると言っても波風を立てることになるのでしょうか?あとあとしっぺ返しを食らうなど、不利益を被ることはないのでしょうか?」
⇒その医師の人間性次第ですが…
 人間としてまともならば、そんな子供みたいなことはしないと思います。
 
「受けていない骨シンチや頭部X線検査を来週すると言われました。マーカー値は初診時は、基準よりも上でしたが、今は基準内に収まっています。この検査は必要なのでしょうか?」
⇒不要です。
 納得いかない検査は断りましょう。
 
「検査機器に被曝量のメーターがついていて、個別にわかるようになっているのでしょうか?」
⇒そんなものはありません。
 だから「自分の身は自分で守る」必要があるのです。
 
「遠隔転移があるステージ4で転移が消えて、手術で原発巣を切除した場合でもパージェタやカドサイラは使えないのでしょうか?」
⇒使えます。
 (画像上消失したとしても)「転移再発を1度でも確認」すれば適応はあるのです。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生、いつもお世話になっております。
 
ステージ4なので、あらゆることをしたいと思っております。
原発巣の手術に向けて、色々と追加検査をしております。
不要だと思っていても、主治医に必要だと主張されると、生半可な知識では押し切られてしまい、悔しい思いです。
他のQ&A見ましても、同じような事例を目にすることもあり、壁が厚いのを感じます。
骨シンチなど追加の検査結果は、異常なしでした。
それはそれでホッとしています。
 
転移が見つかった場合、手術はしないということになったのでしょうか?
手術はステージ4がらみということもあり、リスク回避のため全摘で行くことにしました。
先生が他のQ&Aでも回答されているように、「抗HER2療法」⇒「肝転移の消失」⇒「乳癌の手術」⇒「ハーセプチン単剤+ホルモン療法」による維持が「最も理想的な流れ」となりそうで期待が持てます。
 
ただ先生の回答に、ステージが重要ということが出ていて、薬がよく効いてもあまり喜べないのでしょうか?
主治医から、抗HER2治療で薬が効いたおかげでHER2がんが消滅してしまった場合、HER2陽性から陰性になる可能性を指摘されました。
 
手術後の病理検査ではっきりしますが、陰性になった場合、治療はどういう風に変わるのでしょうか?
HER2因子がなくなることで、悪性度は低くなるのでプラスでしょうか?薬物療法の効果が期待できないということがマイナスで、、プラスマイナスで考えると、マイナス要因の方が大きくなるのでしょうか?
再発した場合、またHER2復活するのでしょうか?再び生検をしてサブタイプを調べて治療をするのでしょうか?
それとも手術後の病理が最終で、以後変化しないということで治療が進んで行くのでしょうか?
陰性になった場合、今まで効いたハーセプチンやパージェタは使用できず、他の薬剤を投与するのでしょうか?
HER2に限らず、サブタイプは治療を続けるうちに、コロコロと変わるものなのでしょうか?
 
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
 
「転移が見つかった場合、手術はしないということになったのでしょうか?」
⇒程度によると思います。
 要は「コントロールの範囲内かどうか」です。
 
「手術後の病理検査ではっきりしますが、陰性になった場合、治療はどういう風に変わるのでしょうか?」
⇒ハーセプチンは使いません。
 通常の化学療法(分子標的薬であるbevacizumabも含めて)となります。
 
「HER2因子がなくなることで、悪性度は低くなるのでプラスでしょうか?薬物療法の効果が期待できないということがマイナスで、、プラスマイナスで考えると、マイナス要因の方が大きくなるのでしょうか?」
⇒考え方は一様ではありませんが…
 HER2陽性のままの方が「治療手段の豊富さ」という意味では対処し易いことは事実です。
 
「再発した場合、またHER2復活するのでしょうか?再び生検をしてサブタイプを調べて治療をするのでしょうか?それとも手術後の病理が最終で、以後変化しないということで治療が進んで行くのでしょうか?」
⇒もしも再発した場合…
 その「再発巣が外科的アプローチ(針生検や外科的生検)」しやすいかどうか?」で異なります。
 
「陰性になった場合、今まで効いたハーセプチンやパージェタは使用できず、他の薬剤を投与するのでしょうか?」
⇒その通りです。
 
「HER2に限らず、サブタイプは治療を続けるうちに、コロコロと変わるものなのでしょうか?」
⇒長期間治療を行っていると…
 その治療に「抵抗性のあるものだけが生き残る(適者生存という考え方)」ことは、よくあります。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

田澤先生、お世話をおかけします。
 
先ほど、毎日新聞の特集を読みました。
心配しすぎというコメントもありましたが、詳しい説明がないなどコミュニケーションとか信頼関係の構築などの課題もあるのかなと思いました。
 
今週、原発巣の全摘手術を予定しております。
4月にステージ4と診断され、手術できないと言われ、奈落の底に落とされたような気持ちになり、どうなることかと思いましたが、薬物により転移腫瘍が消えて、なんとか原発巣手術にこぎつけることができました。
ステージ4でもこういうことは結構あるのでしょうか?
ステージ4になると、日本乳癌学会の診療ガイドラインで推奨グレードC1という扱いです。
第112回日本外科学会定期学術集会やJAMA surgeryなどにはステージ4であっても、原発巣を手術したほうが成績が良いということが出ています。
 
手術にあたっての説明書では、5年生存率40%と書いてありました。
良い方向に向かっていると思うのですが、再発率や生存率などは、先生の経験からはいかがでしょうか?
手術は、当初、乳房全摘とセンチネルリンパ節生検をやって、結果によってはリンパもということだったのですが、
画像に写っていないので、乳房のみ全摘という手術になりました。
 
リンパまですべて取るということになると、昔やっていたハルステッド式みたいに大掛かりになり、腕も上がらなくなるし、パンパンに腫れる可能性があるので、リスクのバランスをとって、この方法で行くと説明をされました。
最近の回答に、(エコーで腋窩リンパ節に明らかに転移所見がなければ)当然、センチネルリンパ節生検も省略です。
とありました。
取り残しなどの可能性を考えると、全摘のみでも大丈夫でしょうか?
 
この前の回答では、HER2が陰性になった場合、ハーセプチンは使わないということでした。
ステージ4ということで、画像上見えないにしても、どこかに残っている可能性があります。
ハーセプチンは再発を半分にするので、パージェタと併せて使い続けたいのですが、できないのでしょうか?
術後の化学療法やホルモンの種類や期間や開始時期、順番はどのようになるのでしょうか?
抗がん剤は併用することが多いのですが、抗エストロゲン剤のタモキシフェンやアロマターゼインヒビターは作用の違いから併用しないのでしょうか?
仮に再発してもHER2タイプなら、初発時同様、抗HER2療法で効果を発揮することは、大いに期待できるのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
 
「再発率や生存率などは、先生の経験からはいかがでしょうか?」
⇒ステージ4で、薬物療法著効例となると「統計的な数値」は無意味です。
 
「リンパまですべて取るということになると、昔やっていたハルステッド式みたいに大掛かりになり、腕も上がらなくなるし、パンパンに腫れる可能性がある」
⇒そんな事はありませんが…
 もう少し、手術の精度を上げるべきでしょう。
 
「最近の回答に、(エコーで腋窩リンパ節に明らかに転移所見がなければ)当然、センチネルリンパ節生検も省略です。とありました。」「取り残しなどの可能性を考えると、全摘のみでも大丈夫でしょうか?」
⇒これはいいと思います。
 腋窩郭清しても「腕が挙がらない」とは思いませんが…
 
「ステージ4ということで、画像上見えないにしても、どこかに残っている可能性があります。」
⇒可能性はあります。
 もしも「その可能性が無い」と断言した時、それを「根治」と表現するわけですが、そのためには(最低でも)「10年以上」本当に断言するには「20年位」かかるのです。
 
「ハーセプチンは再発を半分にするので、パージェタと併せて使い続けたいのですが、できないのでしょうか?」
⇒以前にもコメントしたと思いますが…
 いろいろな使い方があります。
 最初は trastuzumab+pertuzumab+docetaxelであっても、副作用が強ければ(ここからdocetaxelを抜いて)trastuzumab+pertuzumabのみを使用するケースは一般的だとも言えます。
 
「術後の化学療法やホルモンの種類や期間や開始時期、順番はどのようになるのでしょうか?」
⇒これは(現時点の)「病巣の評価次第」なので、一概には言えません。(担当医と相談しながら決めましょう)
 
「抗がん剤は併用することが多いのですが、抗エストロゲン剤のタモキシフェンやアロマターゼインヒビターは作用の違いから併用しないのでしょうか?」
⇒併用しません。
 
「仮に再発してもHER2タイプなら、初発時同様、抗HER2療法で効果を発揮することは、大いに期待できるのでしょうか?」
⇒全く「同様の組み合わせ」で用いることはありません。
 Trastuzumabを用いる場合でも必ず「組み合わせる抗癌剤」を変更します。
 
 

 

質問者様から 【質問5】

田澤先生、こんにちは。
いつもお世話になっております。
今回もよろしくお願いします。
 
ステージ4で、薬物治療に効果があり、原発巣を全摘手術しました。
入院は1週間で痛みはほとんどなく、恐れるほどのことではなかったかなと思います。
細胞レベルではわかりませんが、一応、がんは無くなった状態になりました。
 
先日のQ&Aでステージ4で原発巣手術をしたというのを目にしました。
日本では、JCOG1017試験 薬物療法非抵抗性Stage4乳癌に対する原発巣切除の意義(原発巣切除なしversusあり)に関するランダム化比較試験が進行中とのことです。
 
これまで数多くの、ステージ4乳がんの治療をしてきたのですが、原発巣手術の是非は、はっきりしていないのでしょうか?私としては悪いものを取ってもらった方が、抱えているよりはずっといいように思います。
 
摘出した腫瘍の病理結果が出ました。
腫瘍径15ミリ、HER2 2+(FISH計測中)、ER2/8(陰性)、Ki=27
(紙に出したものはもらえなかったので、聞きました。
もらえないのでしょうか?)
 
腫瘍径は薬物療法で小さくなったのですが、腫瘍径でリスクを判断する場合、どの時点での大きさで判断するのでしょうか?
初診時ER7/8(陽性)から2/8(陰性)に下がったとのことで、ホルモン療法はしても効果がないと言われました。
ドセタキセルの副作用が強かったということで、より軽いweekly パクリタキセ
ル+ハーセプチン+パージェタを提示されました。
 
当面はこれでいくとのことです。
いつまでかは???と言われました。
パクリタキセルはどれくらいやったほうがいいのでしょうか?
その後、ハーセプチン+パージェタはどれくらい継続したほうがいいのでしょうか?
先生ならどういう治療と期間を選ばれるでしょうか?
腫瘍がないので、薬の効果がわかりません。
抗HER2療法の効果確認のため、
血清HER2をチェックしながらが続けるというのはどうでしょうか?
ホルモン剤投与しないということは、無治療に移行していくのでしょうか?
嬉しいような不安なような気がします。
ステージ4であっても、予後に期待してもいいのでしょうか?
 

田澤先生から 【回答5】

こんにちは。田澤です。
 
「これまで数多くの、ステージ4乳がんの治療をしてきたのですが、原発巣手術の是非は、はっきりしていないのでしょうか?」
⇒ステージ4と一口に行っても「サブタイプも治療反応性もさまざま」なので、そもそも無理があります。
 ♯「個々の状況に応じた」臨機応変な方針でいいと思います。
 
「腫瘍径でリスクを判断する場合、どの時点での大きさで判断するのでしょうか?」
⇒抗ガン剤前です。
 
「パクリタキセルはどれくらいやったほうがいいのでしょうか?」
⇒副作用次第です。
 
「その後、ハーセプチン+パージェタはどれくらい継続したほうがいいのでしょうか?」
⇒効果があるうちは、無制限でいいのです。
 
 ○経済的な問題や、通院の問題などにより制限は「いずれ」でてくるので「エンドレス」ではありません。
 
「先生ならどういう治療と期間を選ばれるでしょうか?」
⇒おおむね、担当医と同様です。
 
「腫瘍がないので、薬の効果がわかりません。」
「抗HER2療法の効果確認のため、血清HER2をチェックしながらが続けるというのはどうでしょうか?」

⇒腫瘍マーカーが高い場合には十分、指標になります。
 もしも「腫瘍マーカーが正常値」ならば、「画像所見で異常が無い状態を定期的に確認する」こととなります。
 
「ホルモン剤投与しないということは、無治療に移行していくのでしょうか?」
⇒永遠に治療を続ける人はいません。
 
「ステージ4であっても、予後に期待してもいいのでしょうか?」
⇒この状態を「数年維持する」ことを、まずは目標としてください。
 結果は自ずとついてきます。
 
 

 

質問者様から 【質問6】

田澤先生、こんにちは。
いつもお世話になっております。
またわからないことが出てきて、混乱しております。
すっきりして正月を迎えたいと思っております。
今回もよろしくお願いいたします。
 
毎日、Q&Aで勉強していますが、先日の事例で、術前針生検と術後の標本で結果が違うということが出ていました。
江戸川病院では、「ER, PgR, HER2」は「針生検標本」でしか行わず、「Ki67」は「手術標本」でしか行っていません。
理由は、大きく変化しないという回答でした。
先生のQ&Aの回答では、針生検と比べて術後標本は、鮮度が低いということを指摘しております。
鮮度が低いとどれくらい影響が出るのでしょうか?
病理の結果では、ERが7(陽性)からERが2(陰性)になったということで、
そのときは、ホルモン療法受けなくていいので楽かなと思ったのですが、後から考えると疑問が出てきて余計わからなくなりました。
 
検査結果に対して、大きな疑問を持っております。
術前にハーセプチン、パージェタ、ドセタキセルをやっていますが、ホルモン受容体が変わるのでしょうか?(HER2は2+/FISH陽性で術前と変化なしでした)
主治医に質問しても、陰転することもあるという認識はあっても、検査システムに関してあまり理解していないようです。
針生検、術後標本どちらが正しいのか、どちらも正しいのか?どうして相違したのか?検査結果に大きな相違があるのであれば、検査ミスによる誤判定の可能性を考えて、別の検体で再検査をするというシステムではないのでしょうか?
標本(事例)で見ると7と2では一目瞭然で天と地ほどの差があり、素人でもわかるのでプロなら絶対に間違えることはないと思います。
陽性と判定された場合、無いものが出ているはずはないので、一度でも陽性判定になれば、存在すると考えたほうがいいのではないでしょうか?
 
正しい治療をすれば効果が得られるのに、間違った治療では効果が得られなくて問題だと思います。
これが検査の限界なのでしょうか?このような状態では、何を信じていいのか、わからなくなり混乱しています。
仮にどちらも正しいとした場合でも、体内には細胞レベルで存在している可能性があるので、再発防止のためには、陽性の可能性に賭けてホルモン療法をしたほうがいいのでしょうか?
検査結果が陰性であっても、受けることができるのでしょうか?
ホルモン療法をした場合、しない場合、再発率はどれくらい変わってくるのでしょうか?
 

田澤先生から 【回答6】

こんにちは。田澤です。
 
検査結果の乖離について、質問者の場合には
単純に「針生検の標本」⇒「手術標本」というだけでなく、「治療をすることにより、(感受性のある細胞は死滅し)治療抵抗性の有る細胞が選択的に生き残る」ということも考慮しなくてはなりません。
「針生検でのサブタイプ」⇒『治療による細胞選択(抵抗性のある細胞が選択して生存)』⇒「術後病理のサブタイプ」となるわけです。
 
○質問者の場合には、「どのような治療をしたから、(針生検のサブタイプと)異なる結果となった」ということを理論的に説明できるのか。担当医ともう一度話合うことをお勧めします。
 
 

 

質問者様から 【質問7】

田澤先生、こんにちは。
いつもお世話になっております。
今年もよろしくお願いします。
 
術後まもなく2ヶ月となります。
術後はドセタキセルからパクリタキセルへの変更しました。
毎週点滴なので通院は大変ですが、副作用が軽くなり楽になりました。
まず、お聞きしたいのは、病理のレポートです。
毎回の血液検査表はもらえています。
 
プラザでのやり取りを見ていると、皆さんは詳しいレポートをもらえている人が多い中、
術前、術後の病理レポートを、請求しましたが断られました。
理由は、画像の読影や数値の分析というか所見は、医師や病院に著作権があるので渡せないということでした。
町医者ではなく、ベッド数600を超える地域の拠点病院ですが、そういうものなのでしょうか?
あまりこういうことを言うと、面倒臭い患者として扱われるような気がして腰が引けてしまいます。
次に、ホルモン剤の薬の種類についてです。
術後の病理結果が術前と違ってしまったという件ですが、術前にER陽性だったのでホルモン剤は使用してみようということでした。
 
今後、抗HER2薬を使いながら、ホルモン療法としてアロマターゼインヒビター使用になろうかと思います。
CDK4/6薬剤を併用すると効果が大きいという報告があります。
この薬はホルモン陽性、HER2陰性ですが、転移、再発乳がんに適用となっています。
あるいは、AIではなくフルベストラントと併用したいのですが、HER2陽性だと、転移、再発乳がんでも使えるのでしょうか?
以上よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答7】

こんにちは。田澤です。
 
「町医者ではなく、ベッド数600を超える地域の拠点病院ですが、そういうものなのでしょうか?」
⇒院内規定があるのかもしれません。
 
「CDK4/6薬剤を併用すると効果が大きいという報告」
⇒ribociclibの事ですが…
 あくまでもフェーズ3の中間解析にすぎません。
 実臨床に入ってくるのには数年はかかります。(そもそも質問者はHER2陽性なので対象外となります)
 
「AIではなくフルベストラントと併用したいのですが、HER2陽性だと、転移、再発乳がんでも使えるのでしょうか?」
⇒使えます。
 ただ、質問者は勘違いしています。
 フルベストラントは「HER2陰性、陽性に拘わらず」転移、再発乳がんにのみ適応(術後補助療法としての使用は適応外)なのです。
 
 

 

質問者様から 【質問8】

田澤先生、こんにちは。
いつもお世話になっております。
今回もよろしくお願いいたします。
 
転移部の腫瘍消失、原発巣全摘術後3ヶ月、ハーセプチン、パージェタ、weeklyパクリタキセルをしています。
腫瘍マーカーは正常値内に入っています。
3ヶ月経つので、転移があるのかどうかを確認するために、CT、エコーで検査をしました。
結果は来週です。
ここの病院では、効果確認のために3ヶ月ごとのCT検査をする方針のようです。
今後もステージ4がらみということを考慮して、放射線の被曝量を無視して3ヶ月ごとのCTは必要なのでしょうか?
腫瘍マーカーを見て、上昇したらCT検査がいいのでしょうか?
薬剤に対しての効果確認は、マーカー以外何を見ていけばいいのでしょうか?
それとも、半年とか1年ごとの定期検査が必要なのでしょうか?
今回検査結果で何もなければ(画像上腫瘍がない状態)、どういう治療を継続していくべきでしょうか?
主治医は、現状のハーセプチン、パージェタ、weeklyパクリタキセルを継続をする方針ですが、いつまで継続すればいいのでしょうか?
 
毎週通院も大変なので、せめて3週間ごとにしたいと感じています。
3W ハーセプチン+パージェタにアロマタービインヒビターへ変更がいいのでしょうか?
どちらの治療がいいのでしょうか?
 
もし画像上なにか見つかった場合は、薬剤の変更でしょうか?その場合は、田澤先生ならどういうレジメンを選択するのでしょうか?
 

田澤先生から 【回答8】

こんにちは。田澤です。
 
「ここの病院では、効果確認のために3ヶ月ごとのCT検査をする方針のようです。」
「放射線の被曝量を無視して3ヶ月ごとのCTは必要なのでしょうか?」

⇒半年で十分でしょう。
 
「今後もステージ4がらみということを考慮して、腫瘍マーカーを見て、上昇したらCT検査がいいのでしょうか?」
⇒マーカーを毎月、画像診断(場合によってはエコーでも可)を半年に1回でしょう。
 
「薬剤に対しての効果確認は、マーカー以外何を見ていけばいいのでしょうか?それとも、半年とか1年ごとの定期検査が必要なのでしょうか?」
⇒(上記のように)その組み合わせです。
 
「主治医は、現状のハーセプチン、パージェタ、weeklyパクリタキセルを継続をする方針ですが、いつまで継続すればいいのでしょうか?」
⇒前にも回答しましたが…
 答えはどこにもありません。
 「病状」と「ご本人の感じる負担」を天瓶にかけるのです。
 
「毎週通院も大変なので、せめて3週間ごとにしたいと感じています。3W ハーセプチン+パージェタにアロマタービインヒビターへ変更がいいのでしょうか?」
⇒こういうケースでは「eriblin」に注目しています。
 Eriblinは、(治療全体のどこかに入ると)予後を改善することが解っている興味深い薬剤です。(薬剤のdeliveryの改善にありそうです)
 Eriblinは2投1休なので、まずは
   Day1 trastuzumab, pertuzumab, eriblin
Day8 eriblin
Day15 休
  
  そして、その後(十分な投与量が入ったら)eriblinもday1だけにする(そうすると3週間に1回となります)
 
「もし画像上なにか見つかった場合は、薬剤の変更でしょうか?その場合は、田澤先生ならどういうレジメンを選択するのでしょうか?」
⇒上記のレジメン以外にも
 (HER2陽性だからといっても、trastuzumabに拘らずに)一度離れて、bevacizumab+paclitaxelという方法がいいでしょう。
 
 

 

質問者様から 【質問9】

こんにちは。
いつもお世話になっております。
今回もよろしくお願いいたします。
 
初診時ステージ4とされて、治療を始めて1年が経ちました。
抗がん剤が効いて原発巣手術から半年が経ち、画像上は問題ない状態となっています。
腫瘍マーカーも正常値に入っています。
この前撮ったCTでは、抗がん剤が効いた後の肝転移の瘢痕を指摘されました。
傷でいえばかさぶたのようなものという説明を受けましたが、吸収されるなどして普通の組織と分からなくなるものではないでしょうか?再びがん化するということはないのでしょうか?
ハーセプチン、パージェタにWeeklyPTXを投与しています。
 
抗がん剤をやめた場合、再発が起きた時に再びハーセプチン、パージェタ、WeeklyPTXが効果を
発揮してくれるのでしょうか?一度使った薬は、投与を止めて間隔を空けることで再び効果を発揮してくれるものでしょうか?それとも、耐性を獲得して効果が出ないのでしょうか?
 
ハーセプチンは1年投与しても2年投与しても効果は同じとされています。
ハーセプチン、パージェタは1年以上になるのですが、このまま投与しても効果は変わらないのでしょうか?
ステージ4だと3年が山場になることが多いといいますが、再発があるとすればどれくらいの期間で出てくるパターンが多いのでしょうか?どういったことに注意をすれば以上に早く気がつけるのでしょうか?
 

田澤先生から 【回答9】

こんにちは。田澤です。
全身療法と局所療法を理想的に行い、画像上tumor freeの状態を維持されていることをうれしく思います。
 
「吸収されるなどして普通の組織と分からなくなるものではないでしょうか?」
⇒再燃しなければ、長期間の再生でそのようになることは期待できます。
 
「再びがん化するということはないのでしょうか?」
⇒再燃のリスクはあります。
 だから、化学療法を継続しているわけです。
 
「一度使った薬は、投与を止めて間隔を空けることで再び効果を発揮してくれるものでしょうか?」
⇒効果のあるうちに休薬した場合には、「再投与でも有効」であることはしばしば経験することです。
 
「ハーセプチン、パージェタは1年以上になるのですが、このまま投与しても効果は変わらないのでしょうか?」
⇒それは状況により様々なので解りません。
 ただ、何もしないよりは「効果を期待している」わけです。
 
「ステージ4だと3年が山場になることが多いといいますが、再発があるとすればどれくらいの期間で出てくるパターンが多いのでしょうか?」
⇒これは全く解りません。
 だから、定期的な腫瘍マーカーを指標とするのです。
 マーカーの動きがなければ「画像診断」はいずれ不要となります。
 
「どういったことに注意をすれば以上に早く気がつけるのでしょうか?」
⇒症状などよりもマーカーが早いと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問10】

こんにちは。
いつもお世話になっております。
今回もよろしくお願いいたします。
 
現在、ハーセプチン、パージェタにWeeklyパクリをやっていますが、末梢神経の痺れ(グレード1)が出ていています。
いつまで治療が継続できるのか、投与を止めても将来にわたって痺れが残るのではという蓄積や症状がひどくなることに不安を感じています。
 
痺れは投与中止で自然に回復していくのでしょうか?何か薬を飲む必要があるのでしょうか?
以前の回答で、ハーセプチン、パージェタにエリブリンを加えたレジメンを提示していただきました。
主治医に相談したところ、この組み合わせは標準治療の登録にないので、対応はできないという ことでした。
病院というシステムに組み込まれると、医師個人の裁量が制限されてしまうのでしょうか?
一応検討はしてみるとのことでしたが、ガイドライン上何か問題があるのでしょうか?
エリブリンは単独ならともかく、他の薬剤との併用だと使用に制限があるのでしょうか?
できる根拠を教えていただけますと、前進できるので有難く存じます。
 
サイクルでやっている治療ですが、病院の休日や医師の都合、患者の都合で、1週2週抜けたりすることがあります。
どれくらいまでが許容範囲なのでしょうか?
 

田澤先生から 【回答10】

こんにちは。田澤です。
 
「ガイドライン上何か問題があるのでしょうか?」
⇒問題はありません。
 そもそも「転移性乳癌」にガイドラインは存在しません。
 ☆ただし、「レジメン委員会」なる各施設での検討で「そのレジメンを認めない」限り運用ができないという事情はあります。(薬剤の適応上の問題は存在しません)
 
「エリブリンは単独ならともかく、他の薬剤との併用だと使用に制限があるのでしょうか?」
⇒ありません。
 ハーセプチンとの併用や「ハーセプチン及びパージェタとの併用」も「適応上の問題は全くありません」
 
「できる根拠を教えていただけますと、前進できるので有難く存じます。」
⇒添付文書を見てもらえばパージェタ及びハーセプチンとの併用薬剤には制限がないことは解ります。
 
「サイクルでやっている治療ですが、病院の休日や医師の都合、患者の都合で、1週2週抜けたりすることがあります。どれくらいまでが許容範囲なのでしょうか?」
⇒病状が許せば…
 全く制限はありません。
 
 

 

質問者様から 【質問11】

HER2 ステージ4 肝臓転移 今後の治療について
性別:女性
年齢:54歳
 
こんにちは。
いつもお世話になっております。
同じような症状の方の質問があるのかと毎日拝見しております。
今回もよろしくお願いします。
 
肝転移があって、ハーセプチン、パージェタ、ドセタキセルにより転移消失、原発巣を手術。
その後ハーセプチン、パージェタ、パクリ投薬中で、3ヶ月ごとのCTでも映らないという経過できました。
3ヶ月ごとのCTでは被曝量が多いということで、今回初めて、肝臓をMRI EOBプリモビストで検査したところ、肝臓(S4)に7ミリの腫瘍が見つかりました。
 
その場所をエコーで重点的にプローブの角度を変えるなどして検査しても映りませんでした。
エコーやCTなどの検査で映っていなかったのは、消失したのではなく精度の関係で映っていなかったということなのでしょうか?
放射線科医は腫瘍だと読影、主治医は瘢痕?という読影でした。
画像としては微妙なのかなと思いました。
 
読影というのは誰が見ても白黒はっきりするのか、グレーゾーンを黒とか白とか判断が分かれるのでしょうか?
こういう時の評価は、安全のために悪い方を選択するのでしょうか?
今回初めてMRI EOBプリモビスト検査なので、過去のデータとの比較ができないので経過観察となりました。
肝臓に7ミリの腫瘍の評価ですが、主治医は薬がよく効いていると言っていました。
深刻な状態なのか?まだまだ余裕なのか?どういう受け止めたらいいのでしょうか?
肝臓は70%位が機能しなくてもなんとか維持できるというふうに聞いたことがあります。
 
現状は腫瘍マーカーが基準以下ですが、上昇に転ずるとか、どれくらいまで大きくなったら危険水域と判断するのでしょうか?
腫瘍が大きくなるようならハーセプチン、パージェタ、パクリを、エリブリンかカドサイラに変更するのがいいのか?放射線よる照射がいいのでしょうか?
 
生存率について。
ステージ4だと5年生存率30%などと出ています。
初診時(2016.4)にステージ4と確定しましたが、ここが起点になるのでしょうか?
それとも、治療により一旦がんがなくなった状態になればリセットされて、今回の検査で見つかったのが起点になるのでしょうか?
 

田澤先生から 【回答11】

こんにちは。田澤です。
 
「深刻な状態なのか?まだまだ余裕なのか?どういう受け止めたらいいのでしょうか?」
⇒この回答は主治医がコメントしている「主治医は薬がよく効いていると言っていました」ということだと思います。(主治医を信じましょう)
 
「現状は腫瘍マーカーが基準以下ですが、上昇に転ずるとか、どれくらいまで大きくなったら危険水域と判断するのでしょうか?」
⇒危険とかではなくて…
 明らかに「上昇傾向」ならば(転ばぬ先の杖として)「早めに薬剤を変更」することです。
 
「腫瘍が大きくなるようならハーセプチン、パージェタ、パクリを、エリブリンかカドサイラに変更するのがいいのか?放射線よる照射がいいのでしょうか?」
⇒化学療法の変更です。
 放射線照射は「化学療法に疲れたので休止する(永遠に継続することは不可能です)」場合や「化学療法を変更しても効果が無い」ような際に検討しましょう。
 
「初診時(2016.4)にステージ4と確定しましたが、ここが起点になるのでしょうか?
それとも、治療により一旦がんがなくなった状態になればリセットされて、今回の検査で見つかったのが起点になるのでしょうか?」

⇒初診時です。
 
 

 

質問者様から 【質問12 HER2 ステージ4 肝臓転移 今後の治療について】

性別:女性
年齢:55歳
 
こんにちは。
いつもお世話になっております。
今回もよろしくお願いします。
 
初診時、肝臓に転移があると診断され、治療が2年になりました。
ハーセプチン、パージェタ、ドセタキセルを半年投与、肝臓転移消失、原発巣は縮小しましたが消失には至らず、半年後全摘手術。
その後ハーセプチン、パージェタ、パクリタキセル投与してきました。
 
先生にアドバイスをいただいたパクリをエリブリンに変更しようかということでしたが、CT画像上は何もないということで、ハーセプチン、パージェタの2剤に変更して継続してきました。
今回、診察に際して医師から画像上は問題ないということで無治療という選択もあると言われました。
治療をやめたいと思う反面、再発が怖いということもあり質問させていただきます。
ステージ4となると治らないとされていますが、再発がない(治ってしまった)ということはあるのでしょうか?
治らないということであれば、現状維持がいいのでしょうか?
 
点滴をやめた場合、どれくらいの再発リスクがあり、今後どういう検査、診察をしていけばいいのでしょうか?
無治療に移行するのがいいのか、それともこれまで通り3週間ごとの治療がいいのでしょうか?
間隔を4週間、5週間、6週間などと長くするという選択はあるのでしょうか?
それぞれのメリット、デメリットをアドバイスいただきたいと思います。
 

田澤先生から 【回答12】

こんにちは。田澤です。
 
HER2陽性乳癌がpertuzumabの登場で「遠隔転移の制御⇒根治?」という状況が増加していることは間違いありません。
その中には本当の根治もあるでしょうが、早計な判断は機を逸することになるので注意が必要です。
○私自身の患者さんの中にも質問者同様に「画像上消失が長期間維持=根治?」のような方もいらっしゃいます。
 世の中の考え方として(悪くなった時のために)「(使わずに)とっておく」というものがあります。
 その考えも解らないでもありませんが…
 
☆本気で「根治の可能性」を考えるのであれば、「画像上消失した、この時期こそ最大のチャンス」と捉えて「消極的姿勢(無治療)よりも積極的姿勢(癌細胞の勢いの弱いところで叩いておく)」をとってもいいのでは?(勿論、ここにガイドラインは存在しません)
 
「今回、診察に際して医師から画像上は問題ないということで無治療という選択もある」
⇒無論、選択としてはあります。
 ただ、上記☆の考え方で「ここが根治への頑張りどころ」という「方法」もあります。(3カ月なら3カ月と決めてeriblinを投与など)
 
「ステージ4となると治らないとされていますが、再発がない(治ってしまった)ということはあるのでしょうか?」
⇒根治と言い切ることは難しいですが、そもそも数パーセントは10年以上の長期生存があることは分かっています。
 更に、冒頭でコメントしたように…
 Pertuzumabの登場は、ここに大きな可能性があると想像しています。
 
「治らないということであれば、現状維持がいいのでしょうか?」
⇒もしも「無治療」としたいのであれば、(無治療とする前に)「3カ月間eriblinで叩く⇒(その後)無治療」という考え方もあります。(安心感が違うでしょう)
 ♯いずれにも「ガイドラインは存在しない」のです。
 
「点滴をやめた場合、どれくらいの再発リスクがあり、今後どういう検査、診察をしていけばいいのでしょうか?」
⇒再発(用語的には「再燃」が正しい)リスクは(無論)不明
 検査、診察は「3カ月毎のマーカー採血」マーカーに異常が無ければ「半年毎の画像診断」
 
「無治療に移行するのがいいのか、それともこれまで通り3週間ごとの治療がいいのでしょうか?」
⇒上記で述べてきたように…
 選択肢は実にいろいろあるのです。(ガイドラインは存在しません)
 
「間隔を4週間、5週間、6週間などと長くするという選択はあるのでしょうか?それぞれのメリット、デメリットをアドバイスいただきたいと思います。」
⇒間隔を延ばして効果が有るというエビデンスはありません。
 それよりは…
 「間隔はそのまま」で「ある程度の休薬期間」⇒「再開」のサイクルの方が理にかなっているとは思います。

 
 

 

質問者様から 【質問13 HER2 ステージ4 肝臓転移 今後の治療について】

性別:女性
年齢:55歳
病名:
症状:

田澤先生 いつもお世話になっております。

初診時、肝臓転移があるステージ4。
治療開始後2年半経過。

生検でHER2 2+(FISH陽性)、ホルモン陽性と診断。

半年間、ハーセプチン、パージェタ、ドセタキセル投与。

肝転移消失、原発巣は縮小、マーカーが正常値になり原発巣全摘。

病理でHER2 2+(FISH陽性)、ホルモン陰性と診断。

その後1年間、ハーセプチン、パージェタ、パクリタキセル。

それから1年間、ハーセプチン、パージェタ継続しております。

田澤先生にアドバイスいただいたエリブリンは温存という形で保留となっています。

パクリをやめたので完全には戻っていませんが、発毛が始まっています。

抗がん剤の副作用による痺れが少しありますが、ありがたいことに診断以前に近いような生活に戻っています。

術後、画像診断で肝臓に影があり、当初、放射線科医は腫瘍、主治医(外科医)は瘢痕という判断でした。

術後2年が経ち、3ヶ月ごとエコーとMRIをやっていて、影の大きさは変わらないままで放射線科医は腫瘍の疑い?という感じでトーンダウンしています。

エコーには映っていません。

パクリやめてから1年、術後2年間そのままということは、腫瘍は残っていて薬で抑えられているのでしょうか?
主治医の見立て通り腫瘍は消失して瘢痕ということなのでしょうか?

ホルモン性の場合、時間がたってからでてくる場合が多いと聞きますが、
HER2だとどれくらい(5年くらい?)無症状だと安心できるのでしょうか?

腫瘍マーカーは原発巣が残っていても正常値だったこともあって、よほど酷くないと上昇しないのかなと思います。

最近は、血液検査をしても腫瘍マーカーの計測はしていないのですが、どれくらいの頻度で計測したほうがいいのでしょうか?

HER2陽性乳がんの 2+の75%は陰性とのことですが、信頼性はFISHの方が高いのでしょうか?3+もFISHで調べると陰性となることもあるのでしょうか?

 

田澤先生から 【回答13】

こんにちは。田澤です。

「パクリやめてから1年、術後2年間そのままということは、腫瘍は残っていて薬で抑えられているのでしょうか?」
「主治医の見立て通り腫瘍は消失して瘢痕ということなのでしょうか?」
「HER2だとどれくらい(5年くらい?)無症状だと安心できるのでしょうか?」

→これは解りません。
 ただ、油断はしてはいけません。

 Eriblinの使いどころを誤らないようにしましょう。

「最近は、血液検査をしても腫瘍マーカーの計測はしていないのですが、どれくらいの頻度で計測したほうがいいのでしょうか?」
→3か月に1回がいいでしょう。

「HER2陽性乳がんの 2+の75%は陰性とのことですが、信頼性はFISHの方が高いのでしょうか?3+もFISHで調べると陰性となることもあるのでしょうか?」
→その通りです。

 
 

 

質問者様から 【質問14 HER2 ステージ4 肝臓転移 今後の治療について】

性別:女性
年齢:55歳
病名:
症状:

田澤先生 いつもお世話になっております。

3年前の初診時、肝臓転移があるステージ4。

生検でHER2 2+(FISH陽性)、ホルモン陽性と診断。

半年間、ハーセプチン、パージェタ、ドセタキセル投与。

肝転移消失、原発巣は縮小、マーカーが正常値になり原発巣全摘。

病理でHER2 2+(FISH陽性)、ホルモン陰性と診断。

その後1年間、ハーセプチン、パージェタ、パクリタキセル。

それから1年間、ハーセプチン、パージェタ継続しております。

合計するとハーセプチン、パージェタは3年間投与となります。

CT、MRI、エコー、血液検査では異常なしで体調はいいです。

先日病院で計測した時に脈拍が一時的に130超えていたということもあり
心臓の検査をすることになりました。

ハーセプチンは可逆性の心毒性があるとされています。

休薬の場合、
休薬期間と再開の条件を教えてください。

どれくらいの期間休薬すればいいのでしょうか?

休薬後再開した場合、
心臓機能に再び影響が出やすくなるのでしょうか?
どのような検査、頻度が必要になってくるのでしょうか?
治療として、
薬剤を変更したほうがいいのでしょうか?
どういう薬剤になるのでしょうか?
無治療も選択肢になるかもしれませんがどうでしょうか?
生検ではホルモン陽性とのことでしたが、病理では陰性でした。

ホルモン剤服用はしたほうがいいのでしょうか?

 

田澤先生から 【回答14】

こんにちは。田澤です。

「どれくらいの期間休薬すればいいのでしょうか」
→もしも「心拍出量の低下」が見られたら・

 それが戻るまでは休薬は必要です。

「休薬後再開した場合、心臓機能に再び影響が出やすくなるのでしょうか?」
→そう思います。

「どのような検査、頻度が必要になってくるのでしょうか?」
→心エコーです。
 もしも再開するのなら、(循環器内科医と)相談する必要があります。

「治療として、薬剤を変更したほうがいいのでしょうか?」
「どういう薬剤になるのでしょうか?」

→現状では(変更ではなく)「休薬」でいいと思います。

「無治療も選択肢になるかもしれませんがどうでしょうか?」
→その通りです。

「生検ではホルモン陽性とのことでしたが、病理では陰性でした。」
「ホルモン剤服用はしたほうがいいのでしょうか?」

→結果として…
 休薬が長くなるなら「ホルモン療法」も考慮します。

 
 

 

質問者様から 【質問15 HER2 ステージ4 肝臓転移 今後の治療について】

性別:女性
年齢:55歳
病名:乳がん
症状:肝臓転移あり

田澤先生 いつもお世話になっております。

先日の回答を受けて臨んだ心エコー検査、画像検査に問題ありませんでした。

手術後画像診断、血液検査も問題なしという状態を2年半継続中です。

医師から症状もないのに治療を続けるのもどうかと言われ、
無治療でもいいのではと提案されました。

高額な医療費が健康保険料や税金などの
公費で賄われているのは理解しております。

なのでガイドラインにないからとズルズルと継続するのがいいのか考えさせられます。

ステージ4となると完治しないと言われています。

生存率3年50%、5年30%、10年10%と宣告され3年経過したところです。

乳がんは10年間再発がなくて完治という解釈なので、3年間の治療継続で終了させても良いのかどうか。

無治療は定期的な通院から解放され嬉しい反面、再燃する可能性が高くなるのではないかという不安があります。

どう受け止めたらいいのでしょうか?

無治療に移行した場合、今後どのような周期、検査を受けていけばいいのでしょうか?

 

田澤先生から 【回答15】

こんにちは。田澤です。

再三、回答していますが…
選択肢はいろいろあります。

「医師から症状もないのに治療を続けるのもどうかと言われ、無治療でもいいのではと提案」
→ご本人次第です。
 
 期限を決めて「もう少し頑張る」のも当然ありです。

「無治療に移行した場合、今後どのような周期、検査を受けていけばいいのでしょうか?」
→3か月に1回の腫瘍マーカー
 半年に1回のCT                             
                                      
      

 
 

 

質問者様から 【質問16 】

HER2 ステージ4 肝臓転移 今後の治療について
性別:女性
年齢:55歳
病名:
症状:

田澤先生 いつもお世話になっております。

おかげさまで無治療に移行して、
3ヶ月ごとの画像、血液検査に異常もなく経過観察となっています。

今後の検査のことで質問させてください。

現状では3ヶ月に1回のCT、その後3ヶ月後にMRIというサイクルで病院にかかっております。
(半年に1回のCT)
期間的には5年とか10年は継続させるものでしょうか?

現状は肝臓や胸などしか検査していませんが、エコーも併用したほうがいいのでしょうか?
HER2乳がんは脳転移が多いなどということを聞いたことがあります。

脳とか他の部位は検査しなくてもいいのでしょうか?

先生は半年に1回のCT検査で十分と回答されました。

CTの被曝量はX線の100倍くらいあるのでむやみに撮らないほうがいいと思っています。

温存した場合は放射線治療するのですが、被曝量の制限があります。

CTは生涯にどれくらいまでという制限というか目安はあるのでしょうか?
それに関連してですが、
温存した後に放射線治療しますが、その後CTを撮るなどした場合、被曝量が超えるということはないのでしょうか?

以上よろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答16】

こんにちは。田澤です。

被爆については、「あるあるQ」に掲載しましたのでご参考にしてください。
ただ、再発治療中は半年に1回程度はこのような検査も必要となります。
(早期の方に無駄にCTやPETを「念のため」として撮影するのとは意味が違うからです)

再発治療時における医療被曝 「現にある癌」が増大するリスク > 「将来的な癌」発生のリスク  となるのです。