[管理番号:467]
性別:女性
年齢:37歳
しこりについて質問したいです。
よろしくお願いします。
左胸下に小さなしこりを見つけました。
立って腕を上げて触るとしこりを確認出来るのですが、寝て腕を上げてしこりを確認しようとするとしこりが見つかりません。
何回しても同じなのですが、このような事はあるのでしょうか?
よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
いろいろなケースが考えられますが、体位(姿勢)によって『しこりが肋骨の間にはいってしまう』事で触れなくなってしまう可能性が考えられます。
やはり、「乳腺外科を受診して、超音波で診てもらう」事が確実です。
♯ただ、必要があれば、立った状態で「これが気になる」としっかり「医師にそのしこりを触診で確認させる」事が大事です。その上で「それは超音波で○○です」というように診断してもらわないと(通常の超音波検査では)「何もないよ」で終わってしまう可能性があります。
気をつけてください。
質問者様から 【質問2】
いろいろありがとうございました。
やっぱりしこりはあるんですね。
しこりが動くということは、乳がんではないということでしょうか?
それから、今日乳頭に痛みを感じたので、絞ってみたら白や黄色っぽい分泌液が出てきました。
血は、混じっていないように思います。
授乳時以外に分泌液が出るのは、問題ないのでしょうか?
(出産2回、完全母乳です。)
この分泌液は、しこりと関係があるのでしょうか?
何度すみませんが、よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
言葉の定義ですが、「しこり」として触れるものが全て「腫瘍」ではない事はあります。
回答
「やっぱりしこりはあるんですね。」
⇒「しこり」とは「境界を持って、ある形として認識できるもの」であり、それが必ずしも「腫瘍」であるとは限らないのです。
だから、担当医に「そのしこり」を触診で認識してもらったうえで、それを「超音波してもらう」必要があるのです。
その結果は「腫瘍」かもしれませんし、「嚢胞(液体が貯まった袋)」や「乳腺の硬い部分(乳腺症結節と呼ぶことあり)」かもしれません。
それは超音波でわかります。
「しこりが動くということは、乳がんではないということでしょうか?」
⇒これは誤りです。
「乳癌」も小さいうちは「きょろきょろ動きます」
「動くから乳癌でない」などという医師がいたとしたら(年配の医師にたまにいますが)「小さい乳癌は見つける必要がない」と考えているだけだと思います。
「絞ってみたら白や黄色っぽい分泌液が出てきました。血は、混じっていないように思います。」
⇒この表現からは「単孔性ではなく、多孔性」ですね。
多孔性は「色とか性状を気にする必要はありません」ただの分泌亢進(薬剤とか、その他の原因)
★「単孔性」だけを気にすればいいのです。
「授乳時以外に分泌液が出るのは、問題ないのでしょうか?」
⇒問題はありません。
単孔性のみ気にしてください。
◎単孔性の場合は(色が血性でなくても)注意が必要です。
「この分泌液は、しこりと関係があるのでしょうか?」
⇒多孔性分泌は「しこりとは関係ありません」
質問者様から 【質問3】
いろいろありがとうございます。
今日病院へ行ってきました。
エコーで検査したところ、2ミリ弱のしこりがありました。
すごく小さいため、のう胞か何かまだ判別出来ないし、小さいので検査も出来ないので、半年後にもう一度エコーをしましょうと言われました。
2ミリ弱は、小さいのでしょうか?
小さいとそれが何かわからないのでしょうか?
検査も出来ないのでしょうか?
いろいろ不安なので、教えてください。
よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「2mm弱のエコーでの所見」ですね。
それでは回答します。
回答
「すごく小さいため、のう胞か何かまだ判別出来ないし、小さいので検査も出来ないので、半年後にもう一度エコーをしましょうと言われました。」
⇒これは、「この担当医のいう通り」です。
2mmは「ごく小さな病変を描出できる」超音波でも「検出限界」の大きさとなります。
「何かはある」とまでは解りますが「質的診断(何であるか?)は、まず不可能」です。
「半年後にもう一度エコー」というのは「妥当な判断」です。
「2ミリ弱は、小さいのでしょうか?」「小さいとそれが何かわからないのでしょうか?」
⇒小さいです。
「存在」しか確認できません。
「質的診断は困難」であることは間違いありません。
「検査も出来ないのでしょうか?」
⇒検査はできます。
ただし、画像検査では何をしても無駄です。 PETは無論のこと、「MRIなどは全くの無駄」「マンモでも当然写りません」 超音波以上の感度(小さなものを描出する)は他には無いのです。
★できる検査は「針生検」です。
2mmあれば「十分に狙えます」
ただし、「質的診断ができない(怪しいのか、そうでもないのかさえも見当がつかない)もの」に対して「針生検をするべきか?」という問題は残ります。
◎私であれば、「ご本人が、(以上のことを納得された上で、それでも)針生検を希望するのであれば」針生検(この場合はむしろ超音波ガイド下マンモトーム生検を選択します)を行います。
ただ、一般的には「様子を見る以外、何もしようがない」というのは十分理解できる程の「小ささ」なのです。
質問者様から 【質問4】
度々返事を頂き、ありがとうございます。
実は、今年の4月中頃に乳がん検診を受けたところ、9ミリ弱の腫瘍がありました。
組織検査(注射針を刺してする検査)?をしたところ、1回目はなかなか検査出来る量が採取できず、2回目に刺したら消えたらしくたぶんのう胞だったと思いますとの診断でした。
約1ヶ月の間にまたしこりが出来たことで、いろいろ考えてしまいます。
今ある2ミリ弱のしこりは、のう胞なのでしょうか?
それとも前回ののう胞の中にガン細胞があり、針を刺したためそのガン細胞が外に出てしまったのでしょうか?
もしくは、9ミリ弱の腫瘍と共に存在していたけど、前回の乳がん検診では、小さくて発見出来なかったのでしょうか?
いっぱい質問してすみません。
先生が考えられる範囲内で教えてください。
よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
4月中旬にあった「9mm弱の腫瘍」と今回の「2mm弱の腫瘍」ですね。
あくまでも「私の考えられる範囲」として回答します。
回答
「1回目はなかなか検査出来る量が採取できず、2回目に刺したら消えたらしくたぶんのう胞だったと思いますとの診断でした。」
⇒9mmのターゲットに「簡単にあてられない」ようでは細胞診の技術は稚拙と言えます。
「刺したら消えたらしく」ではなく、「実際に注射器に液が引けた事を確認する事で」嚢胞と判断するべきです。
ただ、実際のところ「消失」したとすれば、「嚢胞でいい」と思います。
「今ある2ミリ弱のしこりは、のう胞なのでしょうか?」
⇒(前回、回答したように)2mmでは「質的診断(何であるか?)は不可能」です。
嚢胞の可能性もあります。
「それとも前回ののう胞の中にガン細胞があり、針を刺したためそのガン細胞が外に出てしまったのでしょうか?」
⇒それは考えられません。
もしも「9mmの腫瘍が嚢胞内腫瘍だった」としたら「中の液体が外へ流出」して「萎んだ嚢胞(壁が腫瘍細胞)が見えている」と言う事になります。
(参考までに)
嚢胞内腫瘍(腫瘍は良性の場合と癌の場合があります)とは、
嚢胞の中に癌細胞が、「ただ、入っている」訳ではありません。
嚢胞の「壁そのものが腫瘍」なのです。
つまり、「嚢胞内腫瘍とは、壁の一部が腫瘍である袋の中に液体が入っている」イメージです。
⇒これに針を刺す(細胞診により)と中身の液体が外へ出ますが「腫瘍(壁そのもの)は外へ流出しません」
♯理論的には「壁の癌細胞が剥がれて、中身の液体中に浮かんでいる」可能性は残りますが、微々たる量であり、それが2mmの腫瘍となる事はありえません。
「9ミリ弱の腫瘍と共に存在していたけど、前回の乳がん検診では、小さくて発見出来なかったのでしょうか?」
⇒それは考えられます。
9mmの腫瘍(嚢胞?)があれば、「2mmの所見は無視されていた(もしくは発見できなかった)」可能性はあります。
超音波検査は「技量の差」が存在するのです。
◎私の感想
「9mmの腫瘍」は「嚢胞」だと思います。(嚢胞内腫瘍ではなく)
これを「4月に細胞診」して(液体が流出して、一旦は消失した)嚢胞が「液体が、少しずつ貯まって」現在2mm程度となっているというのが「解り易いストーリー」です。
ただし、「質問者のいうように」4月の「9mmの腫瘍(嚢胞?)」と今回の「2mmの腫瘍」は別である可能性はあります。
ただ、どちらの場合でも「悪性を疑う」ような場面ではなく、(担当医のいうように)様子をみるのが普通だと思います。