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しこりと分泌液

[管理番号:3336]
性別:女性
年齢:27歳
27歳女性、既婚、出産経験なし。
3月の健康診断で左胸BD領域に5㎜程度の線維腺腫の疑いとありました
(初乳がん検査で触診もエコーです。
触診の欄では異常なしとの記載あり)。
7月にセルフチェックで左乳首下あたりに乳腺とは違う硬めの小さいしこりをみつけ、乳首乳房をぎゅーっと強めに絞ると最初は透明、次第に黄色の分泌液がありました。
何度か絞りましたが、量は一滴程度で同じところから出てるように見えました。
右胸も同様にチェックしましたが、しこり分泌液はありませんでした。
翌日乳腺外来を受診しましたが、触診だと5㎜以下はよく分からない、
乳首を軽くつねるが分泌液はなし。
エコーではあなたは乳腺が多めなの
でよく分からないが左胸乳首下あたりに3.7㎜くらいのしこりがあるかもとのこと。
しかし見たかぎり問題ないと言われました。
分泌液も強く絞らなくてよいし分泌液が出る人もいる、分泌液も血が混ざっていなければ問題ないとのことでした。
高プロラクチン血症はもっと乳液のようなものだし、血液検査はやるだけ無駄になると言われました。
2週間後、専門医のいる別の病院を受診しました。
触診は強めに乳首乳房をつまみ、左に少し黄色の分泌あり。
右はなし。
血が混ざってないので問題なしと言われました。
分泌液のチェックのみ
でしこりの確認は触診でしませんでした。
エコーで左乳首下あたりにしこり確認、乳腺のう胞だと思うとのこと。
ミルクの素みたいなのが溜まったもの、そのうちに消えるので問題ない
と言われました。
触ると水が入っているので硬くはないとのことです。
不安に思っていること
・触診では何も言われなかったが、自分で触ると乳腺とは違う硬めの小さいしこりがあること。
・分泌液も左胸のみで同じところから出ている気がしたこと。
・いままで軽くつまむ程度で気づかなかっただけかもしれないが、分泌液が出るようになったこと。
(アトピーで左腕肩~左胸周辺まで荒れてしまい4月から6月終りまで頻繁
にひっ掻いていたので乳腺を傷つけてしまったかもしれない。)
・分泌液の成分検査や腫瘍マーカーなど血液検査、ホルモン検査等しな
かったのでエコーのみで問題なしと断定できるのか。
2つの病院で問題なしと言われたのですが、上記の不安があります。
先生のご意見をお聞かせ願いたいです。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
当院には質問者の同じ様な「悩み」を抱えて受診される方も多いので大体見当がつきます。
それで(実際に診察しないで)断定的なことは勿論言えない訳ですが、ある程度の推測はできます。
「乳首乳房をぎゅーっと強めに絞ると最初は透明、次第に黄色の分泌液がありました。何度か絞りましたが、量は一滴程度で同じところから出てる」
⇒かなり少量のようですね。
 ただ「絞れば必ず出る」ようであれば「乳管造影」してもいいでしょう。
 ただし、このような(少量の分泌の)ケースでは(実際には)「もっと強く絞ると
多孔性であることが判明」することもしばしばです。
「血が混ざってないので問題なしと言われました」
⇒これは「明らかな誤り」です。
 その程度の診断レベルだということです。
「高プロラクチン血症はもっと乳液のようなものだし、血液検査はやるだけ無駄にな
ると言われました」

⇒これは「正しい」
「エコーで左乳首下あたりにしこり確認、乳腺のう胞だと思う」
⇒可能性としては2つ
 ①今回の分泌と関連した「拡張乳管もしくは乳管内病変そのもの」
 ②今回の分泌とは無関係の「嚢胞もしくは線維腺腫」
 ただ、ご本人が触知している「しこり」ではないようです。
「・触診では何も言われなかったが、自分で触ると乳腺とは違う硬めの小さいしこり
があること。」
⇒これは実際に診察していないので、同様のケースでの診療経験からの推測ですが…
 「乳首下あたりの硬めの小さいしこり」は(殆どが)『乳輪腺(モントゴメリ腺)の肥厚 もしくは fiber(乳腺内の線維化の強い部分)』です。
 超音波で問題無ければ「2名の乳腺外科医の見解」を信じてあげましょう。
「・分泌液も左胸のみで同じところから出ている気がしたこと。」
⇒片側単孔性の可能性ですね?
 一応「気には留めて」おいていいと思います。
 ただし少量の場合には(超音波で確認済なのだから)過剰に神経質にはならずに「浮きは沈むまで待ちましょう」
 ♯今週のコラム 『36回目 もしも本当に「乳管内病変が存在」すれば、「浮きの方から沈んでくれる」ので心配ありません。』を是非、ご一読ください。
「・いままで軽くつまむ程度で気づかなかっただけかもしれないが、分泌液が出るようになったこと。」
⇒上記通りです。
 「浮きは沈むまで待ちましょう」
 あくまでも「気に留めておくだけ」で十分です。
「・分泌液の成分検査や腫瘍マーカーなど血液検査、ホルモン検査等しなかったのでエコーのみで問題なしと断定できるのか。」
⇒全く「無駄な検査」です。
 「分泌液中CEAや潜血反応」:無駄極まりない検査です。 今回の2名の乳腺外科医は(乳管内病変の理解が不十分だとしても)「この手の無駄な検査をしなかっただけ、マシ」と私は感じました。
 「マーカーなど血液検査」:乳癌は「立派なしこりがある」ようなものでも「腫瘍マーカーは上がりません」 だから、「腫瘍マーカー」は、そもそも「乳癌の診断」には全く無意味なのです。
 乳癌の腫瘍マーカー(CEA, CA15-3)の役目は『乳癌術後の再発の監視のみ』です。
 「ホルモン検査」:血中プロラクチンですか? 質問者の症状は「高プロラクチン」ではありません。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、ご返答ありがとうございます!
先生の回答を読んで不安が和らぎました。
ただ「絞れば必ず出る」ようであれば「乳管造影」してもいいでしょう。
とあるのですが、分泌液の確認は7月のセルフチェックのとき以来自分ではしてないです。
浮きが沈むのを待つということで、月1軽くつまむ程度と考えていましたが、週1など短い間隔で確認したほうがよいのでしょうか?確認の頻度と仕方(全体をぎゅっと絞るなど)が知りたいです。
しこりが大きくなったや分泌液の量が増えたなどの異変がなければ、半年~年に1度の定期検査で大丈夫でしょうか?
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
分泌に関しては「神経質になりすぎない」ことが肝要です。
○ただし、(たまに)いらっしゃいますが、「下着が毎日しみているくらいの分泌がある」のに、慣れてしまって「放置する」ことだけは避けましょう。
「浮きが沈むのを待つということで、月1軽くつまむ程度と考えていましたが、週1など短い間隔で確認したほうがよいのでしょうか?」「確認の頻度と仕方(全体をぎゅっと絞るなど)が知りたいです。」
⇒月1回で十分です。
 「乳房全体を包み込むように圧迫しながら、ゆっくり中心(乳頭)の方へ狭めていき、最後は乳頭を軽く絞る感じ」です。これを一連の動作として行うのです。
「しこりが大きくなったや分泌液の量が増えたなどの異変がなければ、半年~年に1度の定期検査で大丈夫でしょうか?」
⇒その通りです。