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左胸2cm のシコリ が炎症

[管理番号:6734]
性別:女性
年齢:40歳

2年くらい前から、月経前などに左胸(外側・乳首)が痛痒くなる事が度々ありました。
元々、多嚢胞性卵巣症候群で、生理不順なので乳腺症かな?と思ってました。

昨年末か、もう少し前くらいから、自己検診の際に、左胸(外側上)に小さいシコリの様な物が触れる事がありました。
常にあるというより、
触れたり触れなかったり。
よく動く小さいビー玉のような感じでした。

この頃はシコリ自体をいじっても痛みはなく、痛くなったり痒くなったりする場所が、シコリのある場所と同じ。
という印象でした。

今年に入り、3月から仕事復帰したあたりから、このシコリが、だんだんと、常に確認出来るようになり、少しずつ大きくなり、痛みや痒みの間隔も短くなっていきました。
シコリ自体をいじっても痛く感じるようにもなりました。

今年8月初旬、市の乳癌検診でマンモグラフィ。
やはりシコリが写り、
[カテゴリー3要精密検査][不均一高濃度]となりました。

8/23夜頃から、シコリのある場所が赤く腫れ、熱を持ち、シコリが大きく硬くなったかのような感触もありました。

8/(下旬)乳腺外科へ。
エコーでは、2cm のシコリを確認。
鎮痛剤、抗生剤を処方。
担当医も、エコーの技師も、何故こんな急に腫れてしまったのか?という事を気にされてました。

また、注射器2本太さを変えて膿が取れるか試みるも抜けませんでした。

8/(下旬)針生検。
触れる痛むものの腫れはひいてきました。
処置中の技師さんと医師の会話だと「前回来た時とは様子が違う。炎症が原因だったのかな?」「(針を刺しながら)柔らかいなぁ。」と。

エコー画像を見た感じだと、コロっと丸いジャガイモのような形に見えました。

検査結果は9/(上旬)予定。

結果を待つ間、不安で不安でたまりません。

ネットであれこれ調べてみていて、心配になった事がいくつかあり教えて頂きたく投稿させて頂きました。

Q 急に赤く腫れ炎症した事で、炎症性乳癌という病名が頭に浮かんだのですが可能性としてあるのでしょうか?
Q 乳癌の場合、シコリが見つからないくらい小さい頃から痛くなる事があるのでしょうか?
Q もし乳癌だったとして、今回のように腫れたり痛くなったりするというのは、かなり進行しているとか、よくない兆候として、覚悟した方が良いのでしょうか?
Q 上記情報だけでは難しいのは承知しておりますが、先生はご覧になってどんな病気を推測されますか?

子供もまだ5歳(今年6歳)と小さく、悪い病気なら、それならそれで、
何とか闘っていかねばと思いますが、やっぱり怖いです。
何かアドバイスなど有りましたら宜しくお願い致します。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

質問者が「肉芽腫性乳腺炎」というワードを知っていたら無駄に悩む必要が無かったことが残念です。(担当医自身が全く、認識していないようなので仕方がありませんが)
★試しにこのQandAの中で「肉芽腫性乳腺炎」を検索してみてください。(読めば読むほど、それらの質問者たちと自分自身が重なることでしょう。)

「8/23夜頃から、シコリのある場所が赤く腫れ、熱を持ち、シコリが大きく硬くなったかのような感触」「エコーでは、2cm のシコリを確認。鎮痛剤、抗生剤を処方。」
「また、注射器2本太さを変えて膿が取れるか試みるも抜けませんでした。」

→ 肉芽腫性乳腺炎については、今週のコラム21回目から何回も取り上げていますが…
 特に『今週のコラム 28回目 癌の診療さえできない医師よりは、「まだマシ」かもしれませんが、癌の診療しかできない医師ばかりでは困ったものです。』を読むとオーバーラップすることでしょう。(特に、『③炎症なら、どうして膿が出ないんだ? と針でシコリをズボズボと。』など)
今週のコラム一覧

「結果を待つ間、不安で不安でたまりません。」
→肉芽腫性乳腺炎です。
 癌ではありません。ご安心を。

「Q 急に赤く腫れ炎症した事で、炎症性乳癌という病名が頭に浮かんだのですが可能性としてあるのでしょうか?」
→10000%ありません。

 今回のメール内容の第2のポイントがここにあります。
 「炎症性乳癌」を誤って理解している人が(乳腺外科医の中にさえも)沢山存在するのが現状です。

 まず、これを改めましょう。『炎症性乳癌に炎症なし』
 この大原則を理解していないと、「とんでもない迷路」に入ります。

 ★炎症性乳癌とは(誤解を与える名称に問題があるのですが)炎症ではなく、皮下のリンパ管が広範囲に癌細胞で閉塞するためにうっ滞が起こり『あたかも炎症が起こっているかの様に、皮膚全体が真っ赤となる』状態なのです。
  実際に炎症がある質問者とは10000%全く異なります。

「Q 乳癌の場合、シコリが見つからないくらい小さい頃から痛くなる事があるのでしょうか?」
→ありません。
 乳がんでは1000%ありえません。

「Q もし乳癌だったとして、今回のように腫れたり痛くなったりするというのは、かなり進行しているとか、よくない兆候として、覚悟した方が良いのでしょうか?」
→絶対に乳がんではありません。
 その点は、ご安心を。
 100% 肉芽腫性乳腺炎です。

「Q 上記情報だけでは難しいのは承知しております」
→全く難しくありません。
 非常に「典型的な肉芽腫性乳腺炎」です。

 それらの医師達は全く知らないようですが、(この乳がんプラザで肉芽腫性乳腺炎を紹介しているために)当院では常時10人位の患者さんがいらっしゃいます。(間違いなく全国1)

「先生はご覧になってどんな病気を推測されますか?」
→「推測」ではなく…

 肉芽腫性乳腺炎と「断定」します。

「何かアドバイスなど有りましたら宜しくお願い致します。」
→まず針生検では「炎症」と結果がきます。
 そうすると(肉芽腫性乳腺炎を知らない)医師は、抗生剤を出したり経過観察をしたりして「良くならない」と訴えても「仕方がない」となることでしょう。(肉芽腫性乳腺炎で当院に来られた患者さんの殆どが同じような目にあっています)

 肉芽腫性乳腺炎をきちんと治療してくれる乳腺外科医を探すのは、非常に難しいとは思いますが、治療内容は『炎症性肉芽のvolume reduction』となります。
 その方法として
  1.ステロイド内服
  2.手術的に除去
  3.MMTEなどで削る

  が、あります。(2を行うことは殆どなく、通常は3を効果的に併用しながら1で治療します)