[管理番号:1218]
性別:女性
年齢:35歳
8月中旬に右胸のしこりと乳首をつまんだら乳頭から血液が出たので、検査をしまし
た。
マンモで石灰化の広がりを指摘され、エコーで怪しいモノがあると、細胞診と組織
診、プレパラート生検、MRIをしました。
結果は、乳頭分泌では非浸潤ガンの疑いあり。
組織診では、非浸潤ガンの疑いもあるが、ADHの可能性も?
MRIでは、浸潤ガンの疑いもあるが、ADHの疑いあり。でも範囲が広いので悪性を疑う。
でした。
主治医からは、ほぼ悪性の非浸潤ガンで間違いないだろうと言われ、セカンドオピニ
オンの先生にも同じことを言われました。
私はMRIで浸潤ガンの疑いありとでたので、そっちの可能性をすごく考えてしまいす
ごく怖かったのですが、主治医の先生やセカンドオピニオンの先生いわく、MRIの浸
潤ガンの結果よりも、組織診の非浸潤ガンの方が正確です。と言われました。
そして、9月17日に右乳房全摘手術が終わり、術前の腹部、胸部CTやセンチネルリン
パ生検で転移無しで、今術後のガンの病理診断をしてもらっています。
主治医からも、セカンドオピニオンの先生も、早期の非浸潤ガンだと思いますとは言
われているのですが、癌のタイプが予後が悪いのだったらどうしようとか、本当は浸
潤してて転移しているのではないか…とか色々調べてしまい夜もろくに眠れず、日中
頭がフワフワとするだけで脳転移をしているのではないか、腰が痛いだけで骨転移し
ているのではないかと、心配で今も気持ち悪いです。
田澤先生から見ても、この段階で転移はまだ無いであろうと思われますか?
非浸潤ガンの中に浸潤ガンがあってもそこまで転移しているとは考えにくいでしょう
か?
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
私は常々言っている事ですが「MRIは診断目的に用いるべきではありません」あくま
でも拡がり診断にのみ参考としてください。
MRIでの「浸潤ガンの疑いもあるが、ADHの疑いあり。でも範囲が広いので悪性を疑
う」というコメントには全く賛成できません。
放射線科医の「読み過ぎ」であり、患者さんに「余計な心配をさせるだけ」と思います。
担当医やセカンドオピニオン医の言うように「非浸潤癌」という組織診の所見が正し
いと思います。
MRIでの「浸潤癌」という所見は全く無意味です。
ただ、私が注目するのはむしろ、そこではなく組織診で『非浸潤癌の疑いもあるが、
ADHの可能性も』という点です。
癌の診断のもと「乳房切除+センチネルリンパ節生検」を行っているようですが、
私であれば、同ケースでは『まずは外科的生検を行います』
○現段階では、組織診で『非浸潤癌の確定診断となっていない』のです。
もしかすると「ADHどまり」となる可能性があります。
その場合「癌として、手術をしてしまったこと」が正しい事なのか?
私であれば、「確定診断が無い限り、癌の治療は決して行いません」
回答
「早期の非浸潤ガンだと思いますとは言われているのですが、癌のタイプが予後が悪
いのだったらどうしようとか」
⇒誰しも「悩む」ことだと思います。
実際は、心配ありません。
「早期」であれば、「癌のタイプなんて無意味」なのです。
「本当は浸潤してて転移しているのではないか」
⇒微小浸潤の可能性は確かにありますが、
組織診で「癌の診断がついていない=ADHの可能性」という状況では「浸潤の心配
は少ない」とは思います。
「色々調べてしまい夜もろくに眠れず、日中頭がフワフワとするだけで脳転移をして
いるのではないか、腰が痛いだけで骨転移しているのではないかと、心配」
⇒殆ど皆さんが心配することですが、実際にその可能性はゼロです。
そもそも「癌と診断されるか」というレベルであり、更に「センチネルリンパ節生
検も陰性」「CTも異常無」であり、「取り越し苦労」です。
「田澤先生から見ても、この段階で転移はまだ無いであろうと思われますか?」
⇒転移はありません。(経験から言っています)
「非浸潤ガンの中に浸潤ガンがあってもそこまで転移しているとは考えにくいでしょ
うか?」
⇒もしあるとしても「微小浸潤」だと思いますし、最大に見積もってもpT1a(≦5mm)
でしょう。
その段階で「転移」など考える必要は全くありません。